地道な活動を続けて
子どもたちに可児市の良さを伝えていく
可児商工会議所会頭
藤田幸夫さん
(株式会社甲山製作所 代表取締役会長)
経営者の成長を支援する商工会議所の取り組み
-- アフターコロナとなるこれからの商工会議所さんの取り組みを教えてください。
藤田会頭 コロナによる大変な3年間が続き、ここへきて物価高もあり、それぞれの経営者さんが自己改革をしないといけないと感じています。例えば工場であればIoTを駆使して業務改善や生産性向上につなげるなど、環境の変化が求められています。
私たち商工会議所も、経営者に寄り添った伴走型経営支援に取り組んでいる中で、経営者の皆様自ら自己改革への挑戦も必要です。そこで、職員のスキルアップのために昨年10月、「目標達成管理システム」を学ぶ勉強会を立ち上げました。私が学んでいるトヨタ生産方式を取り入れた管理システムを職員にマスターしていただき、会員さんからの相談に活用していきます。今までのように、会員さんから聞いた話をそのまま専門家に渡すのではなく、職員がしっかりお聞きして自分の中で噛み砕いて理解することで、会員さんはもっと本音を話してくださるかもしれません。経営者と専門家の架け橋として、みなさんの経営状況を知るべきだと考えています。
-- 職員さんも頑張っていらっしゃいますね。
藤田会頭 「中期ビジョン5ヶ年計画」に3つの基本方針として「地域経済力アップ」「まちの魅力アップ」「組織の魅力アップ」に取り組んでいます。その中の「組織の魅力アップ」の部分で、勉強会を行っています。また、職員が順番に会員さんを訪問して、現状の様子や問題点の掘り起こしなどをしてくれており、私たちも地道な努力をしております。
基本的な考え方ですが、地元の会員さんの発展が商工会議所の役目です。10月にはインボイス制度が始まりますし、来年からは電子帳簿保存法にも対応しなければいけませんので、私たちも会員さんへの相談にしっかり対応していきます。
-- コロナも落ち着いてきましたが、イベントの再開はいかがでしょうか。
藤田会頭 2022年(令和4年)は「可児夏まつり」と「産業フェア2022」を開催しました。夏まつりは花火も打ち上げて大盛況で、このような大きなイベントは地元の活性化の為には大変、大事だと感じました。可児市のさまざまな業種の企業が自社の技術や製品、サービスを紹介する産業フェアはコロナの関係で縮小し、今までの半分の出展数でしたが、やはり中小企業にとっては大切なイベントです。次回はコロナ前以上にパワーアップさせて開催しようと計画しています。

可児夏祭りでの花火打ち上げ

産業フェア2022
代々つながる人と人とのつながり
-- 若手経営者さん向けの取り組みはされていますか。
藤田会頭 若手経営者向けに昨年、地元の優良企業の社長さんの講演会を開催しました。難しい話ばかりではなく、親近感のもてるプライベートなお話もしていただき、大変、好評でした。若い方は将来への経営の悩みや不安をもたれていると思われますので、地元の大先輩のお話を聞く良い機会だったと思っていただければ嬉しいです。
-- さまざまな方のお話を聞くことができるのはいいですね。
藤田会頭 「21世紀クラブ」という異業種交流会には本当に様々な方が参加され、みなさんご自身の意見を発言されているなど、交流の機会を多くもっています。私自身も行政としっかり連携し、冨田市長、県議会議員、経営者トップを交えての懇親会への参加や、昨年は一緒に地元国会議員へ要望書の提出にも行きました。
-- 可児市のみなさんはつながりが強いのでしょうか。
藤田会頭 可児市の経営者の皆さんは明るくて、代々繋がっていて、町のことを真剣に考えていらっしゃるからこそ、つながりが強いのだと思います。飲食店へ行くと、地元のグループが数組、居合わせるということも珍しくありません。
そして、みなさんのお話を聞いていると、経営者の奥さんも頑張っていらっしゃって、ご夫婦で可児市を盛り上げてくださっています。可児市の経済界にとって奥様は大きな存在です。またそのお子さんも続いていき、永遠と続いていかれる。このような方々がいらっしゃるおかげで、地元が成り立っていることがよく分かります。
子どもたちに知って欲しい、自然、文化、働く場がある可児市の魅力
-- 地元のつながりを今の子どもたちにも受け継いで欲しいですね。
藤田会頭 可児市の情報、企業情報を掲載した「可児の魅力・企業の魅力 発見パンフレット 2023」を発行し、地元の高校1、2年生の生徒2000人に配布しました。冨田市長が掲げている「住みごこち一番・可児」に私も賛同しており、校長先生には可児市の魅力を高校生に伝えて欲しい、配布パンフレットを保護者にも見て欲しいと伝えています。
-- 「可児の魅力・企業の魅力 発見パンフレット」の特徴を教えてください。
藤田会頭 可児商工会議所の会員企業さんのQRコードを掲載しています。簡単なDXのような形ですが、QRコードから企業さんのホームページにアクセスができるので、高校生がこれを見て、見学したり可児に住みたいなと思ってくださることを期待しています。掲載企業は昨年84社でしたが、今年は128社になりました。
先日、前田専務理事と一緒に可児地域の高校6校を回ってきました。卒業生のうち7割が進学されるそうです。そのほか3割、およそ300人は就職されるそうですが、可児市内での就職は60人程度なのでそれを増やしたり市外で就職する方も可児市から通う方も多いそうなので、なんとか、可児市内で就職される方を増やしたいとパンフレットの配布や学校訪問、高校生に向けた「企業魅力発見フェア」も可児市主催で開催しています。今年は中学生と地元企業とのマッチングもしていきたいですね。

可児の魅力・企業の魅力 発見パンフレット
-- 藤田会頭がおすすめされる、可児市のみどころを教えてください。
藤田会頭 近年、オープンした新しい施設で言うと、2014年にオープンし改名した全面人工芝の「KYBスタジアム」、昨年オープンした木曽川左岸遊歩道沿いの公園「日特スパークテックWKS(ワークス)パーク」、そして、来年運用が開始される「(仮称)可児御嵩インターチェンジ工業団地」があります。また、ぎふワールド・ローズガーデンから散策して、10分ほどの場所にある明智城跡の「明智光秀公像」もぜひ、見ていただきたい。周遊しながらおいしいものを食べて、低山散策をすれば健康にも良い。明智荘へ行くと、「明智荘をみつめる会」さんが案内をしてくれるので、歴史を深く知ることもできます。風景を楽しむなら美濃金山城跡からの景色、デートなら木曽川渡し場遊歩道(かぐや姫の散歩道)の竹林がおすすめです。

KYBスタジアム

日特スパークテックWKS(ワークス)パーク

可児御嵩インターチェンジ工業団地

明智光秀公像(明智城跡)

木曽川渡し場遊歩道(かぐや姫の散歩道)
-- ぜひ、子どもたちにメッセージをお願いします。
藤田会頭 可児市にとって子どもたちはまちの宝です。ぜひ、進学は可児地域にある6校の高校を選んで欲しく、大学や専門学校などで市外へ行かれても、また戻ってきて欲しい。冨田市長がおっしゃっているように、可児市は住みやすいまちです。一緒に未来の可児市を盛り上げていきましょう。
昔の人の頭の良さに感心、興味引かれる代々の言い伝え
-- 最近、プライベートの時間で何か発見はありましたか。
藤田会頭 NHKの番組「ブラタモリ」を見ていて今年、本を購入しました。名古屋と岐阜のことが書かれている部分を読んだのですが、昔の方はなんて頭がいいんだと感心しました。特に名古屋城と熱田神宮は、象のような形の熱田台地の鼻にあたる北端に名古屋城、南端に熱田神宮があり、岩盤の強い台地の上に建っているので、災害リスクが比較的低いのだそうです。そんな事をなぜ、昔の人は知っていたのかと思うと不思議でたまりません。岐阜城も金華山の頂上まで木材を運ぶ事も気の遠くなる話ですし、世界でもアスカの地上絵などは古代人がどの様に書いたのか本当に不思議です。私の実家でも「昔から家には鬼門があり、土地には荒神様が居るので造作する時は必ず地鎮祭をせよ」と先祖から伝え聞いて守っています。先祖や諸先輩方の話は過去の経験から意味がある事も多いので先に生まれた方の話に耳を傾け、今の自分の生活、仕事を振り返り、いい方向に役立てていければと思います。
可児商工会議所
〒509-0214 岐阜県可児市広見1-5 可児市総合会館3階
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FAX. 0574-63-1856