【高山商工会議所】

高山商工会議所会頭
北村 斉 さん
(日進木工株式会社 代表取締役会長)
副会頭
泰則 さん
(株式会社ひだホテルプラザ
取締役会長)
副会頭
俊宏 さん
(株式会社林工務店
代表取締役社長)
副会頭
蓑谷 雅彦 さん
(株式会社みの谷
代表取締役社長)

【北村会頭メッセージ】

家具、クラフト、食など、高山ならではの参加型の産業観光をすすめたい

観光地としてだけでなく、働く場所、住む場所としても高山をPR

-- コロナの水際対策の緩和や全国旅行支援が行われいますが、観光客の受け入れはいかがでしょうか。

北村会頭 現在、高山市内に建築中のホテルが多数あり、全て完成すると部屋数は5000以上になります。しかし、人手不足が課題になっています。フロントはロボットで対応できるかもしれませんが、ベッドメイキングは人の手でないとできません。また、宿泊はできても夕食を食べるところが少なく、夕食難民が出てしまうことも課題になっています。高山祭のような大きな行事がある時は飲食店がいっぱいになり、お客さんが行列で待っている光景も見られます。

飲食店の数が不足している一つの要因に、これまで営業していたレストランや料理店の店主が高齢になり、店を継ぐ方がいなくて閉店せざるを得ない状況が増えてきていることが挙げられます。高山商工会議所では空き店舗の紹介や、高山市の空き店舗の家賃補助制度の申請支援を実施していますし、飲食店だけでなく、すべての業種の人手不足が課題になっていますので、働き手の募集を全国に呼びかけているところです。

-- 地元の若者はいかがでしょうか。

北村会頭 大学へ進学した学生のうち、7割ほどが地元に戻らないという状況です。そこで、高校生にはインターンシップ、県外で通学している大学生にはユーターンシップを勧めていますし、関東で高山のPRに行くなどの対策をしています。12月は高山市の移住定住、インターシップ、空き家対策などのメンバーと一緒に東京ビッグサイトで開催された「よい仕事おこし」フェアに出展してきました。関東だけでなく、中部圏、関西にもどんどんPRして、人を呼び込めるように活動していきます。人手不足解消に、商工会議所が積極的に動かないといけません。

また、大学の専門的な知見と連携した高山市のシンクタンク「一般財団法人 飛騨高山大学連携センター」に先生や生徒に高山の課題・解決を調査してもらっていますが、もし、できることなら、学生さんには調査するうちに高山を好きになっていただき、卒業後、高山に住んでいただけたらいいな、という気持ちもあります。

「よい仕事おこし」フェア

「飛騨高山の家具」製造工場内で健康維持

-- 北村会頭の健康維持の方法を教えてください。

北村会頭 弊社の工場内の作業を手伝いながら1万歩を目指して歩くようにしています。1日工場内を見回っているといつの間にか1万歩、多いと15千歩になっていることがあります。ただ、気を張って歩いているので、本当は外で太陽の光を浴びてストレスを発散させながら歩く方が良いと、医師からは言われています。2022年は工場内で転んでくも膜下出血が起きて、人生で初めて救急車のお世話になりました。重症ではなかったので3日間の入院で立ち直りましたが、大変な年でした。

-- 工場では作業以外に、どのようなことをされていますか。

北村会頭 60歳を過ぎた頃から、従業員の顔を見て、「あ、元気がないな」とか「悩みがあるのかな」ということが分かるようになってきましたので、声をかけて元気づけることもあります。先ほど人手不足の話をしましたが、ありがたいことに飛騨高山の家具業界は、新卒の若い方が入ってきてくださいます。県外の方も多く、デザインや建築を学ばれた方が、家具も学びたいといって来てくれるのです。飛騨高山の家具業界の従業員のうち、4割ほどが県外出身者ではないでしょうか。

家具造り、クラフト環境が整う高山で産業観光をすすめる

-- 高山は観光以外にも、「飛騨の家具」のPRもされていますね。

北村会頭 観光地として知られている高山は家具の産地でもあります。各地の家具店の展示品やネットの情報から知って、実物を見るためにショールームへ訪れる方もいて、中には海外から来られる方もいて驚きます。「飛騨の家具」「飛騨・高山の家具」としてブランド戦略を行ってきた結果ではないでしょうか。これからは産業観光を充実させて、見る観光から参加する観光をすすめていくべきだと考えています。

-- 産業観光としてはほかにどのような業種がありますか。

北村会頭 飛騨春慶塗などの伝統工芸のほか、個人で工房を構えて家具造りやインテリア小物造りをされている方が増えました。それらの商品を求めて高山へ足を運んでくれる観光客もいて、一口に「観光客」と言ってもさまざまな目的で来られているようです。

高山は木工関係の企業が多いため、木工機械を扱う工場や鉄工所などの関連産業も充実しています。クラフトに携わりやすい環境が整っているためか、飛騨高山の匠の技を学んだ後、そのまま高山で独立されているようです。その方達のライフスタイルに合った、豊かな自然や住み心地の良さも定住される一因にもなっているようです。

-- 商工会議所では、事業の立ち上げを考えている方への支援はされていますか。

北村会頭 起業セミナーの開催をしていて、若い方、県外出身の方が参加されている姿を見かけます。クラフト関係の新規事業は木工、ガラス、革、染め物など幅広く、販路開拓のために展示会を開催する支援などもしています。みなさん、横のつながりをもってお互いで助け合ったり、各工房や展示会場で作家さんがお迎えするオープンアトリエのイベント「飛騨の工房めぐり」を秋に開催したり、頑張っておられます。

高山は「食」もいいものが揃っています。飛騨牛はおいしいですし、こだわりをもって生産されている飛騨産のポークもおすすめです。そして、飛騨野菜もぜひ、知っていただきたい。夏はトマトやほうれんそう、冬の季節は長ネギが柔らかくて、鍋にするとトロトロにとろけておいしさが鍋全体に染み渡ります。商工会議所からも飲食店に飛騨産の食材を使用してもらい、メニュー名に「飛騨」「高山」の名前を入れてもらえるようなお願いをして、一緒に高山を盛り上げていきたいと考えています。

飛騨の工房めぐり
飛騨の工房めぐり
飛騨高山のクラフト展
朝市で販売される飛騨産の野菜
-- 若い方へメッセージをお願いします。

北村会頭 「積極的に動いて欲しい」ということです。困難に立ち向かわなければいけないこともあると思いますが、頑張って乗り越えて、成長して欲しいと思います。若者らしく、元気にやって欲しいですね。

 

■高山商工会議所
〒506-8678 高山市天満町5丁目1番地
TEL.0577-32-0380
FAX.0577-34-5379