INTERVIEW
Leader's Voice
田園工業都市の特性を生かした コンパクトシティを目指す
Interview
岡田 立 町長
ニーズの高い家族で楽しめる公園を整備 安心して過ごせるよう防災機能も充実させる
―― 立地適正化計画策定(公園整備計画についても検討)について、概要と取り組み内容について教えてください。
岡田町長 日本全国で人口の減少化が進んでいる中で、小さな自治体はその速度が顕著な部分が多々あると思っています。そんな中で持続したまちづくりを進めるためには、安全、安心して暮らせる、住みやすい環境を作っていくことが第一だと思います。それに伴って住民が幸せだと感じられるためには財政面の活性化も必要だと思っています。都市部においては広がった公共施設を集約しようというまちづくりが行われていますが、当町は南北約9km、東西約2kmで、面積も18㎢という大変コンパクトなまちです。昭和46年から都市計画化が進められて、住めるところ、農業をやるところなど区分けがされていて、もともと整理ができているまちだと思っています。
当町は70年前に3村が合併しました。村の時代に拠点だった中心街が70年の時を経て淘汰はされていますが、まだ残っていて、旧中心街の周辺である程度の広がりを見せています。70年たって、そうした部分も見直す時期に来ていると思っています。若い方が転入してくる中、公園や家族が集える場所が少ないということで、ニーズがとても多いです。三つの旧中心街の周辺にある公園を集約して、遊ぶことができるように整備していこうと思っています。また、そこには防災機能もしっかり充実させて、皆さんが避難してきても安心して過ごせるような機能も含めた公園整備をしていきたいという思いがあります。
当町は昔から輪中のまちで、水の恵みを受け、同時に水との戦いもありました。水とは切っても切れない関係なので、水と親しむことができるようにするという構想も含めながら立地適正化計画を作りたいと思っています。 都市部ではコンパクトシティ+ネットワークということで、公共施設を集約して組み替えていく動きがありますが、当町では難しいです。公共交通を充実させるにはハードルが高すぎます。先日、当町と輪之内町が自家用車の保有率が非常に高いという新聞報道がありましたが、当町としてはそこを強みにして、自家用車をフルに活用した田園工業都市に合ったコンパクトシティを目指していきたいと思っています。
―― 町内に公園はたくさんあるのですか?
岡田町長 小さな公園が点在しています。町内に26の地区がありますが、地区ごとに小さな公園が1カ所ずつぐらいはあります。ただ現在は犯罪も多いですし、ある程度大きな規模があって遊具もあるような場所で、家族で楽しみたいという要望がかなり多いです。
―― 大きい公園はないのですか?
岡田町長 1カ所あります。ただ、そこは「安八町は山がないよね」という先人の思いの中で、公園の中心に高さ10mぐらいの丘が作ってあるので平地がないです。親子で遊ぶことが難しいですし、スタイミーな場所もあるので「危ないのではないか」という声もありますので、改修できればと考えています。
―― そうなると、まったく新しい場所に公園を作るというより、今ある公園を改修するような方向でお考えですか?
岡田町長 そうです。今ある公園をうまく活用して、遊びやすくしたいという構想です。新しく作るとなると、費用面や用地の確保など、いろいろ大変なことがありますので、従来からなじみ深く遊んだ場所が、キレイになって集いやすくなるという方向で考えていければと思っています。
町内企業に優秀な人材を確保し、 移住・定住人口の増加にも結びつける
―― 地方就職学生支援事業について、概要と取り組み内容について教えてください。
岡田町長 これは今年からの新しい事業で、県の制度に相乗りさせてもらっています。東京圏の大学生が、当町の企業に興味があって面接を受けたいと考えた時の交通費を補助します。上限1万1千円ですから、ちょうど東京からだと片道の交通費を補助しますので、門を叩くだけでもいいから来てみませんかという制度です。 今年からの事業で、現段階で申請はありませんが、この先の展開としては、この制度をきっかけにして当町に就職した際は引っ越し代も補助するなど、膨らませた展開を来年以降考えていきたいと思っています。
―― 安八町の代表的な企業はどこになりますか?
岡田町長 グリコ、住友化学などがあります。加えて安八スマートIC周辺の企業誘致を夏から募集していく段階に来ていますし、パナソニックの跡地も不動産会社が次の候補になる企業を探しています。人手不足で困っている企業に対して、人材を集めやすい環境を作ることが行政としてできる伴走型の支援の一つになると考えています。
―― ふるさと就職奨励金について、概要と取り組み内容について教えてください。
岡田町長 こちらも今年から始めた事業です。これまでも移住政策に力を入れてきましたが、大学入学をきっかけに都市部へ流出する方がたくさんいます。当町として魅力のある企業を誘致していきますから、若い方にも残ってほしいという思いの中で、町内に就職したり、昔から続いている店を継ぐ、あるいは町内で起業する方などに対して10万円の補助を行い、町内で頑張る方を応援する制度として始めました。40歳以内で6カ月以上継続して就職、3年以上は当町に住んでもらうという条件をクリアした方に補助するというものです。
4月から始めたのですが、さっそく1件申し込みがありました。その方は大学を卒業して介護職に就いています。すでに成果が出ていますので、今後もっとPRを強化することで、さらに成果が出るのではないかと期待していますし、移住・定住の両方に効果があるではないかと考えています。
町民の熱意を積極的に応援し、 地域コミュニティの醸成や活性化につなげる
―― にぎわい創出事業について、概要と取り組み内容について教えてください。
岡田町長 令和4年に活力あふれるまち推進事業ということで計画されたのですが、うまく発信できていなかったので、その中ににぎわい創出という分野を作って、今回展開しました。私が町長に就任してから話しやすいのかどうかわかりませんが、「まちづくりに対して私はこう考えているから話を聞いてくれませんか」と町長室を訪れる方が増えてきました。それだけ熱意を持った方がいるなら、しっかり計画を作って具現化していける組織を作ってもらえれば行政として応援しましょうということで制度化しました。
2種類あって、一つは「私はこういうことでまちづくりをしたいので、町も一緒にどうですか」という町民提案型です。もう一つは、「私はこういうことを考えているけれど、規模が大きいので町も一緒になって手伝ってくれませんか。町の思いがあれば、その思いをミックスしながら一つの事業にしましょう」という行政提案型です。
町民提案型に関しては上限10万円で募集したところ、音楽をみんなで楽しみたいという案件で2件の申請がありました。行政提案型は、若い方々がイルミネーション事業をやっていたのですが、メンバー不足により事業が継続できなくなって、もうやめますという話をしたところ、ある団体が「それなら場所を変えて、私たちが引き継ぎたいので、町も一緒になってやってくれないか」と提案を受けて、昨年開催しました。今年も開催してくれる予定ですが、せっかくイルミネーションをしているのだから、アプローチに竹明かりのアート作品を並べて飾りつけるといいのではないかといった新しい提案も出てきています。
「結神社」は恋愛成就の神様として有名で、土日になると女性のお客さんがたくさん訪れます。結神社を大切に思っている方もたくさんいて、その方々からは「縁日祭りを復活したいので、町としてもバックアップしてほしい」という提案をいただきました。私としても今年度は難しいかもしれませんが、結神社に昔あった門前町を復活したいという思いがあります。
小さなまちがイベントをやろうとすると、どうしても行政主体になりがちです。当町でも春祭り、秋祭りを開催していますが、行政が主体になっています。それでは「楽しかったね」で終わってしまいます。そうではなく、町民からのパワーや発想をもらって、町民が運営することによって地域を巻き込んだお祭りになります。それが地域コミュニティの醸成や町の活性化につながっていくと思います。行政提案型は今年になって4件の申し込みがあって少しずつ伸びています。今後、町民が主体になる事業がもっと増えていくことを期待しています。
―― 結神社の門前町という話がありましたが、今も面影はあるのですか?
岡田町長 結神社は鎌倉街道沿い、墨俣の宿場と赤坂の宿場の間にあって、かつては門前町があったそうです。現在は残念ながら門前町の面影はありませんが、昔の酒屋の建物が残っています。フルサイズでの復活は難しいでしょうが、せっかく多くの女性客が訪れているわけですから、観光客が遊べるようなエリアにできればという思いがあります。地域の方からは酒屋の建物を活用して、古民家カフェを始めようという話も出ていますので、今後どんな活用ができるのか考えていきたいと思います。
―― 最後になりますが、前回伺った世界的に有名なストリートアーティストであるロームカウチさんとの連携についてはいかがですか?
岡田町長 ロームカウチさんからも「子どもやお年寄りと一緒に描いて飾るイベントができませんか」など、いろいろな提案をもらっています。当町に住み続けて、新作も描いてくれて、子どもたちの認知も進みつつあります。「私は安八町が好きです。絵も自由に使ってください」と言ってもらえて、郷土愛にもあふれています。当町としても私の名刺の裏に入れたり、ロームカウチさんの絵をプリントしたTシャツを作って、職員が様々な機会で着るなど、まちのPRとして活用しています。絵とまちづくりをどう結びつけるのかなど、クリアしないといけないハードルはいろいろありますが、当町にとって非常に貴重な人的資源ですから、今後も継続しててよりよい活用法を探り続けていきたいと思います。
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安八町の情報
面積:18.18km2
人口:14,517人(令和4年11月1日)
町の木:もくせい
町の花:すいせん
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