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党派、年齢を超え、タックを組みながら課題に取り組む強みを感じた「女性岐阜県議会議員6名の座談会」

党派、年齢を超え、タックを組みながら課題に取り組む強みを感じた「女性岐阜県議会議員6名の座談会」 | ぎふ清流ボイス

岐阜県議会議員には現在、女性が過去最多の6名います。そこで、座談会を開き、女性議員の必要性や岐阜県への思いについて自由に語っていただきました。議員一人ひとりが異なるバックグランドと考えをもつことから、個性ある意見が飛び交い、全員で共感しながら県民の思いの実現に向けた、団結力の高さを感じた座談会になりました。

写真左から
木村千秋議員(不破郡 無所属)
中川裕子議員(岐阜市 日本共産党)
野村美穂議員(大垣市 県民クラブ)
平野恭子議員(岐阜市 無所属)
若井敦子議員(岐阜市 県政自民クラブ)
今井瑠々議員(多治見市 県政自民クラブ)

座談会の様子は動画でご覧いただけます。

ダイジェスト版

 

全編版

女性の声を届けるために。県議会議員を志したきっかけは?


若井議員
 今日はよろしくお願いします。まずはみなさん、なぜ政治家を目指したのか、また、女性議員の必要性についてお聞かせください。

野村議員 私が1期目の時は女性議員が3人しかいませんでした。しかも子育て真っ最中の議員は岐阜県議会としても私が初めてで。当時は女性同士の繋がりはほとんどなく、数回、県の女性幹部と食事会の企画があっても、リーダーシップは誰がとりましょうか、という感じでした。

若井議員 今は野村先生が女性議員のリーダーシップをとっていただいていて、ありがたいことです。当時は今のように女性活躍という言葉はあまりなかった頃だと思いますが、野村先生が議員を目指されたきっかけを教えてください。

野村議員 政治の世界で働いていて、なぜこの政治の世界には女性が少ないんだろうという疑問があった中、前任の女性議員が辞められて、代わりにどうかとお話をいただきました。疑問がある中で、自分がやりたいと返事をすることで、女性の議席がプラマイゼロ、マイナスにはならないなと思ったことがきっかけです。

野村美穂議員

野村美穂議員

 

中川議員 私は年齢も性別もバラバラな人がいるのが本来の社会だと思っていて、そこからすると、一定の年齢の男性ばかりの議会は少し特殊な感じがありました。自分の声をちゃんと代弁してくれる人がやっぱり欲しいな、というのがきっかけになります。

若井議員 もともと政治には興味があったのでしょうか?

中川議員 興味はありましたが、誰かにやって欲しいというのが本当の気持ちでした。(女性が政治の世界に入るのは)やっぱ怖いですよね、なかなか勇気がいることです。

平野議員 私は父も政治家なので、背中を見て育ったということもありますし、医療人として働きながら、いろんな政策に取り組まないといけないなと思ったことと、1人の患者さんだけでなはく、いろんな方に意見を伝えられる場ができる県議会議員になりたいと思いました。

若井議員 逆にお父様の背中を見て育ってこられたので、子どもの頃から政治の世界は大変だと感じていたと思いますが、あえてそこに自分が飛び込んでいこうと思われた勇気はどこから出たのでしょうか。

平野議員 周りの支えがあったことと、県議会で女性の声や医療系の声を届けることをしっかりやってこうと思いました。

木村議員 私は町議会議員から始まり、町議は28歳から4期16年務めました。最初、福祉ボランティアの目線から始めさせていただいて分かったことは、福祉の声が政治に届いていないということです。また、金融業界にも携わると、女性の提言がかなり少ない感じを受けて、福祉や経済の面ではまだまだ女性の目線は少ないなということを当時、感じてはいました。

若井議員 町議会議員と県議会議員、2つ経験されていますが違いはありますか?

木村議員 町議会議員の時は側溝や街灯、標識の問題といった今住んでる地域のお困りごとを解決していくため、地域の方とすごく近い感じがしました。県議会議員では私の選挙区の不破郡は垂井町と関が原の2町でエリアが広くなりましたが、町であろうと県であろうと、同じ感覚をもってやっていけたらいいなと思っています。 今井議員 政治家を目指したのは高校生の頃からで、東濃初の女性県議会議員として、また、若い世代を支える議員になりたいという思いをもって県議会議員になりました。県議会議員のいいところは、市をまたいだ地域で連携していけるところです。今は先輩先生方と、どうやって東濃地域を盛り上げていこうかとか、東濃の子育てのことなどを一緒に仕事をさせていただくことができるのはすごくありがたいと思っています。

若井議員 今井先生は最年少議員ですね。

今井議員 はい、27歳で当選して、今年の春で28歳になりました。本気で20年先の未来を考えていて、40代になった時、岐阜県をどのように支えていきたいのかを今から見据えています。今できることは少ないけれども、千秋先生がおっしゃるように地域のみなさまの声を拾いながらどうやっていけるのかなと思いながら、日々取り組んでいます。

若井議員 心強い!私が28歳の時は空手の日本代表として、世界を相手に戦っていました。空手道界から転じて、私が政治の世界に入るきっかけは子どもたちの健全教育や人作りをしっかりやっていきたいと思ったからです。入ってからは、女性議員が少なかったこともあってか、一気にいろんな女性のお困りごとの声をいただくことになりました。改めて、それまでお困りの声はどのように届けていたのかなと、率直に思ったんですね。このような立場になって初めて女性議員が担う役割の重要性や必要性を知りました。美穂先生は議員になられてからの、お困りの声についてはいかがですか。

若井敦子議員

若井敦子議員


野村議員 その時その時でいろんなことがありました。例えば、宴会の席のセクハラの問題もありましたし、嫌なことや困りごとをたくさん聞いてきました。所属政党の女性議員ネットワークがあるので、先輩や同期と連絡を取り合っていると、こういう困りごとがあるよ、という話が出てきましたし、課題を共有することで議会に取り上げてもらうこともできた流れがあり、なんとかここまで来れたのかな、という気はします。

さまざまな考えをもった議員がいることで、県民の困りごとや課題解決につながっていく


若井議員
 そうなると、共感や思いを共有できる議員は多い方がいいのかなと思いますが、やはり女性議員は多い方がいいとみなさん思われますか。

中川議員 そうですね。当たり前ですが、社会にはおおよそ半分が女性で、女性だからといって1つの考えしかないわけではなく、いろんな考えをもった方がいます。そうやって考えると、女性もいろんな女性がいた方がいいですよね。ここにいるみなさんのような感じで(笑)いろいろな考えをもった議員がいるのが議会なのでは、と思います。

一同 うなずく

中川裕子議員

中川裕子議員


今井議員 1つの議題でも意見交換ができることがすごく大事。反対であっても、賛成であっても、お互い知識を共有し合って議論を深めて発展させていくことは、人数が少ないとできません。女性ならではの政策課題について議論を深めて、より良い政策にしていくためにも、いろんな党派からたくさんの女性議員さんが出てきてくださったらいいなと思います。

野村議員 立場が違う人が集まったら、議論もすごく違うなと思います。というのも、思い出すのは若井さんが初登壇の時に発言された女性アスリートの生理の問題。衝撃的でした。こうやっていろいろな経験をした女性が議会に入ってくることがこんなに画期的なことなのかと思ったのです。いろんな経験をした女性、いろんな年代の女性が集まることの大切さを若井さんの初登壇で感じました。

中川議員 覚えています。確かにあの時は思いました。バックグラウンドが違う女性が集まるのがいいと。千秋先生の更年期障害の話題も画期的でした。

木村議員 (女性の困りごとを)さまざまなな方が重ね重ね言うことで、印象付けていければと思います。

若井議員 女性に共通の課題は党派を超えても同じ女性だからこそ分かり合える。タックを組んで県議会で調整できるのは、まさに今の女性議員の強みかなと思います。

平野議員 今は心強いですね。私が1期目で入った時はまだ女性が4人でした。無所属で政治の世界に入り、つながりもない状態だったのですが、女性議員の会をつくってくださってすごくありがたくて。みなさんとお話できる機会があったのがすごい良かったなと思っています。そして、女性議員がさらに2人増えて、またタイプが全然違う2人で。4人が6人になっただけでも全然違います。すごく楽しいです。

今井議員 キャラの幅がありますから。

若井議員 キャラが強いみなさんだと思います。

一同笑顔

県会議員を仕事にしたいと思える女性を増やすためには?


若井議員
 今、議会棟が新しくなって良くなりましたが、旧議会棟は女性用トイレの問題がありましたよね。

野村議員 旧庁舎の控え室のあるフロアには、女性用トイレが1つしかありませんでした。

今井議員 今は衣装が着替えられますし、パウダールームもありますよね。

若井議員 こうやって議会にも女性が参画できる環境が作られてきています。先ほどから女性議員が必要だというお話が出ていますが、どうしたら女性議員が増えるのかお考えがあればお聞かせください。

今井議員 私事ですが、最近YouTubeを始めました。政治のハードルを下げるという意味で身近に感じてもらうためですが、それがまず第1歩だと思います。県議会議員は何をしているのか分からないという声を聞くので、私たちの活動を積極的に見える化して、県議会議員になりたいなと思ってもらえる働き方をすること、私たちがあるべき働き方をしっかり行い、示していくことが必要なのかなと思います。

今井瑠々議員

今井瑠々議員


平野議員 子どもを育てながら働ける環境の整備、子どもだけではなく、家庭のこともやりながら働ける環境の整備をすれば働きやすくなると思います。

野村議員 今でこそ、国会議員の中にも「子どもがいるので選挙運動は夕方5時まで」と言われる方がいらっしゃいますが、15、6年前は受け入れてもらえる雰囲気はありませんでした。こうした流れがある中、その人らしい働き方を受け入れてもらえる環境を作っていきたいなと思います。

平野議員 政治家は会合も多く、私が県会議員になり初めの頃、当時まだ小さかった子どもに「行ってくるね」と言うと、足にしがみついて「行かないで」と言われました。こういうことがあると、あえて政治家になろうと考える人は少ないと思います。子どもの成長段階に合わせた支援をしっかり作っていかないと、特に子育て世代の議員は増えていかないのかな、と思います。

誰もが暮らしやすい、働きやすい社会になるために。この先の岐阜の未来像は?


若井議員
 女性議員もそうですが、岐阜は女性社長率が少なく、全国最下位だそうです。

平野議員 11年連続です。

若井議員 社会に出て働きたいと意欲のある女性がそれを実現するためには何が必要だと思いますか。

中川議員 1つは、本人の意識というよりも社会の問題かなと思います。今お話を伺っていても、いろんなことを犠牲にしながらやらないといけないというのがそもそもおかしくて、そこを私たちが変えていかないといけません。女性だけではなく、子育て中の男性も同じだと思いますし、言語化できるのが今のこのメンバーなのかなと思います。

若井議員 最強のチームだと思います。

今井議員 なんでも聞けますし、フォローもし合えるメンバーです。

木村議員 私の姉は経営者で私が県議という、ちょっと異色の姉妹なんですけれど、私は独身の時にまず町議になり、結婚、出産を経験し、全て議員を務めている中でライフステージを変化させてきました。町議会議員2期目で結婚をして出産をしたのですが、戸籍の林ではなく旧姓の木村で続けようとした時、男性議員に向けて、旧姓を使用することを全員協議会ではかってくださいと言われたのです。「初めてのことなので了解を得てください」ということだったのですが、男性議員が結婚をされた時は同じようにしないのになぜだろうと思いました。夫婦別姓にもなりつつある今は、私が経験してきた当時よりも良い状況にはなってきていると感じます。女性の社会進出が進んだことでいろんな問題が明るみになり、政治の場や公の場で語られるようになったことで開けてきたのかな、私自身もその一例だったのかな、と感じます。

若井議員 今まで政治の場で(女性のライフステージについて)発言する人がいなかったし、そのような立場の人も少なかった。木村先生のような、議員になられてから結婚、出産をされた経験は今後のロールモデルになっていきますので、ご苦労はしっかりと声をあげていくことが、これからの女性の時代を築く道を担うものだと思います。 今、先生方がそれぞれお話された形が実現するように、私たちはタックを組んで取り組んでいきましょう!
つづいて、みなさんの岐阜の未来像をお聞きかせください。

今井議員 女性の首長を増やしましょう、どうですか。将来的に女性のリーダー、女性の管理職が県庁自体にもっともっと増えていくのはどうでしょうか。もちろん 女性を無理に登用するのではなく、思いが叶うような働き方をして欲しいと思います。地域のリーダー、首長さん、知事の立場に女性がいることできっと変えられることが増えますし、そこに対して希望を持って声を上げられる女性の数も増えると思います。

野村議員 私は岐阜ってどこ?と聞いたら、誰にでも指をさしてもらえるような、認知度のある県を目指したいですね。県議会議員として思うのは、岐阜県の認知度の向上に付随をして、観光、農林、行政といった社会基盤を整えてこそ、私たちの生活ができます。そして、議会に女性議員が半分いて、女性の声を届けることができる環境を作っていきたいと思います。

中川議員 私は2つあります。1つは、私自身も同世代なのですが、就職氷河期世代の女性は所得がとても低く、特にシングルの女性や非正規の方はこの先、アパートの契約などが難しくなると思います。岐阜県がこのような立場の人たちを支える先進県になって欲しいと思います。もう1つは少し難しいのですが、政策決定の場に女性が半分いないといけないと考えています。会社の経営なども同じで、今は人数が少ないから女性県議会議員に注目が集まっていますが、当たり前に女性県議会議員や女性経営者がいて、「女性」という言葉がつかないくらいスタンダードになる社会を目指したいと思います。 野村議員 逆を言えば、「男性保育士」と言われることも同じですね。

平野議員 岐阜県が女性経営者率がワーストワンである理由は感じていて、私が歯科医師で開業をしようとした時、「女性なのに開業するの?」と聞かれました。資格を持っていてもそう言われるので、これでは女性の経営者も増えないなと感じています。

平野恭子議員

平野恭子議員


若井議員 若い女性が県外へ顕著に流出しているのが岐阜県です。消滅可能性都市の積算根拠が若年女性人口ですから、どうやって若い女性を岐阜にとどめるか、岐阜に集まってもらうかを真剣に考えていく必要があります。

木村議員 家で中学生の子どもたちのリアルな声を聞いて感じていて、町議時代にも抱いていた夢があるのですが、子どもたち全員が観光大使であって欲しいと思います。垂井町なら自分が垂井町出身だと胸を張って、全国や世界に垂井のことを発信してくれるといいなと。岐阜に大事にしてもらったという思いを抱いて、世界に羽ばたいてもらいたいと思います。そのためにも、子どもたちを大事にできる岐阜県になればいいなと思います。

木村千秋議員

木村千秋議員


若井議員 最後になりますが、県会議員5期目の野村先生に代表していただき、県民の方へメッセージをお願いします。

野村議員 県民のみなさんの思いを実現できるように、今私たちが語ったさまざまな思いや県政の課題を共有して、それぞれの先生方の経験と視点で前に進み、解決できるようにタッグを組んで頑張っていきたいと思います。

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