野田 聖子 衆議院議員

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「海外ホームステイ」、「普通をずらす」がキーワード 子どもたちのEQを育てる教育を

「海外ホームステイ」、「普通をずらす」がキーワード 子どもたちのEQを育てる教育を | 国会議員

Interview

野田 聖子 衆議院議員

子育て環境を整えて、子どもたちにはEQを育てる教育を

―― 今回は子育てと子どもたちへのメッセージをテーマにお聞きしていこうと思いますが、まずは、子育てしやすい環境づくりについてお聞きかせください。

野田議員 近年の人口減少の1番の理由は少子化です。子どもを産みたくても産めない社会になっているからです。そのため、岸田政権以降、かつてないほど子どもに関する政策を政治の中心に置いてきましたので、いろんなことが変わってきています。そして、前提として考えなくてはいけないのは、日本はガスや石油といった資源が出ない国のため、人が働くことが経済のエンジンになることです。そこで、男女関係無く働けることが大事。おそらく今後、定年退職の概念も無くなり、働きたい人は働き続けることができるようになるでしょう。それも、年齢が上がるほど給料が下げられるような惨めなことをせず、能力に応じた給与形態を岐阜が真っ先にやればいいと思うのです。岐阜モデルとして、1つの仕事に対して同一労働、同一賃金にして、頑張ったことが報われる地方になれば、都会に行ってしまった女性たちは戻ってきます。

―― なぜ、女性の働き方が大事になるのでしょうか。

野田議員 消滅の危機にある都市の分母は子育てがしやすい20代から30代の女性が関わっているからです。女性が岐阜で働けばきっと、結婚もするし子どもも増えます。育児・介護休業法の改正が行われ、2025年にさらなる改正が施行されるように、子どもを育てる大事なプロセスとなる育児休暇を女性も男性も取りやすくなります。ほかにも、テレワークを企業に義務付けて家で仕事ができるようにするなど、子育てしやすい社会をどんどん岐阜県で率先して実施すれば、他県から岐阜県に来る人がいるでしょう。先手先手で動いて欲しいと思います。

―― 学校教育についてはいかがでしょうか。

野田議員 「10年先」を考えましょう。きっと10年も経たないうちに、チャットGPTの5oやもっと先のものが提供されると、今、学んでる受験に必要な学問は不要になると思います。IQよりもEQ(心の知能指数)、人間にしか持てない感受性や情緒を尖らせる教育が必要ではないでしょうか。すでに岐阜市は学校になじめない生徒をちゃんと救い出して、生きていける場所(草潤中学校)を作りましたから、こうした方法をどんどん先行していくべきです。来年の受験を考えるよりも、10年後の日本の人材を見据えた教育先進県になって欲しい、いや、なれると思います。 今、「変」だと思うことが、後のバリューになります。たとえば身近な話題だと、岐阜駅北口広場の「黄金の織田信長像」が建った当初はめちゃくちゃ叩かれたのに、Instagramが浸透して映える像になったら、岐阜市のシンボル像になりました。何が起きるかわからない世の中なので、今の常識が10年後には消滅すると思うぐらい、飛んだ発想でいいと思います。

子どもたちには、海外でのホームステイを経験して欲しい

―― 世界に向けた子育てや教育についてはいかがでしょうか。

野田議員 5月に行われた日経フォーラム 第29回「アジアの未来」にて、韓国国立外交院長 朴喆煕 (パク・チョルヒ)氏と1対1でバイ会談をしました。日韓関係の発展や改善のために必要な事についてお話しましたが、やはり、外交で周りの国々と仲良くできることが1番の安全保障だと感じました。武器ではなく、人の行き来です。だから、義務教育のうちに1回は、子どもたちが半年から1年ほどの海外生活を経験できる国を何ヵ国もつくることが良いと思います。岐阜に住む人が意外と岐阜の魅力に気がつかないように、子どものうちに岐阜以外のものを見ることで比較対照もできます。このように、人への投資、岐阜の子どもたちへ投資をするべきです。海外の方とのコミュニケーションはオンラインでもできますが、その国で暮らして空気を感じることが大事です。「やっぱりふるさとがいいわ」ということも学べると思います。

―― 同じような経験をされたからこそ、実感されているのでしょうか。

野田議員 私は高校生の時、一年間のアメリカ留学をしました。それまで家族のことはそれほど思ったことはありませんでしたが、1人ぼっちで ホームシックになった時にやっぱり日本がいいなと思いました。嫌なことも経験しながら、日本のいいことも嫌なことも見つけて欲しい、自分の心を外に放って欲しいのです。戦争をしなくても強い国になって欲しいからです。そのためにもやっぱり「心」。心を養うために1回、外に出た方が良いと思います。他人の釜の飯を食う、というのは大事なことです。 教育委員会には、ぜひ、岐阜の子どもたちにホームステイを経験させてあげてください。県や企業から寄付を募って、家庭にホームステイ費用をかけさせず、小学生や中学生の短期留学を毎年実施する。そうすれば、本当に凄まじい多様な人材が生まれてきます。絶対、成人した時に結果が出てきます。

―― 小学生さんや中学生は海外でどんなことを勉強すれば良いでしょうか。

野田議員 勉強しなくていいんです。例えば、スポーツクラブに入るとか、行事に参加するとか、それでいいのです。アメリカはシーズンスポーツをするので、私が一年間、アメリカにいた時は、春はソフトボール、夏はバスケット、冬はバレーボールとか、学校の行事で遠征試合に行きました。EQが大事で、人とのコミュニケーションや、その国を知り、人を学びに行くことが目的になって良いのです。一緒に歌ったり踊ったりすることでお互いの財産になります。反対に相手国から来てもらうことも大事。その結果、お互い、留学先の国でよくしてもらった経験が、ゆくゆくの他国への恩返し、安全保障につながっていくのだと思います。ヘイトは作らない。他国をけなしても自国は伸びませんから。

子どもたちに伝えたい「普通をずらそう」

―― 今の日本の教育現場はいかがでしょうか。

野田議員 もはや、これまでの教育の方法は限界がきていると思うので、複数担任制や教科担任制に変えるべきだと思います。教育に関しては地方主権なので、どんどん各教育委員会で始めたらいいと思います。そうすると、才能のある子どもたちが岐阜にいっぱい集まりますよ。岐阜に来れば気持ちが楽になる学校を作って欲しいと思います。

―― 子どもたちへこれだけは伝えたい、ということを教えてください。

野田議員 私たちの頭や心の中にある「普通をずらそう」と伝えます。私の友人が書いた本のタイトル「普通をずらして生きる」が最近、聞いた言葉の中で一番、ピンときました。「変える」ではなく、「ずらす」ことで新しいものが生まれてくるよ、ということを子どもたちに伝えたいですね。そして、この本のサブタイトルが「ニューロダイバーシティ入門」で、自閉症の子がもっている異能やその子にしかない力を伸ばしていく、画一的ではない多様な教育を作る行動を「ニューロダイバーシティ(神経の多様性)」と言います。そもそも普通ってなんでしょう。もう大人はいいんです。これからの子どもたちに知識やチャンスが与えられるような教育を期待しています。

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