INTERVIEW
Leader's Voice
関の可能性を応援、子どもたちの地元愛も育てていきたい
Interview
鈴木 良春 会頭
鈴木刃物工業株式会社 代表取締役会長
代表取締役社長
代表取締役社長
商工会議所創立70周をきっかけに、関の歴史を見つめ直し、この先のまちづくりにつなげたい
―― 関商工会議所の今年の目玉となる事業について教えてください。
鈴木会頭 今年度、関商工会議所は70周年を迎えます。記念事業として、春日神社を会場にした能や狂言の鑑賞会を考えています。春日神社の創建は1288年(正応元年)で、大和鍛治が関にやって来た際に関鍛治の守護人として大和の春日大社の御分霊をお迎えした神社です。江戸時代には神事能が行われていたとのことで、古式に則った能舞台を記念事業で行いたいと思っています。関市、刃物業界の各種団体、関伝日本刀鍛錬技術保存会などのみなさんと実行委員会をつくり、もう一度、春日神社の歴史を振り返り、先人の思いを見直したく、市民の皆さん、さらには市外、県外、県外も含めてPRしていきたいと思っています。開催日は「いい刃の日」の11月8日に開催したいなと考えています。
―― 地元愛につながる記念事業になりますね。
鈴木会頭 先人たちがこの景色を眺めながら日々努力されてきたことに思いを馳せ、原点に戻りましょうという思いをみなさんと共有したいと思います。また、創立70周年記念式典は来年を予定しており、これまでの商工会議所の歴史を私たちが受け継ぎ、次の世代に渡す大事な式典にしたいと思っています。これらの記念事業をきっかけに、地元愛を育てていくこと、次の世代に繋いでいくことも大事なことだと考えています。私たちの思いが若い人たちにつながり、関市の歴史をもう一度見つめ直し、この先、どのようなまちにしていくのか考えるきっかけになると嬉しいですね。
子どもたちや高校生に関の産業を知ってもらえるようにPR
―― 記念事業以外に力を入れられている取り組みを教えてください。
鈴木会頭 昨年、地域活性化委員会を立ち上げ、地域の活性化と発展について、各種団体や議会へのヒアリングを行ってきました。ヒアリングを行っていると、まだまだ掘り下げて、議論を重ねなければいけない課題がたくさんあることがわかりました。今年の夏頃に中間報告をする予定です。中間報告は各団体へはもちろん、商工会議所レベルでの考えを行政にも伝えることも大切だと考えています。
また、2024年4月からの働き方改革について、景色が私自身はまだ見えてこないのですが、ロジスティック、建設関係、病院関係をはじめ、全ての面で大きく変わるような気がして、少し、心配をしています。しっかり向き合っていかなければいけません。昨年からのインボイス制度や電子帳簿等保存制度などについて商工会議所へご相談にいらっしゃる方もいますし、今年は大きなターニングポイントになるのではないでしょうか。
また、働き方改革自体に関する考え方は賛成なのですが、今から実行しなさいと言われてもしばらくは実態が掴めない状況です。会員さんからご相談を受けた時、商工会議所が良きアドバイザーになれるよう、情報をたくさんもって進んでいかなければいけません。在庫管理のためのDX化など、タイムリーなアイデアを提供するなど、的確な回答、丁寧な対応をすることで、商工会議所に相談して良かったというお声が1つでも2つでも増えればありがたいことです。
―― 関での就業への呼びかけや若い方に向けたイベントはいかがでしょうか。
鈴木会頭 「ビジネスプラス展 in SEKI」や「関の工場参観日」を行っています。地域発展の一助として、商工会議所が協賛の形で応援させていただいています。起業される方々向けに専門家がアドバイスをする「関市ビジネスサポートセンター」があるので、ぜひ、起業を考えている若い方達には頑張っていただきたいと思っています。おおよそ、1ヶ月に100件ほどの相談があるようです。地域発展の大きな力になっているのではないでしょうか。個人的に弊社もサポートできればと思っています。
―― 「関の 工場参観日」はお子さんの参加も多いのでしょうか。
鈴木会頭 関商工高等学校が授業の活動として取り入れたり、家族が働いているところを見学したり、一般の方も含めて子どもさんから大人までさまざまな方が参加されているようです。工場の製品に関するワークショップもあり、子どもたちが関の産業を実体験することで思い出として頭の片隅に残してもらえれば、県外へ出て行くことがあってもUターンで戻ってきてくれるのではないかと期待をしています。
刃物はもちろん、有名メーカーのゴルフボールやコンタクトレンズの製造工場があったり、自動車関連、航空部品の事業所など、大企業の工場や事業所が関市にあることを知って、「すごいね」と、子どもも大人にもも共感してもらえたら嬉しいですね。
おじいさんの喜ぶ顔が見たくて、山へ川へと駆け回った子ども時代
―― 最近、印象に残っていることがあれば教えてください。
鈴木会頭 絵が好きで、時々、東京国立博物館を訪れるのですが、これまでに印象に残っているのは六波羅蜜寺の改修に伴って開催された特別展で「空也上人立像」を直接見た時です。レプリカも買い、文献も読みあさるくらい感動しました。最近は岐阜県史を読んでいまして、関市武芸川地域にに大きな豪族ムゲツ氏がいたことを知り、古い歴史があることに驚きました。あとは、あまり時間をつくることはできませんが、月に1、2回ほどゴルフへ行きます。できるだけ食べ過ぎないよう、飲みすぎないようにして健康を気遣っています。お酒も本当に好きなのは日本酒なのですが、体のためにワインを飲むようにしています。
―― 最鈴木会頭の子どもの頃の思い出を教えてください。
鈴木会頭 昔の人間ですから、夏は川へザリガニを捕まえに行かなあかんし、うなぎもとらなあかんし、水泳にも行かなあかんし、秋は山へ栗を取りに行かなあかんし、冬は冬で、鳥を捕まえなあかんし、そういう遊びしかなかったので、やんちゃをやってました。中学、高校は野球で厳しい練習をして、暗くなってやっと家に着く毎日でした。
―― 捕まえなければ“いけない”というのは、どういうことでしょうか。
鈴木会頭 私が獲ってきたザリガニは祖父が喜んでくれたからです。そのままフライにして、お酒のつまみにしていました。うなぎを獲ってくれば、祖父が自分でさばいて焼いて、これも酒のつまみにして「うまい、うまい」と言いながら喜んで食べている姿を見て、ああ、また明日も取りに行かなあかんな、と思ったものです。田舎の農家で育ちましたから、子ども時代も学生時代も遊びが仕事みたいなものでした。おじいさんと孫の交流と言いますか、楽しかったですね。今は私が孫に遊んでもらってます。
―― お孫さんとはどのように過ごされているのでしょうか。
鈴木会頭 小学2年生の孫と一緒に岐阜関カントリー倶楽部の練習場へ行き、一緒にゴルフの練習をしています。夏にはラウンドに連れて行くことを考えています。本当は栗拾いに行くなど、自然にふれる遊びが楽しいのですが、今の子どもたちにはその楽しさを分かってもらえません。ゲームをしている方が楽しいようです。私たちの小さな頃と価値観が違うことを実感しています。
―― 子どもたちに向けたメッセージをお願いします。
鈴木会頭 学校や行政が関市に関するさまざまなイベントを企画していますので、できるだけ参加して欲しいと思います。ビジネスプラス展のように、私たちの足元を知ることができるイベントもありますし、岐阜県産業技術センターには、機会があればぜひ、新しい技術を子どもたちに見せて欲しいと伝えています。親御さんや先生もぜひ、子どもたちに関の産業を見て、体験できるチャンスがあれば一緒に参加して欲しいと思います。
関商工会議所
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