覚悟をもって改革、挑戦。
新たな価値観の創造の
ために。


関商工会議所会頭
坂井勇平さん
(株式会社ジー・サカイ 代表取締役会長)

みんなで一丸となり、意見を出し合い、
事業に取り組んでいく。

―― 関商工会議所の活動の目的、方針を教えてください。

坂井会頭 日本は人口減少、少子高齢化の状況から、人、社会、産業の構造が大きく変革する時期を迎えています。企業や地域活性化のためには、新たな発想による価値観を創造し、イノベーションを高めることが必要です。そこで、関商工会議所ではイノベーションプロジェクト推進に取り組み、地方創生、働き方改革、生産性向上、事業承継、雇用創出につなげる活動を行なっています。

―― 力を入れている活動を教えてください。

坂井会頭 「人づくり」「ものづくり」「地域づくり」「国づくり」の4事業と「地方創生プロジェクト委員会」を中心に、それぞれ常議員と議員で組織をつくり、取り組んでいます。

1.人づくり事業

人材育成のために、主に生産性向上や企業のデジタル化に関する講演会やセミナーを開催しています。企業は確かな利益率と生産性の向上が必要だと、私はさまざまな場面で伝えていますが、そのためにもデジタル化を進め、企業が時代の変革に対応していくことが大切だと考えています。

2.ものづくり事業
新しい生産方式、及び、新しい価値観の導入によって生産性を向上させていくことを目的とした事業です。企業PRの動画づくりの支援を行うほか、関商工会議所のホームページにて「関商工会議所 ビジネス WEB ステーション」として、ウェブ見本市のような形での発信もしています。生産方式には「トヨタ生産方式」を参考に、改善、合理化、機械化を推進し、企業のみなさんに取り組んでいただけるよう、講演会やセミナーを開催しています。

セミナー風景

セミナー風景


3.地域づくり事業委員会

中心商店街や観光推進など地域の活性化を支援することを目的にしています。商工会議所が中心となり、行政やJA、岐阜県関刃物産業連合会などで実行委員会を組織して「関の刃物とまちおこし・ご当地グルメ大会」を開催しています。しかしながら、昨年に引き続いて新型コロナの影響により中止を余儀なくされたため、コロナ禍で大きな影響を受けている会員飲食店の応援企画として、スマートフォンでQRコードを読み取る非接触型の「グルメ・スタンプラリー」を新たな事業として実施しました。

4.国づくり事業
国、県、市の事業を支援する事業です。例えば、自然災害や感染症の危機管理の啓発を行なっています。東日本大震災や熊本地震の際には視察研修として、みなさんから集めた募金を直接、お渡ししながら、リアルな状況を現地で確認してきました。普段から商工会議所同士がつながりをもつことで、災害時など緊急時にお互いが協力し合える体制を整えておくことが大切だと考えています。

被災地への視察研修にて、熊本商工会議所さんと。

被災地への視察研修にて、熊本商工会議所さんと。


5.地方創生プロジェクト委員会

人口減少や少子高齢化など直面する課題に対して、行政や他団体と連携して取り組むため地方創生プロジェクト委員会を組織しました。委員会では、「関善光寺」や「名もなき池(通称・モネの池)」など、観光資源のブランド化と名所の保存を目指し、関市にある伝統、歴史的建造物、自然、文化など、遺産と呼ぶに相応しいものを「せき遺産」として認定しています。「せき遺産」をテーマにした俳句コンテストやフォトコンテストを2019年から毎年行い、全国から作品を募集しています。全国に発信することで関市を知っていただき、また、遠方から関市へお越しいただくことで関市の活性化につながるのではないでしょうか。市民のみなさんにも地元の魅力を再発見してもらえればと考えています。

 

 

フォトコンテスト入賞作品

フォトコンテスト入賞作品

全国「せき遺産」俳句・フォトコンテスト表彰式

全国「せき遺産」俳句・フォトコンテスト表彰式

―― これまでの関商工会議所と異なる点はありますか。

坂井会頭 関商工会議所は会員のみなさまの目線に立ち、地域総合経済団体としてお役に立てる、また、活力ある団体を目指しています。そのために、時代の変化に合わせて、これまでの商工会議所の体質を壊そうとしています。私は、それまでの価値観のままでいるのは好きではありません。どんなことでも改革を求めています。それは、意識改革に真剣に取り組んでいかないと生き残っていけないからです。この私の考えについて、常議員も議員も職員も理解を示してくださり、みんなが一丸となって叡智を結集し、取り組んでいるところです。委員会などでは、誰もが発言できる雰囲気をつくり、質問や意見を出し合いながら各事業を活性化させています。
このような取組は私一人ではなかなかできません。私の価値観を理解していただき、実行してくださるみなさんに感謝しています。

変革することで「刃物のまち」
関市をさらに活性化させていく

―― 関市の印象を教えてください。

坂井会頭 関市と言えば「刃物のまち」です。長年、刃物が関市の経済を引っ張ってきました。特に昭和30年代は「西のゾーリンゲン、東の関市」と呼ばれるように、この二都市が世界の刃物市場を独占していました。関市は先人の努力により、昭和50年代になると刃物産業の最盛期を迎え、作ればアメリカやヨーロッパにどんどん輸出される時代がありました。商店街も賑わい、関市に活力があった時代です。

―― 今後、さらに刃物のまちとして成長していくためには、どんなことが必要でしょうか。

坂井会頭 残念ながら、円高やリーマンショックを迎えると刃物産業は衰退を始めました。そこで、私は12年前、経済成長していくため、刃物業界のみなさんに「今こそ第4次刃物産業革命を目指す」と宣言しました。周囲からは「坂井はまた大きなこと言っている」と思われていたでしょう。しかし、私は当時から「経営者自らの意識改革が必要。意識改革なくして経済成長なし」と言い続けています。生産の機械化を勧め、デジタル化、AIやIOTの導入、ネット社会へと頭脳のものづくりへと変革しなければ、刃物のまちとして生き残っていけないと考えているからです。

―― 実際、刃物生産業では機械化、AI化が進んでいるのでしょうか。

坂井会頭 おかげさまで、関市の刃物の注文はたくさんいただいています。これまでに手作業から機械化に変化した企業も増えており、多くの要望に応えることができています。さらに、工業機械や産業用の刃物として精度を高めて精密部品化、質の良い刃物を生産することで、利益を得ることができると考えています。また、自社ECサイトでネット販売も可能です。確かな利益を得るためにやるべきことはあるのです。意識を変えて、イノベーションできる企業は今後、伸びていくでしょう。

―― 合理化や生産性の向上が確かな利益につながるのでしょうか。

坂井会頭 日本は少子化によって将来、人材不足になることは分かっています。関市が「刃物のまち」を続けていくために、生産の無駄をなくし、合理化によって生産性を高めて、確かな利益をあげることは必要なことです。コロナ禍以降、日本では半導体不足が課題になりましたが、先のことを考えた時、安価だけを求めず、必要なものを自らの会社で作ることも考慮しないとなりません。私たち中小企業がもっとがんばらないといけません。

覚悟をもって生き、
自然の中では頭を空っぽに。
メリハリをつけた毎日。

―― 坂井会頭はどのような学生時代を過ごされましたか?

坂井会頭 私はやるのも観戦するのもスポーツが好きで、学生の時は野球部に所属していました。昔はうさぎとびを奨励し、水を飲むことが禁止されていましたが、これはまったく根拠のないこと。最近は野球部の仲間とひざや肩の痛みを感じており、かつての無茶な練習が影響しているのではないかと話をしています。生産性の話にもつながりますが、何事もデータに基づいて行動することが大切だと実感しています。

―― 野球部でのポジションは?

坂井会頭 4番バッターでピッチャー、チームの力として頑張りました。学生時代に多くのことを体験し、「逃げないこと、覚悟をもつこと」を18歳までに学びました。自社の代表や関商工会議所の会頭など、リーダーという立場になった今、覚悟をもたなければ大勢を引っ張っていけないのでは、と感じています。

―― 休日はどのように過ごされていますか。

坂井会頭 時々、峠などの自然に囲まれた場所で、何も考えず、川の流れや鳥の声を聴きながら自分を見つめ直し、「自分は生きているな」と感じています。そして、誰もいないところでにぎり飯を喰らう。私は織田信長が好きなので、信長みたいな気持ちでお腹を満たします。

―― お一人で行かれるのですか。

坂井会頭 一人の時もありますし、家族や仲間と行くこともあります。関市は自然が豊かなので、気軽に行けますし、岐阜県内の遠方へも出かけます。70歳を過ぎてから自然へ興味をもつようになりました。

秋の川浦渓谷

秋の川浦渓谷

自ら「挑戦」を体験。失敗を恐れず挑戦して欲しい。

―― 最後に、若い方へ向けてメッセージをお願いします。

坂井会頭 「夢をもって挑戦すること」です。私は刃物業界に就き始めた22、3歳の頃、「世界一有名な刃物メーカーと取り引きをしたい」と考えました。そこで、米国で高い評価を受けていたナイフブランド「ガーバー ナイフ」(アメリカ オレゴン州 ポートランド)に「なんとかお付き合いしたい」と、代理店を通じて声をかけ始め、それから5年。遂にOEMパートナー「ガーバーサカイ(G・SAKAI)」としてナイフの製造を始めることができたのです。当時、パートナーに認められるまで、給料のほとんどをガーバーのナイフに費やし、ナイフを分解をして自社製品とどこが違うのかを研究しました。苦労はしましたが、その頃のナイフづくりが今の原点になっています。ぜひ、みなさんも失敗を恐れず、挑戦して欲しいと思います。

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