高山商工会議所 北村 斉 会頭

Leader's Voice

自然があり、暮らしやすい、高山の良さを地元の人にこそ知って欲しい

自然があり、暮らしやすい、高山の良さを地元の人にこそ知って欲しい | 県内商工会議所会頭

Interview

高山商工会議所

北村 斉 会頭

日進木工株式会社 代表取締役会長

自然があり、暮らしやすい、高山の良さを地元の人にこそ知って欲しい | 県内商工会議所会頭
副会頭 堀 泰則さん
株式会社ひだホテルプラザ
取締役会長
自然があり、暮らしやすい、高山の良さを地元の人にこそ知って欲しい | 県内商工会議所会頭
副会頭 林 俊宏さん
株式会社林工務店
代表取締役社長
自然があり、暮らしやすい、高山の良さを地元の人にこそ知って欲しい | 県内商工会議所会頭
副会頭 蓑谷 雅彦さん
株式会社みの谷
代表取締役社長

お金をそれほどかけずにできる省エネ対策で苦境を乗り越える

―― 現在の高山市の観光業や、家具造りをはじめとする製造業の盛り上がりはいかがでしょうか。

北村会頭 昨年、コロナ感染症が第5類に移行されてから観光業は伸びており、大変、観光業は盛り上がっていますが、最近の物価高が理由なのか、日本人観光客は減ってきており、その分をインバウンドでカバーしている現状です。製造業は物価高と円安で非常に苦境に立たされています。高山も大変な人手不足で、中小企業のみなさんは汗水垂らして苦労してみえます、というのが実態でございます。

―― 高山商工会議所さんでなにか、課題解決に向けた提案はされていますか?

北村会頭 家具業界は工場で出た木屑をボイラーで燃やすなど、もともとCO2の排出が少ない業界ではありますが、さらに経費削減と省エネにつながる提案として、弊社工場で行っている方法を紹介しています。この対策以前の契約電力は500kwを超えていましたが、現在は330kwとなり、約3割減にすることができています。弊社では40年ほど前から省エネに取り組んでおり、昭和56年(1981年)にエネルギー管理の実施について名古屋通商産業局から賞状をいただいています。

名古屋通商産業局から贈られた賞状


――
 先駆的に取り組まれていたのですね。具体的に、どのような方法でしょうか。

北村会頭 まず一つは、蛍光灯の裏に銀紙を貼る方法です。光が反射して手元が明るくなるので、蛍光灯のワット数を60Wから20Wに変えることができました。もう一つは機械のモーター回転数を8割落としました。これは消費電力が少なくなるだけでなく、機械の傷みが抑えられ、刃物も傷みが少なくて、いいことづくしです。それと、デマンドコントローラを導入して、最大需要電力を引き下げていますし、常時点灯させる蛍光灯以外に手元スイッチを下げた蛍光灯を用意してでこまめなオンオフをしています。それほどお金がかからない方法なので、ぜひみなさんにやっていただきたいと思います。

日進木工株式会社の工場で使用している電灯


――
 工場見学も受け入れられているのでしょうか。

北村会頭 はい、高山旅行をされる団体さんや修学旅行で見学される方が多くいます。弊社のショールームでは、家具の端材でこいのぼりをつくる木工体験もしていただけます。見学だけでなく、何か体験できる産業観光を希望される方が多くなってきました。また、個人で工場見学を希望されて、その数ヶ月後に弊社へ入社希望に来られる方もいます。

日進木工株式会社の工場

日進木工株式会社のショールーム

ワークショップで作ることができるこいのぼり


自然がいっぱい、おいしいものが豊富な高山で暮らして欲しい

―― 観光業の盛り上がりの様子はいかがでしょうか。

北村会頭 飲食店の新規開業もありますが、廃業されるところが多く、夜に外食できる場所が少ない「夕食難民」が多くなる課題があります。せっかく高山まで来られるので、高山のおいしいものを食べていただきたいと思っていますが、昼は営業していても夜は営業されないところが多くあります。その理由は人手不足。席は空いているのに、片付ける人や作る人が少ないので、満足できる食事を提供できないようで、水面下ではみなさん、大変なご苦労をされています。

飛騨高山の古い町並


――
 ホテルなどの宿泊施設は充分、用意はあるでしょうか。

北村会頭 日本で金沢市の次に宿泊施設が多い市が高山市とのことです。新しいホテルが続々、オープンしていますし、建設中のホテルも建設予定地も多数あります。商工会議所にご挨拶に来てくださるホテルさんもあり、ホテル内のレストランで地元の食材を探したいとか、地元の工芸品の器を使いたいとか、そのような相談も受けています。 ただ、やはり人手不足の課題があり、ベッドメイキングできるスタッフが少ないためにホテルを満室にできないというお話を聞いています。親切なおもてなしが高山の特徴ですが、営業体制が整わないと、高山全体の評判を落としかねません。空き地や駐車場などのスペースにゲストハウスのような形態の宿泊施設が建つこともあり、高山駅周辺での月極駐車場探しが困難な状況もあります。

―― やはり、高山の良さを残していきたいという思いは強いのでしょうか。

北村会頭 もちろんです。高山祭の屋台を筆頭に、古い街並みの建物は飛騨の匠が手がけた傑作です。食べ物なら飛騨牛をはじめ、おいしい豚肉もあります。「飛騨旨豚」、「飛騨高山PLEASUREポーク」、納豆を食べて育てた「納豆喰豚(なっとくとん)」、白川村の「結旨豚(ゆいうまぶた)」などさまざま。野菜なら冬は長ネギ、夏はトマト、長ネギは鍋に入れるとトロトロになって甘くなりますし、トマトも完熟で収穫できて甘みが強い。アズキナやワサビナなどの山菜もあるなど、高山の良いところはたくさんあります。 ところが、高山人は自然の豊かさも食べ物のおいしさも当たり前になってしまっているようで、なかなか自分の良さに気がついていないようです。子どもたちは大学に通うために市外へ出て行きますが、75%は高山に帰ってこないことが一番の悩みです。

飛騨牛

朝市で販売されている飛騨野菜

朝市で販売されている飛騨野菜


―― 今まで高山に住んでいた子どもたちは地元を離れてしまうのに、県外の人が高山にこられると言う不思議な現象ですね。

北村会頭 高山に住んでいたら家はあるし、食事はおいしい、働く場所もあります。ところが、高校生にアンケートをとると、ショッピングセンターや映画館といった遊ぶ場所がが欲しいと言う声もあがっています。親の面倒を見るためなど理由はさまざまありますが、40代、50代で戻ってこられる方もいます。就職先を探される方もいますが、創業を希望される方もいますので、高山商工会議所では創業支援の相談も受け付けています。

―― 北村会頭が好きな、高山の魅力を教えてください。

北村会頭 先ほども申し上げましたが、食べ物がおいしいところです。高速道路のおかげで富山湾が近いので、おいしい刺身が食べられますし、なんでもおいしく食べさせてもらっています。お酒はこれまでに充分、飲み過ぎてしまったので、今は飲むことができず残念です。

―― 高山は日本酒以外にも地ビールやワイン造りをされているでしょうか。

北村会頭 高山で日本酒造りが盛んになったのは、地元で余ったお米を買い上げていたからだそうで、最盛期は50軒ほどあったそうです。今は高山市内に7社。地ビールは2社、ワインは1社あります。そして、弊社では木工の技術をいかしたウイスキーの樽造りをしていて、その樽を使った仕込みが「飛騨高山蒸溜所」さんでされています。

―― 工場内を頻繁に歩いていらっしゃるとお聞きしましたが、スタッフさんとのコミュニケーションはどのようにとられていますか。

北村会頭 運動不足解消のために今も続けて工場内を歩いています。今日は4000歩歩いていますが、便利なもので、携帯のアプリの万歩計が「まだ足りません」と教えてくれます。工場内を歩いていると、スタッフの目を見ただけで、今日は元気があるなとか、悩みがあるな、ということが分かるようになってきました。元気のないスタッフには「なんか悩みはあるのか」と声をかけています。工場とショールームが近く、ショールーム内にカフェスペースを設けているので、休憩時間になるとスタッフがコーヒーを飲みに来て、リラックスしてもらっています。

―― 若い方にメッセージをお願いします。

北村会頭 もし、進学などで高山から離れても、高山の良さは必ずあるので、それをしっかり見据えて人生を決めていただきたいなと思います。先ほども申し上げましたが、空気が綺麗で、おいしい食べ物がたくさんあるのが高山です。食べ物がおいしいということは水もおいしい、水がおいしいということはお酒もおいしいということ。都会と比べれば土地が安く、家を建てるとなると、そこに木も生えているから(笑)建てやすい。こんなに環境が整っていて暮らしやすいところはないと思います。

 

■高山商工会議所
〒506-8678 高山市天満町5丁目1番地
TEL.0577-32-0380
FAX.0577-34-5379
高山商工会議所のホームページはこちら

この記事をシェアする

関連記事