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新県庁舎には開庁以来、多くの県民の方が訪れ新たな県のスポットとして大盛況
Interview
古田肇 岐阜県知事
新県庁舎には開庁以来、多くの県民の方が訪れ
新たな県のスポットとして大盛況
-- 新県庁舎が開庁してしばらく経ちますが、評判などいかがでしょうか。
古田知事 新県庁舎は、県民の皆様をはじめとして多くの方々のご協力により、検討開始から8年9か月、令和元年7月の工事開始から3年余りの大工事を経て、今年1月4日に開庁を迎えました。おかげさまで開庁以来、20階展望フロアや2階の食堂が連日賑わうなど、多くの方々にお越しいただいており、大変嬉しく思っています。
来庁された方々からは、やはり20階の「清流ロビー」からの眺めが素晴らしいという感想を多く頂戴しています。岐阜の風景を360度見渡せて、季節や天候、時間帯によって山々や街並みの異なる美しさを見ることができるため、何度も来庁される方もいらっしゃいます。
そのほか、檜をはじめとした県産材や美濃和紙などがふんだんに使われた庁舎の美しさなど、様々なお褒めの言葉をいただいています。特に、壁や床に使用した数多くの県産タイルは、1枚1枚焼成したもので、それぞれ微妙に色合いが異なっており、県産タイルの素晴らしさや奥深さを味わっていただけます。
また、この庁舎は、障がいのある方からも利用しやすいとの声をいただいています。バリアフリーの観点から、1階を主玄関とするとともに、庁舎内の主な通路の段差をなくし、車いす利用者や子ども連れの方でも利用しやすいユニバーサルトイレを各階に設置するなど、障がい、年齢、性差に関わらず、誰もが安心してご利用いただけます。是非、一度足を運んでいただければと思います。
-- 県庁舎のこれまでの歴史について教えてください。
古田知事 この新県庁舎は、数えて5代目の県庁舎となります。初代は、明治4年(1871年)に廃藩置県により岐阜県が誕生したときに、旧幕府時代の笠松陣屋を県庁舎として使ったというのが始まりとなります。その後、岐阜市司町に移転し、2代目庁舎が明治7年(1874年)、3代目庁舎が大正13年(1924年)に竣工しました。
4代目庁舎は、昭和41年(1966年)2月に、鉄筋12階建の建物として竣工しました。行政需要の増大や、モータリゼーションの急速な普及に加え、移転2年前に東海道新幹線岐阜羽島駅が開業する中、現在の岐阜市薮田に移転されています。この4代目庁舎は、およそ56年の長きにわたり県政の拠点としての役割を担ってきましたが、施設の耐震性や手狭であるなどの課題が生じていたことから、この5代目となる新県庁舎の整備に至りました。
-- 新県庁舎の機能や特徴について教えてください。
古田知事 新県庁舎は、あくまで職員の働く場であることから、効率的に空間が利用できるよう、外観においては、あえてデザイン性のある曲線や斜めの線を用いず、直方体のシンプルな構造としています。
一方で、「1. 県民の暮らしを守る」、「2. 地域の魅力を発信する」、「3. 環境負荷やライフサイクルコストを低減させる」という3つの基本方針に基づき、充実した機能や特徴を備えています。特に、「2. 地域の魅力を発信する」については、先ほども申し上げたように庁舎には県産品や県産材等をふんだんに活用するとともに、1階のGALLERY GIFUにおいて、県内地場産品の展示やデジタル映像で県の魅力を紹介するなど、新県庁舎そのものをショーウインドーとして、「清流の国ぎふ」の幅広い魅力を発信しています。
そのほか、「1. 県民の暮らしを守る」観点からは、災害対策の中枢拠点として機能するため、建物の耐震性の確保やライフラインの複線化などを行うとともに、「3. 環境負荷やライフサイクルコストを低減させる」観点から、照明全般のLED化や断熱・遮蔽性能の高い窓ガラスの採用、空調・給湯への地熱・太陽熱の活用などを行っています。
このように、時代にふさわしく、岐阜県らしい価値を体現した随所にこだわりの詰まった庁舎となっております。その機能と特徴を最大限に生かしていきたいと思っています。
新県庁舎の開庁に先立ち開園した「ぎふ結のもり」をはじめ
新県庁舎周辺も一新
-- 新県庁舎の開庁に先立ち、昨年7月に開園した「ぎふ結のもり」についても教えてください。
古田知事 新県庁舎は、外構も一体的に整備を行っており、正面玄関前のアプローチに並木を配置し、県庁前の公園「ぎふ結のもり」と調和のとれた景観を創出するとともに、統一感のある緑豊かな空間としています。公園内には、県内各地の特産の石や植生を配置したレインガーデンを設けたほか、屋外イベントや子どもたちの遊び場など、皆様に親しんでいただける空間を創り出しています。
また、国の天然記念物である「淡墨桜」、「中将姫誓願桜(ちゅうじょうひめせいがんざくら)」を配し、さらに今後、「揖斐二度桜」や「臥龍桜」など県ゆかりの桜を植樹する計画としています。「ソメイヨシノ」、「シダレザクラ」など植樹した新県庁舎周辺の駐車場と合わせ、新たな桜の名所となり、新県庁舎とともに、周辺一帯が県民の皆様に末永く親しまれることを期待しています。
岐阜未来遺産、戦国・武将観光の促進で
持続可能な観光地域づくりに取り組む
-- コロナ禍により国内外の観光客が減少しましたが、昨年10月の水際対策の大幅緩和に加え、新型コロナの感染症法上5類への分類移行が予定されるなど、観光需要の回復が期待されます。観光産業のV字回復に向けて、どのような対策をお考えですか。
古田知事 知事就任以降、観光国際政策には一貫して力を注ぎ、観光産業の基幹産業化に取り組んできましたが、コロナ禍により急激な停滞を余儀なくされました。特に、令和元年に過去最高の166万人に達したインバウンドがほぼ消滅するなど、観光産業はかつてない深刻な打撃を受けており、そのV字回復に向けては、国内外から「安定的な観光需要」を着実に確保していくことが重要です。
そのため、インバウンドの本格再開を見据え、欧米・豪州を中心に現地メディアと連携して、本県の魅力を広く発信するとともに、コロナ前から本県への観光客が多いアジア市場に対しては、海外の旅行会社と連携した旅行商品を集中的に造成していきます。
さらに、シンガポール、タイ、米国などの海外旅行博へ積極的に出展するなど、目標に掲げる令和9年に本県の外国人延べ宿泊者200万人達成を目指し、需要回復に向けた取組みを加速しています。
併せて、国内観光需要についても底上げを図るべく、全国旅行支援に続く平日誘客推進キャンペーンを活用した県内周遊観光を推進し、持続・安定的な観光需要の創出につなげていきます。
-- 今後はリニア中央新幹線の開業も控えるなど、観光産業を取り巻く環境は大きく変化することが予想されます。今後の観光振興に向けて、どのように取組まれますか。
古田知事 リニア中央新幹線の開業に加え、近い将来、大阪・関西万博の開催、東海環状自動車道の全線開通も控えており、こうした効果を県内全域に最大限波及させるには、更なる戦略が欠かせません。これまでも、「世界に選ばれる観光地域づくり」を進めてきましたが、世界的な潮流である「サステイナブル・ツーリズム(持続可能な観光)」を軸として、魅力発信や、ブランド力の向上に向けた取組みを強力に推進していきます。
昨年11月には、「郡上踊」、郡上の「寒水の掛踊(かのみずのかけおどり)」を含めて日本の「風流踊(ふりゅうおどり)」が、ユネスコ無形文化遺産に登録されました。また、令和2年から3年連続して、白川村、長良川流域、下呂市・下呂温泉が、サステイナブル・ツーリズムの国際認証機関による「世界の持続可能な観光地100選」に選ばれています。
こうした国際的な評価も活かしながら、世界に通じる観光地づくりに取り組む地域を積極的に支援するため、サステイナブル・ツーリズムの国際指標を導入した県独自の評価基準による観光プログラム「NEXT GIFU HERITAGE ~岐阜未来遺産~」を昨年構築したところです。
令和5年度は、この「岐阜未来遺産」の初となる認定を行い、認定した地域に対して受入環境の改善を支援していきます。また、認定を目指す県内各地の取組みを後押しすることで、県下にくまなく、持続可能な観光地域づくりの取組みを広げていきます。
そのうえで、これら国際評価を獲得した観光地や「岐阜未来遺産」の魅力を、国内外に広く発信し、更なる誘客につなげていきます。
-- 近年、NHK大河ドラマ「麒麟がくる」、「どうする家康」や、映画「THE LEGEND & BUTTERFLY」など岐阜県に縁の深い作品が続き、歴史ファンからの注目が高まっています。岐阜県の戦国・武将観光の取組みについて教えてください。
古田知事 天下分け目の関ケ原の戦いをはじめ、全国的にも名だたる多くの戦国武将、城跡等の歴史資源を有する本県では、これらを活かし「オール岐阜」で関ケ原古戦場を核とした戦国・武将観光の促進に取り組んでいます。
令和2年には「岐阜関ケ原古戦場記念館」をオープンし、記念館を拠点に昨年開催した「大関ケ原祭2022」では、5万人を超える方々にお越しいただきました。今年も「大関ケ原祭2023」の開催を予定するなど、関ケ原古戦場のブランド力を活用した各種イベント・PRを進めていきます。
また、令和2年の大河ドラマ「麒麟がくる」では、岐阜市、可児市、恵那市の大河ドラマ館に延べ約35万人が来館され、映画「THE LEGEND & BUTTERFLY」においては、主演の木村拓哉さんが参加された、ぎふ信長まつりに約46万人が来場されるなど、多くの方に岐阜県へお越しいただく契機となりました。
今年の大河ドラマ「どうする家康」の放送も好機と捉え、岐阜関ケ原古戦場記念館において、年間を通じた「NHK大河ドラマ『どうする家康』展・ぎふ 関ケ原」の企画展等を開催するほか、大河ドラマ館を設置する愛知県、静岡県と協議会を設立し、連携したPRなど誘客プロモーションに取り組んでいます。
1月から3月には愛知県と連携し、JR名古屋駅のコンコースにて共同でインフォメーションセンターを設置しました。また、岡崎市・静岡市・浜松市の3つの大河ドラマ館と岐阜関ケ原古戦場記念館を巡るキャンペーンを展開しています。
近隣県や県内市町村と共同で観光情報を発信することで、県内史跡への誘客を図るとともに、本県の強みである戦国・武将観光を一層推進していきます。
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