INTERVIEW
Leader's Voice

Interview
池田 直樹 筆頭代表幹事
株式会社十六フィナンシャルグループ
代表取締役社長グループCEO
池田筆頭代表幹事 岐阜地区の代表幹事を8年間務めさせていただき、今回、筆頭代表幹事となりました。これまでの岐阜県経済同友会の活動をベースに、活動方針を定めました。
環境変化に対応し、豊かな社会の実現を目指す
魅力ある「岐阜」の積極的な発信
岐阜県経済同友会は岐阜県全域にわたる経営者が集い、丁々発止発言し、地域経済の盛り上げに貢献することを目的とした団体です。発足には、十六銀行が岐阜県内の経営者にお声掛けをした経緯があり、昨年、40周年を迎えました。私も環境の変化を多様にとらえながら、次に繋げる行動を起こしたいと考えています。

活動方針には、具体的な3本柱を掲げました。
一つ目は「地域経済の振興」です。経営者一人一人が真摯に経営に向き合い、経営課題に対処しながら、自社の成長と共に地域経済の成長を担っていくことを目指します。
二つ目は「多様性と『人』が輝く社会」です。人手不足の状況ではありますが「人的資本経営」という言葉があるように、人に優しい魅力的な企業文化を醸成し、若者にも「岐阜で働きたい」と思ってもらえるような取り組みをしていきます。私も感じていることですが、経営者は孤独です。会員同士のコミュニケーションを深め、お互いに情報交換をしていただけたらと思います。
三つ目は「岐阜のブランド力向上」です。先ほどの「多様性と『人』が輝く社会」と重なる部分も多くありますが、経営者の役割はとても大きいのに、自分の会社だけでは変革が生まれにくいものです。そこで、毎月、会員例会を開き、招聘した講師による講演を行なっています。講師はテレビやニュースで解説をされている方で、岐阜の地までお越しいただいています。刺激を受けたり、普段はなかなか得られないヒントやアイデアを得たり、自分が抱えている課題と日本の経済やグローバルな視点での課題を重ね合わせるなど、経営にいかしていただきたいと思います。

岐阜県経済同友会の定時総会

岐阜県経済同友会の会員例会で挨拶をする池田筆頭代表幹事
池田筆頭代表幹事 岐阜のものづくりには、一流の技術と品質をもった飛騨の家具や木工、東濃の陶器、関の刃物などがあります。これにデザインなどの付加価値をつけることで、岐阜のブランド力はさらに向上していくのではないでしょうか。結局は、一社一社の経営課題の解決が岐阜ブランド力の向上につながることもありますので、経済同友会の活動にぜひ、参加していただきたいと思います。
経済同友会は地域の経営者の方々の集いの場であり、県や行政に対しての提言の場を設けることが従来からの使命です。これを意識しながら今後、私自身が銀行員であることをいかした人とのつながり、特に多くの情報提供や機会の充実を図っていきたいと考えています。
池田筆頭代表幹事 岐阜は地理的に日本の真ん中にあります。そのため、利便性がとても高く、豊かな風土が根付いていると思います。また、家を持って一人前という考えがあるためか、岐阜県の持ち家率は全国トップ10に入ります。銀行員目線で見ると、融資をきちんと返済される方が多いので、貸出金利も低い地域だと感じています。そうした点からも、岐阜県民には堅実な気質があるという印象をもっています。
一方で見方を変えると、あまり冒険をしない、一歩踏み出すことには慎重な傾向もあるように思います。経済同友会で一流の先生をお招きした講演会で、積極的に質問される方が少ない様子を見ていると、目立つことを避ける気質もあるのかもしれません。ただ、人は内にエネルギーを蓄えていて、それが何かのきっかけで大きく発揮されることがあります。岐阜という地域にも、そうしたポテンシャルがあり、経営者の中からそういう方が生まれてくることが大事だと思っています。
池田筆頭代表幹事 長良川の鵜飼が1300年続いてきたように、長い歴史の中で文化や芸術が育まれていることも岐阜の特徴だと思います。さらに今は、岐阜で育まれた産業文化が、グローバルに通用することが証明されています。例えば、八百津町の地酒がフランスのコンクール「Kura Master」で、1090銘柄の中から最高賞のプレジデント賞を受賞しています。関の刃物も世界中で人気がありますし、堅実に、誠実に作っていらっしゃるから、世界に認めてもらえるのだと思います。充実した品質や機能にプラスして、世界に通用するデザインを取り入れるなど、目線を世界に向けることがとても大事なのではないでしょうか。
池田筆頭代表幹事 読書が趣味です。銀行を舞台にした作品も書かれる八百津町出身の池井戸潤さんの小説は、最近の「ブティック」までほとんどの作品を読みました。岐阜は著名な作家が多いことも特徴だと思います。池井戸さんと同じ加茂高校出身の北川悦吏子さんも輩出していますし、垂井町の浅井リョウさん、小説家を目指しながら高山市で書店員をされていた米澤穂信さんもいます。みなさん地方でエネルギーを貯めて、自分のポテンシャルを秘めておき、いざという時に才能を発揮されているように思います。きっと経営者の中にも、こうしたポテンシャルを持つ方がたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。
私は歴史小説が好きで、今村翔吾さんとも親しくさせていただいています。今村さんは織田信長を主人公にした小説を書いて、大河ドラマに採用されることが夢だそうなので、ぜひ、岐阜を舞台にして欲しいとお願いしています。今村さんは小説家としてだけでなく、本のまち神保町でシェア型書店を経営されています。その話を聞き、ぜひ、現在建設中の新本社にも書店を設けたいと思っています。
また、高山と東京と京都の3拠点で活動されている舞踊家・谷口裕和さんは、映画「国宝」で振付・舞踊指導を務め、日本アカデミー賞を受賞されています。私が十六銀行の高山支店長を務めていた2005年から2008年の間に親しくしていただき、当社で長年、応援している方です。
池田筆頭代表幹事 ランニングも趣味の一つで、2017年から「ぎふ清流ハーフマラソン」に参加しています。十六フィナンシャルグループにはランニング同好会「16RUNRUNクラブ」があり、社員の間でもランニングが盛んです。毎回100名を超えるランナーが出走し、1,000名を超える社員とその家族が、ボランティアや沿道からの応援で大会を盛り上げています。私自身は、高橋尚子さんと野口みずきさんと一緒にゴールした時のことが、特に印象に残っています。

ぎふ清流ハーフマラソン
池田筆頭代表幹事 大学生の時、友達と3人で琵琶湖でヨットに乗ったことがあります。ヨット部でもないのに、すぐに戻って来られると簡単に考えていて、いざ出てみたら風が強くて。しかも、風は岸から沖に吹いていたので、戻ることができませんでした。帆を下げれば転覆しそうになるし、方向転換はできないし。それを見ていた貸しヨットのご主人が駆けつけてくれたので、助かりました。あの時ほど、人生の終わりを思ったことはありません。大学生だったこともあり、絶対的な自信があったのでしょうね。不用意な行動はあかんな、と思いました。助けてくださったご主人のように、物事に習熟されている方にはかなわないと感じたできごとです。
池田筆頭代表幹事 県内、県外関わらず、どこにいてもがんばって欲しいと思います。本音は「一緒に岐阜県で働きましょう」です。先ほどの米澤穂信さんや谷口裕和さんのように、岐阜にゆかりを持ちながら全国で活躍されている方もいます。自分が生まれ育ったふるさとで働く価値を考えてもらえたら、と思います。今はSNSなどで、自分の活動を発信できる時代です。岐阜にいながら、目線を世界に向けることもできます。ぜひ、世界に目を向けながら、ふるさと岐阜で共に働きましょう。
経済産業省の工場立地動向調査(2025年)によると、岐阜県は製造業等の立地件数と立地面積が全国1位です。これは、日本の製造業が岐阜に注目しているとも言えます。昨今の厳しい世界情勢の中、生産拠点の見直しとともに、東海環状自動車道の大部分がつながった影響が大きいのではと思います。仕事の場がたくさん生まれているのです。

旧岐阜市本庁舎跡地に建設中で、2027年度中に開業が予定されている十六フィナンシャルグループの新本社。1階から3階は「地域のみなさまが気軽に集い利用できるパブリックスペース」になるとのこと。にぎわいづくりを支える空間として、どのような空間が創出されるのか、お聞きしました。
池田筆頭代表幹事 コンセプトは「美しく居心地の良い共有空間」と「時代を先取りしたワークプレイス」です。7階建ての建物に3か所、1階から最上階までの吹き抜けを設けます。1階には植栽、アート、店舗を配置しながら、自然光や外の空気を感じられる公園にします。また、2階のテラスと3階の食堂もパブリックスペースにし、一般の方に利用していただける空間にします。
設計は東京スカイツリーを手がけた「日建設計」さんです。取締役会長の亀井忠夫さんがリーダーとなり、設計士とアドバイザーによるチームで美しい建物とする予定です。私も建物づくりの参考のために、ヨーロッパを周り、美しい建築物や美術館を視察しました。

ヨーロッパ建築施設
池田筆頭代表幹事 公園はパブリックアートを重視しています。長良橋通り沿いの表玄関に、彫刻家 ラム・カツィールさんのインパクトのある作品を配置したく、彼の活動拠点であるオランダ・アムステルダムまで直接、お願いに行って参りました。他にも、中津川市蛭川で産出する御影石(恵那石)を使った大きな滝や、岐阜県出身のアーティスト林武史先生の作品を展示する予定です。林先生には、代表作である《石間》のような、上に立ったり座ったりできる作品をお願いしており、そこで野点の茶会ができるような仕掛けも考えています。あとは、田島享央己先生に岐阜に生息する生き物をモチーフにした像を制作していただくなど、子どもたちがアートにふれることも想定しています。
1階の商業店舗には、先ほどのブックストアの他、ベーカリー、ギャラリー、カフェなどを入れる予定です。ぎふメディアコスモスから若者がこちらへ流れておしゃべりしたり、ブックストアに立ち寄ったり、高校生や若者の思い出になるような公園にするのが理想です。

十六フィナンシャルグループ 新本社イメージ
池田筆頭代表幹事 最も多感な高校生に、居心地が良いと思ってもらえるような空間にします。交通の拠点であり、利便性の良い駅前ではなく、あえて街の中に入ってきたのは、人の流れを作りたいためです。駅前から柳ヶ瀬、岐阜公園へと続く人の流れを生み出し、中心市街地のにぎわいを支える拠点にできるよう取り組んでまいります。ご期待ください。
■一般社団法人 岐阜県経済同友会のホームページはこちら
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