大垣商工会議所 境 敏幸 会頭

Leader's Voice

失敗も成功のうち。気持ちを固定化せず、長い目で見て今を生きましょう

大垣商工会議所の境敏幸会頭

Interview

大垣商工会議所

境 敏幸 会頭

株式会社大垣共立銀行 取締役会長

大垣商工会議所の金森武副会頭
副会頭 金森 武さん
株式会社大光
代表取締役社長執行役員
大垣商工会議所の浅野圭一副会頭
副会頭 浅野 圭一さん
東海サーモ株式会社
代表取締役社長
大垣商工会議所の田中尚一郎副会頭
副会頭 田中 尚一郎さん
サンメッセ株式会社
代表取締役会長
大垣商工会議所の堤健副会頭
副会頭 堤 健さん
日本耐酸壜工業株式会社
代表取締役社長

ネットとリアルのハイブリッド、さまざまな地域の交流、連携を深めていく

――大垣商工会議所さんの活動で、今の重点を教えてください。

境会頭 新しい体制のキャッチフレーズを「Let's Together Now」、サブキャッチを「地域と共に 強く しなやかに ご機嫌で」としました。さあ、みんな一緒にやりましょうというイメージです。

従来の商工会議所の事業である、中小・小規模事業者に対する販路開拓支援はもちろん、コロナ以降に拡大したウェブの活用に、人とのリアルな交流もプラスした活動を行います。

交流に関しては、会員同士、さらには他地域や他団体との連携も考えています。地域活性化、地方創生の要素となる「人、まち、仕事」はみなさんが共通項としてもっています。別々に活動するよりも、連携を深めて事業を進めることで、付加価値が生まれてくるのではないでしょうか。

以前から取り組んでいる「SMILE SUPPORT」、ビズモデル型支援センター「ガキビズ」なども、試行錯誤しながら新しい体制に合わせて変化させていきます。変化の途中で戸惑いもあり、職員は大変だと思いますが、きっと進歩につながるはずです。そのためにも、デジタルとリアルのハイブリッド化を進めていくことが、今後の事業体制のポイントとしています。

大垣商工会議所の境敏幸 会頭との対談風景

――「会議所の行動原則 5C」について教えてください。

境会頭 5CはConnect(つなぐ)、Collaborate(協力する・力を合わせる)、Create(創造する)、Communicate(伝える)、Commit(貢献する)です。

交流を通じて関係を築き上げ、新しいなにかが生まれてワクワクできるように創造して、活性化を目指します。会議所は字の通り、会って議論する場所です。商工を意味する商業と工業に、今は情報産業や通信産業といった新しい産業も入ってきています。ぜひ、異業種まぜこぜでみなさんとお会いして議論をし、新しいものを生み出したいと思います。

例えば、みなさん、人手不足という共通の課題をもっています。合同企業展の開催を通じて一緒に採用活動をしたり、直接、大学や高校へ出向いて企業プレゼンをしたりすることなども考えています。

――ほかにはどのような交流、連携をお考えでしょうか。

境会頭 DXの活用を進められるよう、地場のDXを扱う事業者とか、名古屋や東京でDXを扱っているテック企業とコミュニケーションを取りたいとも考えています。

このようにいろいろな取り組みをしていると、職員が大変になってしまいますので、他の商工会議所と役割をシェアして取り組むのも良いのではないでしょうか。東海環状線がつながって岐阜県内の各地が近くなりましたから、交流がしやすくなっていると思います。

みなさんの要望や課題を聞いて、テックを使いながら効率よく課題に取り組むためにも、会員のみなさんの、生の声を吸収していきたいと思います。

DXセミナー

DXセミナー

――リアルな交流をされた会員さんの反応はいかがでしょうか。

境会頭 「会ってお話をすることで、他の方のリアルな話が聞けた」「今までオンライン交流だったから遠慮していたけど、質問ができた」という感想をいただいており、リアルを望んでいる会員さんは多い印象です。他地域、他団体とコラボをする際も、「このような声があがっています」と伝えることで、声をかけやすくなると思います。「地元優良企業の経営者のお話を聞きたい」という要望も出ていますので、県内のいろいろなコンソーシアムとコラボして、情報を会員さんにシェアしていきたいですね。

会員交流会

会員交流会

リアル大垣合同企業展

リアル大垣合同企業展

岐阜フェアin台湾

岐阜フェアin台湾

ご機嫌よく取り組める、創業しやすい、事業を続けやすい地域に

――大垣市で創業する方についてはいかがでしょうか。

境会頭 創業塾を行うと、毎回、60名ほどの方が参加されて、およそ1割の方が実際に創業をされています。女性の参加も多く、昨年は60名ほどの女性が創業をされました。創業する人たちがいるということは、地域に活性化する要素が十分あるということです。大垣には創業しやすい環境があることを認識してもらえたらいいですね。

創業後も商工会議所でフォローアップしていきます。創業したばかりの方に向けた取り組み内容のメニュー化を考えていますので、創業しても孤独ではないことを伝えていきたいと思います。

――やはり、いろいろな声を聞くことが今後の活性化には必要ですね。

境会頭 若い方の創業を後押しするために、子育てに関する要望があれば行政への提言もしますし、課題解決のメニュー化もすでに用意はしていますが、固定化する必要はないので、いろいろな声を聞き、いろいろ試してみてもいいと考えています。検討して、前に進められるものがないか見直す。会員さんも職員もご機嫌にできるように、みなさんが気持ちよく活動できるように、柔軟に対応していきます。

創業塾の様子

創業塾

女性創業塾の様子

女性創業塾

創業ネットワーク交流会の会場の様子

創業ネットワーク交流会

長い目で見て今を生きる

――岐阜への想い、また期待されていることを教えてください。

境会頭 一括りに岐阜と言っても、飛騨、東濃、西濃、美濃はそれぞれ文化も地域性もさまざまです。この多様性が岐阜の特徴だと思います。また、日本列島の真ん中に位置し、中山道が通っていることから、昔から人と物が常に交流してきた交差点でもあり、やはり、多様性があります。どんな人も、物も受け入れる心があり、いろんなことが起こる変化に対しても強さがあると思うのです。情報量が圧倒的に多い東京を、ほどよい距離にある岐阜から視座を変えて見ることができるのではないでしょうか。

そのため、岐阜はものづくりに強いということもあり、長期スパンの変動に耐久力がある地域だと感じます。今の経済社会は短期間収益に追い立てられがちですが、長い目で見られる文化が残っているのが岐阜です。

山も川も近く、田んぼも身近にあって自然環境という心の栄養が圧倒的にありますし、生活しやすく、豊かな文化もあります。お隣の愛知県まで行けば、アリーナで観賞できるような迫力あるスポーツもエンターテインメントも身近に楽しむことができます。世界につながる技術もありますし、江崎知事が言われるようにとても可能性を秘めている県です。

AIの時代ですが、「なんとなくここが好き」とか、「ゆったりできるよね」とか、言語化できない部分に価値があるのではないでしょうか。そう思うと、岐阜はすごくいい立ち位置にあると思います。

――若者へのメッセージをお願いします。

境会頭 今の若い方は優秀なので、反対に学ぶことの方が多いと感じています。強いて言うなら、私は長く生きている分、人生経験があるという点でしょうか。経験の中で感じることは、嫌なことや挫けてしまうこともあるけれど、後から振り返るとたいしたことないよ、自分の経験値になるよ、ということです。「長い目で見て今を生きる」です。これは森下典子さんのエッセイ「日日是好日」の中の言葉です。

この本は「いい日も悪い日も、みんないい日だと思う感性」を私に気づかせてくれました。例えば、今日は雨の日だから嫌だな、ではなく、耳を澄ませば、風情ある一粒一粒の雨音を聴くことができるいい日だな、と思える感性です。

「失敗も成功のうち」と同じで、それがダメなら次にいかせばいいのです。自分の気持ちが固定化してしまうと苦しくなってしまいます。結果は固定化しません。必ず変化します。次への展開は自分の気持ち次第なので、あまり悲観的に思わず、長い目で見て、今を生きて欲しいと思います。

ちなみに、ビジネスで参考にする本は、野中郁次郎さんの「失敗の本質」です。失敗の原因は冗長的で流されていく組織論理であり、物事を客観的に見ることと合理的に見ること、両方持ち合わせていないと組織はダメになってしまいます。やはり、物事を固定化せず、常に変化させよ、ということが書かれています。

ネットの情報は自分の好きなものがメインに出てくるので、偏ったものの見方が身についてしまいます。だから、いろんな考え方ができるように、いろんな本を読み、いろんな人の話を聞くことが大切です。というのも、私は必要に迫られた本しか読んできませんでしたが、もっといろんな本を読んでいたら、物事を多面的に考えられたのでは、と反省しているからです。

「日日是好日」は、娘から「険しい顔をしているよ」と渡された本なんです。柔らかさを感じることができたよい作品でした。おかげで、森下さんと対談させていただくこともできました。この作品は映画にもなっていますよね。主人公の体験を自分に置き換えてみてください。非常に心が休まります。心の穏やかさや物事をとらえる感性が変わるかもしれません。 主人公も気がつくのですが、お茶は考えてやるのではなく、何度も繰り返すことで勝手に身体が動くようになり、ちょっとした間に新しい発見がふと見えてくるという感覚は、おそらく、言語化できない世界にあるのだと思います。

長く生きていると「ああ、あの時のあれはこうだったのか」と後から気づくことがたくさん出てきます。ビジネスも同じです。悩んでも、次の展開に行くイメージをもつだけで気持ちが違うと思います。

あと、人生は楽しくないといけません。楽しさは探求すること、好奇心をもつということです。推し活をされている方は生き生きとしていますよね。 若い方にとってのエネルギーは、真摯に物事に取り組むこと、寛容さをもつこと、探求心を持つことの3点です。自分の心持ちを意識すれば、楽しく、面白く仕事ができるし、楽しい生活も送れるのではないでしょうか。

大垣商工会議所

〒503-8565 岐阜県大垣市小野4丁目35-10
TEL.0584-78-9111
FAX.0584-78-9112
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