Seiryu Voice
投稿日:2024.05.30
「世界と日本をつなぐ人」を目指して、ドイツ留学をスタートさせた高校生、アディカリ自然さん。第3回
バースデーとカーニバル、ドイツならではの文化を体験
岐阜生まれ、岐阜育ちのアディカリ自然さんのドイツ留学の様子をお伝えする第3回。バースデー・パーティーやカーニバルで楽しく過ごしたアディカリさんが、ドイツの文化を自分の体験と共に伝えてくれます。また、寿司パーティーも行い、友人と楽しい文化交流をしています。
主役がホスト、ゲストを呼んで楽しんだバースデー・パーティー
―― 楽しいお誕生日を迎えたとのことですが、その様子を教えてください。
アディカリさん 私の誕生日、1月11日は冬休み中だったので、留学先のホストファミリーにお祝いしてもらいました。私たち家族はいつも、夜ご飯を食べて、カード・ボートゲームをして、その後は映画を観てから寝るのがルーティンなのですが、10日の夜はホストマザーのキッチンの片付けがいつもより長かったのです。普段なら、映画はみんなが揃ってから観ますが、その日はホストマザーが来る前に映画を観始めたので、なんでだろう?と思っていました。
ホストマザーが途中で参加してそのまま観続けていたところ、夜中0時ちょうどに映画を止めて、ハッピーバースデーを歌ってくれたのです!それだけでハッピーだったのに、その後リビングに行ったら、ケーキとプレゼントと風船が置いてありました。0時ぴったりにケーキがあるとは思っていなかったので、本当にサプライズでした。
―― ホストマザーはきっと準備をしていたのですね。
アディカリさん はい、遅かった理由に納得しました。次の朝は家族みんなで科学館に行き、夜はイタリアンレストランでディナーをしました。家族みんなが揃っていたので、店員さんがホストマザーに「何か特別な日ですか?」と聞いていたみたいで、食事の後、電気が消えたと思ったら、店員さんがアイスケーキを持ってきてくれて!お店にいる他のお客さんもハッピーバースデーを歌ってくれました。
―― 友人とはお祝いをしましたか?
アディカリさん ドイツでは、誕生日を迎える本人がゲストを招待し、パーティーを開くのが一般的で、そこでたくさんの新しい人との出会いもできるのです!だから、冬休み最後の日に友達を呼ぶと、16人の学校の友達と留学生の友達がお祝いに来てくれました。前日は2人の留学生の友達が泊まりに来てくれたので、みんなでレストランでディナーをして、ホストファミリーとカードゲームをしてドイツの映画を観ました。次の日のパーティーでは、カードゲームをしたり、ホストファザーがみんなにバーガーを作ってくれたり、おしゃべりもたくさんして、とても素敵な日になりました。みんなとさらに仲良くなれた気がして、とても嬉しかったです。ドイツで最高の誕生日を迎えることができました。
―― ドイツの誕生日文化についてもう少し詳しく教えてください。
アディカリさん 前日に「明日は誕生日やね、お誕生日おめでとう」と言ってしまうのはタブーです。前日にお祝いの言葉を伝えると、その人が不運になると言われているからです。また、誕生日の本人がみんなのためにおもてなしをする文化があるので、レストランに行った場合は本人が支払いをします。学校でも、本人がケーキやお菓子などを配るという文化があるので、実際、誕生日だった友人はクラスメイトにチョコクッキーを配ったり、バレーボールクラブでもケーキを配ったり、また、友達とフラワーガーデンに行った時もその子が「今日は誕生日だから私に払わせて」と言ってもてなしてくれました。
日本文化を伝えることができたお寿司パーティー
―― 他の日にも、友人とパーティーをしたことはありますか?
アディカリさん お寿司パーティーをしました。ドイツのスーパーにもお寿司があるので、留学生のみんなでお寿司の話をしていたら、せっかくだから作ろうよ、という流れになり、バレンタインの日に学校が終わった後、私の家でお寿司パーティーを開きました。ホストファミリーが前日に、お寿司に必要な食材を全て用意してくれました。みりん・魚・のり・ごま・お寿司用のお米、全て一般のスーパーに売っていたので、簡単に手に入れることができました。また、ホストペアレンツのお友達に日本が好きな方がいて、お寿司を作るための道具を全て貸していただきました。その方はとても日本文化に詳しく、日本へも何回も訪れたことがあるそうで、家には和室の部屋や日本のお花、かけじく(hanging scroll)が飾られていて、着物や日本のお皿、お箸も本当にたくさんの日本の物を持っていて私も驚きました。
―― 本格的なお寿司をドイツで作ることができたのですね。
アディカリさん 野菜のお寿司、魚のお寿司、いろいろなお寿司をみんなで巻いて切ってたくさん作りました。私はお寿司と一緒に飲める味噌汁と抹茶ラテを作りました。甘いミルキーなラテは特に大人気でした! みんな「どこで買ったの?」「すごく好きな味だ」と言ってくれたので、とても素敵なバレンタインの思い出になりましたし、日本の食べ物をみんなに紹介するだけでなく、一緒に作ることができてとても嬉しかったです。
賑やかに人々が挨拶し合うカーニバル
―― 2月はカーニバルがたくさん行われるそうですね。
アディカリさん ヨーロッパやブラジルなど、たくさんの国でカーニバルが行われています。ドイツのカーニバルは春の到来をお祝いします。歴史が長く、期間も複数日行われます。私は今回、2つのカーニバルに行きました。1つは2月12日にMainz(マインツ)へ、もう1つは2月13日にDieburg(ディーブルク)へ行きました。
1つ目のMainz のカーニバルはとても有名で、行かないと損をすると言われるほどです。みんなで仮装をして参加するカーニバルで、いろんな種類のコスチュームが見られました。平日の月曜日でしたが、カーニバルのために学校がお休みになるので、私は友達と一緒に朝11時頃の電車に乗って行きました。人が多く、私にとってドイツで初めての満員電車体験になりました。現地に着くと、すぐ目の前でパレードをしていて、たくさんの大きなトロッコや人々が列になり、歩きながら挨拶をしていました。Mainzのテーマはpolitic(ポリティック/支配) のため、政治を示すようなトロッコもたくさんありました。例えば、国(中国やロシア・アメリカなど)の大統領に見立てたトロッコがあったり、動物や海を示すトロッコもありました。トロッコの上に乗った人がキャンディ・ポップコーン・グミなどのお菓子やティシュを投げていて、カーニバルのお決まりの挨拶「Helau(ヘラゥ)」と声をかけながらお菓子を配っていました。いろんな年齢層の人がカーニバルを思いっきり楽しんでいて素敵な行事だなと思いました。
アディカリさん また、2つ目のDieburgのカーニバルは規模が小さい地域のカーニバルでしたが、衣装のクオリティがとても高かったです。グループになって歩いていて、例えば、ジャングル・海の中・蜂・海賊・お花など、本当にたくさんのそれぞれのテーマに合わせた素敵な衣装とメイクをしていました。かわいいな、と思えるような温かいパレードでした。ここでも同じようにキャンディを投げてキャッチしたり、人によってはアルコールをゲットしている人もいました。挨拶はもちろん「Helau」です。まち全体が明るくて、人々がとても楽しんでいるように見えて私も友達もとても楽しめました。
ホストファミリーや友人に温かく祝福してもらった誕生日や地元のカーニバルに参加して、さまざまな文化を吸収しているアディカリさん。お寿司パーティーでは、楽しみながら日本文化も伝えることができ、一歩ずつ着実に国際交流の輪を広げています。