Seiryu Voice
投稿日:2024.03.18
「世界と日本をつなぐ人」を目指して、ドイツ留学をスタートさせた高校生、アディカリ自然さん。第2回
「日本とドイツの年末年始の過ごし方は真逆!?文化の違いを実感」
岐阜生まれ、岐阜育ちのアディカリ自然さんのドイツ留学の様子をお伝えする第2回。クリスマスやお正月など、盛大な行事があった年末年始をどのように過ごしたのか、また学校生活の具体的な様子をお聞きしました。
社会科は地理、歴史、政治をそれぞれ一年通して学び、選択教科もさまざまあるドイツの学校
-- ドイツでの生活が3ヶ月が経ちましたが、喜びや楽しさ、または大変だなと思われていることを教えてください。
アディカリさん 年末年始はクリスマスやお正月の行事があり、習慣や1日の過ごし方など日本と異なることばかりでしたが、とても楽しむことができました。普段は自主的にドイツ語の勉強を進めています。ドイツ語には定冠詞(男性・女性・中世、父・母・子など)が3つあるなど、難しさを感じますが、習得したものを日常の中で分かるようになるととても嬉しいですね。
-- 授業ではどのようなことを学ばれていますか?学校生活について教えてください。
アディカリさん 学校ではたくさんの教科を勉強しています。ドイツ語、数学、理科、英語、体育、音楽と、あと社会は日本のように地理・歴史・政治が1つの教科としてまとまっているのではなく、3つの項目が1つずつの教科に分かれているので、それぞれ別の教科として詳しく勉強しています。また、必須科目として宗教の授業があり、生徒全員が学びたい宗教を選び、別々のクラスに分かれて授業を受けています。
選択科目もいろいろあります。英語で学ぶ地学、スペイン語で学ぶ料理、そのほか、歌、演劇、プログラミングなどがあります。私は歌・音楽コースを選択しています。
授業中は知識を学ぶだけでなく、グループで調べ学習をしたり、その時間で学んだことを各グループで発表したり、プレゼンテーションをしたり。ほかにも、エッセイを書いたり、実験をしたり、実践しながら学ぶことが多くあります。クラブ活動も入っていて、バレーボールをやっています。
家族の温かさが感じられたクリスマスは素敵な思い出に
-- 先ほど、年末年始の行事を楽しく過ごしたと話されていましたが、まずは、クリスマスはどのように過ごされましたか?
アディカリさん ドイツではクリスマスを盛大にお祝いします。家族や親戚が集まり、みんなでプレゼントを交換してディナーを食べて、とても温かい雰囲気があるクリスマスでした。私も一緒にお祝いをしましたが、家族の温かさを感じることができて、プレゼントを開ける時のワクワク感に幸せを感じました。ドイツのクリスマスは私にとって素敵な思い出になり、最高でした!
-- 日本とドイツで異なる点を具体的に教えてください。
アディカリさん 日本のクリスマスは食事をしたり、サンタさんからプレゼントをもらったり、若い世代は友達とクリスマスパーティーをするのが一般的だと思います。宗教的な行事というよりも、楽しむためにお祝いする人が多いと思います。
ドイツはその逆で、クリスマスは1年の中で1番大事な行事と言っても過言ではない感じでした。ほとんどの人が家族と過ごし、家族全員でプレゼント交換をして、みんなで夜ご飯を食べて、ほんとうに温かい雰囲気で家族の良さを感じられます。家族だけではなく親戚からもプレゼントがありました。私がホームステイをしているお家では、17時頃にベルが鳴ってみんなが集まり、みんなでプレゼント交換をしました。私はプレゼントと共に家族みんなにお手紙を書いて日頃の感謝を伝えました。
-- プレゼントを贈り合う習慣があるのですね。
アディカリさん 12月6日は「Nicolasの日」といって、司祭の帽子をかぶり、赤いマントを羽織ったNicolasさんがプレゼントを持ってきてくれます。彼は2000年以上前に教会で働いていた司教で、子どもを守るシェルターをしていた人です。今でも彼のストーリーは受け継がれていて、夜、扉の前に靴をおくと、いい子はお菓子やチョコレートがもらえる言い伝えがあります。いわゆるサンタさんと同じような感覚です。12月6日もたくさんの人が集まってディナーでお祝いをします。
クリスマス前には、担任の先生からお菓子のプレゼントがありました.冬休み前の最後の学校は3時間しかなくて、プレゼント交換やクラスみんなでゲームをして楽しみました。
-- クリスマスの街の様子を教えてください。
アディカリさん クリスマスマーケットが11月中旬から当日まで行われていて、街が本当に綺麗で、歩いているだけでクリスマスの特別感があり、幸せを感じました。私は9ヶ所のクリスマスマーケットを回りました。見ていると、クリスマスマーケットではグリューワインを飲むのが定番のようです。グリューワインは温かいワインで、これを飲むとクリスマスの気分になれるとのことでした。すりおろしたじゃがいもと小麦粉を混ぜて平らにして揚げた、パンケーキのようなものにアップルソースをつけて食べる料理も定番のようです。
日本やアメリカのクリスマスのメインは25日だと思いますが、ドイツは24日にお祝いをします。24日に「メリークリスマス」を言い合っていました。それから26日までの3日間がクリスマス期間になっていて、24日がクリスマスイブ、25日がファーストクリスマスデー、26日がセカンドクリスマスデーで、全てのお店が閉まっていました。クリスマス期間が終わるとショッピングエリアは日本でいう年末セールのような感じになり、全てのお店がセールをするので、ものすごく人で賑わっていました。その後、大晦日(ニューイヤーイブ)とお正月は全てのお店が閉まっていました。
花火で年越しを祝うドイツ
-- ドイツのお正月はどのような様子でしたか?
アディカリさん 大晦日に「dinner for one」 という昔のショートムービーを家族で見るのが定番のようです。毎年、大晦日の夕方に見られるそうです。そして、年越しの時間は花火でお祝いをしていました。私は友達とダルムシュタットにあるHochzeitsturmの下で花火を見ました。ドイツの花火は少し他の国と違って、首都など大きな都市では大きな花火をあげるのですが、他の土地では、個人が花火を打ちあげてお祝いするようです。そのため、一気にたくさんの場所で花火があがります。普段は花火を個人であげることは違法ですが、お正月シーズンだけはオッケーとのことで、たくさんのお家で花火があがっていました。
この行事については賛成意見と反対意見があるようです。お正月のお祝いに花火が必須のようですが、個人で花火をあげる人がたくさんいるため、大勢が集まる場所では、人と花火が近いことと、いろんな人が花火を持っているので危ないという一面もあります。また、各自が長時間、花火をあげるので、動物の視点で考えると怖さや驚きを与えてしまうこともあります。ただ、新年を迎える瞬間はたくさんの人が嬉しそうに花火を打ち上げていました。あんなに賑やかだったのに、次の日からはもう日常生活に戻っていました。
-- 他にも日本との違いはありますか?
アディカリさん 日本では年が明けると新しい干支に変わりますが、ドイツでは新年に小さな豚の置物を飾る風習があります。豚は新年の幸運をもたらす動物とされているそうです。あと、日本では家族で初詣にでかけますし、年賀状のやりとりや街全体がお正月の雰囲気になって、ショッピングモールなどでも福袋や音楽が流れるので、新たな年を迎えたことを身をもって実感することができるなと感じました。
-- 最後に、1月1日の能登半島地震について、ドイツではニュースになりましたでしょうか。
アディカリさん ドイツでも大きな話題になっています。2日に起きた飛行機事故も含め、ニュースなどでたくさん取り上げられていましたし、私もテレビやラジオで状況を聞いていました。ホストファミリーや学校の友達から、私の家族は大丈夫なのか、日本は今どういう状態なのかと心配してくれました。
学校生活ではしっかり授業を受けながら、自主的に新たな言語、ドイツ語も習得中のアディカリさん。同じ行事でも、国が違えば文化が違うことを実感しながらも、思い出に残る楽しい年末年始を過ごされたようです。