高山商工会議所 林 俊宏 会頭

Leader's Voice

新しさを受け入れながらも、高山城復元や高山の心根を受け継いでいく

高山商工会議所の林俊宏会頭

Interview

高山商工会議所

林 俊宏 会頭

株式会社林工務店 代表取締役

高山市商工会議所副会頭堀泰則さん
副会頭 堀 泰則さん
株式会社ひだホテルプラザ
取締役会長
高山商工会議所副会頭蓑谷雅彦さん
副会頭 蓑谷 雅彦さん
株式会社みの谷
代表取締役
打江信夫副会頭
副会頭 打江 信夫さん
株式会社打江精機
代表取締役社長

増えていく起業者と宿泊施設、ハブ機能を持たせた観光にも期待

――高山商工会議所さんの活動で、重点を置かれていることを教えてください。

林会頭 商工会議所の本来の職務である中小事業者の経営支援をメインに、スタートアップ、創業支援にも取り組んでいます。高山は起業しやすい環境があるためか、毎年、起業セミナーの募集を開始すると、1回のコース35名の定員がすぐ埋まってしまいます。年3回開催していますので、1年で100名近い方がセミナーを受けられている状況です。

高山商工会議所林俊宏会頭との対談風景

――起業される方はどのような職種が多いのでしょうか。

林会頭 インバウンドの関係で、飲食店やゲストハウスを始められる方が多くいますし、他にも、スモールビジネスやクラフト系、ティーチャー系、ビューティー系などです。女性も若い方も多く受講されているので、ありがたいなと思います。

――みなさん、高山の方でしょうか?

林会頭 地元の方はもちろん、UIJターンの方もいます。高山を気に入ったから移住して働きたい、ビジネスを始めたいという方や、朝市で売られている野菜を食べて、その野菜を使いたいから高山で飲食店をオープンさせたいという方もいます。

高山は観光地でもあるため、人口の割に飲食店が多いことと、高山市が創業者に対して、起業セミナーの受講修了と、市内への移住を条件に補助を用意していることから、起業を希望される方が多くいます。

中心市街地の話にはなりますが、移住や開業で空き家が埋まり、降りていたシャッターが開くといった、全国的にも珍しい状況になっています。ただ、順調に店舗が増えている反面、人手不足の影響で、夜営業をされないお店もあり、食事をする場所が限られてしまっていることが課題です。続々とホテルも建設されていますが、夕食提供がないホテルがほとんどです。

起業セミナーの様子

起業セミナー

――宿泊施設も増えているのですね。

林会頭 ゲストハウスも高山市内だけで300ほどあり、ここ数年の間にホテルの宿泊部屋数が6000室ほどになる予定です。東海圏内では名古屋、金沢に次ぐ部屋数になるとのことで、観光に来られた方が、高山から立山、金沢へ出かける方も多いようです。松本にも80キロほどで行くことができます。そのため、飛騨高山観光コンベンション協会では、高山にハブ機能をもたせる観光を考えているようです。

――子どもたちに向けた企業情報の発信はされていますか?

林会頭 インターシップとユーターンをかけ合わせた、ユーターンシップ事業を行っています。さらに、学校や他団体が実施している中高生向けの職業講話や職場体験、小学生向けの「地域域お仕事発見隊」の受け入れ先の募集などにも協力しています。


山岳観光と高山城復元も目指していく

――また、会頭に就任されて、林会頭ご自身の今後の展望などをお聞かせください。

林会頭 北村前会頭が思い描いていた二つの展望を引き継ぎ、進めています。

一つは山岳観光です。高山市には乗鞍岳があり、北へ飛騨山脈がつながっています。飛騨山脈の東、長野県側には上高地も含め、大自然と風景をいかした観光を進めていきたいと考えています。

もう一つは高山城の復元です。中心エリアの東方に位置する城山(巴山)にお城があり、高山が城下町だったと理解している地元の方は少ない印象です。赤い中橋から見上げるイメージを復元推定図として描き、取り組み出したところです。城主の金森長近(かなもりながちか)の生涯を描いた郷土教育マンガを高山市と高山市教育委員会が制作しています。私たちも地道ですが、郷土の偉人を多くの方に知っていただけるよう活動していきます。

高山城復元推定図

高山城 復元推定図

 

また、北村前会頭もおっしゃっていましたが、高山城の復元を手掛けることは、昔ながらの伝統工法の技術をもっている大工さんをはじめ、飛騨の匠の技術を伝承していくことにもなります。

高山には、祭屋台の修理をする専門職人がいます。屋台そのものを修理する宮大工、餝金具や漆塗りなどを施す職人が集まり「高山・祭屋台保存技術協同組合」として活動されており、祭屋台に関わるほとんどの職人が一箇所で揃うのは全国でも珍しいそうです。さらには、高山は美術工芸の聖地のようなところがあり、春慶塗りや一位一刀彫を学ぶために、全国からお弟子団が集まってきます。もっと言えば木工会社や家具メーカーへ就業される方が全国からあつまってくるように、ものづくりの地域です。

このような高山で培われてきた本物の技術が集結して復元した高山城が500年後に、国宝になればいいなと考えています。

戦国武将「金森長近」のマンガ本の表紙

飛騨高山を築いたまちづくり名人の戦国武将「金森長近」のマンガ本


「高山らしさ」とは。今だからこそ住民に高山の良さを再認識してもらいたい。

――インバウンドや新しい方が入って来られるのはありがたいことですが、高山らしさも残していきたいですね。

林会頭 今お話ししたようなことは高山の背景にある精神から生まれた「高山らしさ」の一つひとつです。高山らしさを再定義し、住民が意識することで今後、より良い高山になっていくきっかけになるのでは、と考えています。私自身、高山は心根がすごくいいなと思っていますから。

具体的な活動はまだ形にはなっていませんが、市民アンケートを取り始めている団体さんがいるなど、いろいろな方を巻き込みながら動き出しているところです。目に見えるものはブランド戦略やメイド・バイ飛騨高山として形にはなっているので、その背景を深く認識することができればいいなと思います。

――会頭ご自身は、高山の良さはどんなところにあると思われますか?

林会頭 気候です。冬の厳しさ、春の喜び、四季折々を感じられるのはいいことだと思います。特に、夏は本当に素晴らしいと感じます。30代の頃、名古屋市に8年ほど住んでいましたが、夏の名古屋と比べたら、断然、高山の夏の方が好きです。高山祭りももちろんいいですし、宮川の清流や清々しい空気、肌で感じられる良さもあります。

また、よく耳にするのは、朝市のお店の方の人当たりがいい、人懐こいということです。あえて「おばちゃん」と表現しますが、「親しみやすい人懐こいおばちゃん」がいるように、純朴な方、真面目な方が多いと思います。

地元の方も、新しい方や都市のものが入ってくるありがたさを感じながらも、高山らしさを大切にしたいと思っているのではないでしょうか。もともと住んでみえる方とのずれが生じないよう、高山らしさを理解していただいたうえで新しい事業をしていただきたい、住んでいただきたいと思います。

――林会頭のご出身は高山でしょうか。

林会頭 生まれは旧朝日町で、高校で高山へ出てきました。高校時代は白線流しで知られている斐太高校へ通い、大学は県外へ通いました。まだ学生だった21歳の頃、林工務店を営んでいた叔父から跡継がいないからと言われ、建設関係の学科に通っていた私が林家へ養子に入りました。その後、名古屋で2年間就職し、25歳で高山に帰ってきました。そこから本格的に高山市民になったということです。

30歳になった時に、7年間ほど名古屋支店に通うために名古屋市に住み、30代の終わり頃に再び高山で暮らし始め、やっとその時、高山のことを考えだした次第です。そういう意味では、まだまだ駆け出しの高山市民です。とはいえ、仕事に一生懸命で本格的に高山の「まち」のことを考え始めたのが、商工会議所の副会頭になってからです。

副会頭を12年間、務めている間に、商工会議所の大きな取り組みの一つでもある、道路などのインフラ整備を推進してきました。特に中部縦貫道自動車道は、松本から高山、福井をつなぐ大事な命綱になります。民間や地域住民の声を行政に届けることも、あらゆる企業の代表となるのが商工会議所の大事な役割です。引き続き、行政と連携しながら国へ働きかけていきます。

――体を動かすことはお好きでいらっしゃいますか。

林会頭 小学生の時に、スキー遠足がありまして、焼いた餅を包んで風呂敷で腰に括りつけて、昼になるとその焼き餅を食べていた思い出があります。餅はお腹に巻いているので、昼まで温まっているのですよ。中学、高校では剣道部、高校生の頃から本格的にスキーを始め、今はゴルフを少しやっています。

――若い方に向けてメッセージをお願いします。

林会頭 規制概念にとらわれない自由な発想でブレイクスルーしてください。もちろん、ルールにのっとり、常識を守りながらですが、困難な課題も乗り越えて欲しいと思います。

 

■高山商工会議所
〒506-8678 高山市天満町5丁目1番地
TEL.0577-32-0380
FAX.0577-34-5379
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