INTERVIEW
Leader's Voice
あたり前と思わず美濃市の良さを発見し、日本へ、世界へ発信していく
Interview
松久 豊太郎 会頭
大福製紙株式会社 代表取締役社長
代表取締役
代表取締役
【松久会頭メッセージ】
企業・事業主には伴走型支援を、子どもたちには地元愛を
— 現在、美濃商工会議所で力を入れて取り組まれている事業について教えてください。
松久会頭 事業を始めようとしている方に向けた創業支援講座「みの創業塾」を開いています。創業に必要な準備などをお話し、講座修了後も継続的に伴走型支援を行っています。また、昨年8月には、カーボンニュートラル対策につながる「エネルギーコスト削減セミナー」を開催しました。講座を受けていただいた方には、個別の省エネ診断も案内しています。診断は結果だけでなく、具体的な省エネ対策の提案や補助金の案内をしていただけます。弊社も診断を受け、設備改善・更新のみでなく、自然エネルギーの活用についても提案がありました。提案ごとに、Co2削減量や電気代等の削減額及び設備投資額の提示があり、非常に参考になりました。有意義な事業として、今後もセミナーを続けていきたいと思います。
DXに関するセミナーや個別の支援も行っています。ペーパーレス化はなかなかハードルが高いと思われますが、この先、人材不足にも対応できるよう合理化しないといけない状況ですので、そのとっかかりとなる事業になります。
— 雇用対策も必要になりますでしょうか。
松久会頭 岐阜県内の企業では、採用がなかなか難しい状況にあります。県内の高校生・大学生に市内企業の魅力を知っていただくため、リクルートガイドを作成しました。企業情報については美濃商工会議所のホームページにも掲載していますが、希望企業を募って冊子にし、直接、手に取ってみていただけるよう、岐阜県内の高校、大学などに配布しました。次号はさらに掲載企業数を増やしていきたいと思います。
— 学生さんやお子さん向けのイベントはいかがでしょうか。
松久会頭 夏休みを利用した工場見学ツアー「GO TO MINOTORY」や小学5・6年生対象の「ジュニアエコノミーカレッジ」を開催しています。「GO TO MINOTORY」は小学生親子や、中学生、高校生に参加していただき、バスに乗って企業を回るイベントです。企業さんにも大変、喜んでいただいています。高校生は就職先を考えるきっかけにもなりますし、保護者さんには美濃市の企業や美濃市発のものづくりを知っていただくきっかけになっています。
「ジュニアエコノミーカレッジ」は商売体験を通して、「自ら決断し行動できる人材の育成を目指す」プログラムです。1泊の研修も含めて複数回にわたって、商品企画から決算発表会までを行います。グループで模擬株式会社を設立し、何を売るか考えながら商売の大変さやいろんなことを考えます。最後は「美濃市総合フェア」で自分たちが作った商品を販売します。接客を学ぶこともできますし、売り上げは寄付のほか、一部を報酬として受け取ることができます。50歳前後の企業の社長さんたちに指導していただくので、リアルな実社会体験ができます。こちらも今後、継続していきたいと考えています。
— かなり本格的な内容ですね。
松久会頭 美濃市総合フェアでは、ホットドックや唐揚げなどを販売していました。銀行でお金を借りる想定でプレゼンをするなど、意外と厳しい指導もあるようです。参加したお子さんに10年先の美濃市を大事にしてもらえるように、地元愛を育てていきたいと思います。
歴史、文化、自然が豊かな美濃市の良さをアピールしていきたい
— 美濃市の将来的なイメージはおもちでしょうか。
松久会頭 美濃市に多くの人に訪れていただき、魅力を知っていただきたいと思います。同じ金森長近城下の高山市には観光客が多く訪れていることを考えれば、美濃市の自然・文化にはもっと多くの観光客を呼び込む魅力があると思います。うだつの上がる町並みでは遅い時間まで営業しているお店屋さんが出てきましたし、地ビールのお店や町家を改修したホテルが営業をはじめていますが、観光客が利用できるさらに多くの飲食店ができることを願っています。
市では空き家活用に力を入れていて、移住者も増えています。いちごの新規就農者さんやうだつの上がる町並みにオープンしたクラフトビールのお店の方は、美濃市を気に入って引越しされたようです。市外から来られる方が美濃市に元気を注入してくれています。移住して起業を希望される方を商工会議所としても応援しています。
— 美濃市は年間通して、イベントが盛んに行われていますね。
松久会頭 イベントの時に人が賑わうので、普段の日の賑わいも欲しいところです。うだつの上がる町並みに来ていただく観光客の方が昼も夜も食事できる場所が選べるように、やはり、空き家を活用していただけるといいなと思っています。あとは川原でキャンプやバーベキューをするのに適した場所がありますので、もう少し上手にPRすることも必要かな、と思っています。美濃市は自然に恵まれ、その自然の恵みによって紙漉きが盛んになった経緯がありますので、歴史、文化、自然を売りにできればと思います。
今年、令和6年度は市制施行70周年です。1954年の昭和29年4月に美濃市が誕生し、私はその年の7月に生まれましたので、私も今年70歳になります。そして、美濃和紙の里会館がオープンしてから30年、本美濃紙がユネスコ無形文化遺産に登録されてから10年を迎える、記念の年になります。
— 松久会頭の散歩コースにもなっている小倉公園周辺は歴史、文化、自然が集約されていますね。
松久会頭 小倉公園の周辺は美濃橋、曽代用水、川湊灯台があり、見どころがあって景色も良い散策にぴったりの場所です。そのため、あの周辺をもう少し活用するといいなと思っています。また、小倉公園の近くで、私の親戚が所有している古民家を今、ホテルに改装しているところです。7月のオープンを予定しており、宿泊者が調理できる場所も作り、合宿もできるホテルになります。公園と一体化した利用ができるといいなと思っています。
— 美濃和紙のPRなどはいかがでしょうか。
松久会頭 東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会で入賞者に贈られた表彰状に美濃手すき和紙が採用されたこともあり、世界での評価が高まっています。本美濃紙が海外の美術館で美術品の修復用に使わるなど、美濃和紙の品質の高さが認められているのです。美濃和紙を使用した、和紙マスキングテープは海外で人気がありますし、コンデンサのセパレーターに和紙が使われています。どんどん和紙の良さを見つけ出し、特徴や良さを発信していきたいと思います。今治タオルとコラボした今治美濃和紙タオルのように、他業種とのコラボにも可能性を広げています。
和紙に限らず、中小企業にもっと元気になってもらいたいと思います。自社のオリジナルを作るなど、多くの差別化を図り、魅力をつけていくことが必要です。
— 会頭のプライベートについてお聞かせください。
松久会頭 趣味はゴルフです。ゴルフを楽しめるよう、筋力を鍛えるためにも普段は昼休みの時間を利用して散歩をしています。小倉公園周辺にある歴史的遺産を眺めながら、長良川や山々の四季の風景も楽しめる散歩コースです。
— 子どもたちや若者に向けてメッセージをお願いします。
松久会頭 「夢をもって生きてもらいたい」です。世界で活躍しているスポーツ選手がいるように、さまざまな分野で可能性があると思います。自分の夢を叶えるためにも、いろんなことに挑戦し、夢を叶えてもらいたいと思います。
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