INTERVIEW
Leader's Voice
世界遺産、森林、科学が見学できる、修学旅行に最適な岐阜県
Interview
大野 泰正 参議院議員
エネルギー開発の技術を高め、安心安全に暮らせる世界に
―― 最近の日本の状況で気になることがあれば教えてください。
大野議員 今年は梅雨が短く、梅雨前も明けてからは異常な暑さで9月に入っても続いています。地球温暖化で気候が変化し、ここ数年、東北地方が豪雨や水害の被害を受けています。気候が変わってきてしまっていることを実感せずにはいられません。岐阜県は昔から水害が多発していたので、河川の改修が早くに進められましたが、東北地方や北海道は対策が遅れていると思います。
河川対策・砂防対策は決壊した部分だけを直せば良いという話ではなく、安心・安全のためには、流域全体を計画的に強靭なものにしていかなくてはなりません。更に今後の気候変動を予測し計画に反映させなくてはなりません。国土交通大臣政務官を務めさせていただいたおかげで、気象庁の線状降水帯の予測精度向上への、取り組み強化に努めてきました。生命を守る発信の出来る気象庁に進化してきていると思います。予報においては、「空振りは許されますが見逃しは許されない」という思いで努力しています。そのためには、皆様の理解と応援が何より大切です。
―― これからの日本に必要なことはどんなことだと思われますか。
大野議員 生命を守るために、地球全体の環境を整えるようにしなくてはなりません。日本の二酸化炭素排出量は世界全体から見るとそれほど多くはありません。もちろん日本が排出量の削減に取り組むことは当然ですが、日本が技術開発を進化させ、これから人口が増えて電力を必要とする国に今以上に技術供与や資金的協力をし、地球全体のCO2削減に寄与出来る様に経済力も技術力も更に成長させなくてはなりません。 今、日本人の心が内向きになっていて海外留学等も減っていますが、日本の若い人たちが国外へ出て、早い時期に様々な見聞を広め経験を積むことで、将来的に世界の平和と安定に貢献できる国を創る人々を早急に育まなくてはと感じています。その為に先ずは日本を元気にしなくてはと思います。現実には、教育プログラムから組み直すことが必要です。そして、若い人が積極的に世界に飛び出し、様々な研鑽を積むと共に、日本人が伝統的に持っている良さを融合して、総合力を発揮していくことが大切だと思います。
私達が生きていくうえで必ず電力は必要ですし、これから世界的に電力を使う人口が増えていきます。電力を安定的に供給できることは、日々の生活はもとより経済活動に非常に重要です。世界中の安心な暮らしに、日本が様々なかたちで貢献出来る国になる事が、日本のみならず世界の平和につながります。二度とこれまでの様にエネルギーの奪い合いで争いがおきない様に努めなくてはと思います。
―― 安定的に電力供給するための技術についてはいかがでしょうか。
大野議員 国会でも開発スピードのアップを訴えてきましたが、私は核融合発電が将来のクリーンなベースロードに一番有効だと思っています。昨年あたりから日本の商社や様々な企業の出資によって、民間企業による開発スピードが上がっていると思います。クリーンで持続可能なベースロード電力を創り出すことができる核融合には、エネルギーの奪い合いに終止符を打てる力があり、それは世界の平和への大きな力になります。
―― クリーンな電気というと自然由来のものでしょうか。
大野議員 自然由来は基本クリーンなのですが、自然環境に左右されるため不安定で、ベースロード電源にはなれません。クリーンと共に持続可能性を考慮すると、安定した運転ができる核融合を活用することで、本当のクリーンエネルギーを創り出すことが可能です。 今、進んでいるのはフランスに建設中の「核融合実験炉ITER(イーター)」で、温度を上げる技術に取り組んでいます。日本には、温度は上がりづらいが連続運転できる技術があるので日本の技術者も参加し、世界各国が協力する実相へ向けての世界プロジェクトとして行われています。
日本では現在、ベースロード電源として火力発電で何とか供給している状況です。火力発電も昔に比べてずいぶん技術が高まっており、二酸化炭素の排出量は激的に減っていますし、CO2を地中に安定して貯蔵する技術開発もされていまが、核融合の開発スピードを劇的にあげることが何より大切な状況です。
―― 研究者の育成も必要でしょうか。
大野議員 プログラミングなど理数系の学びがカリキュラムでも増えています。様々な問題解決を考える時、常に教育に行き着きます。これからの世界に必要なスキルを学ぶ機会を確実にプログラムしていかなくてはと思います。そして、日本の優秀な研究者が資金不足等の理由で海外へ流出している現状は国が現状認識を間違っていると思います。研究者のみなさんが安心して国内で研究していただける環境を整えていかないといけません。更にスタートアップ企業を支援する仕組みも充実させなくてはなりません。次の世代へ安心安全で豊かな暮らしを繋ぐために急務です。
―― そのほか、注目しているエネルギーはあるでしょうか。
大野議員 ここ3年ほど夏に中南米を回っており、サトウキビ等から作られる植物由来のバイオエタノールにも注目しています。核融合等の開発への時間を埋めるために植物由来のアルコール燃料を確保しなくてはと思います。昔からサトウキビで車を走らせているブラジルはもとより中南米は土地もあり、また、中南米だけで日系人が210万人ほどいますから、親和性が高く、協力関係が築きやすく、互いにWIN WINの関係になれると思います。政府も昨年から今まで以上に、交流に力を入れはじめてくれました。日系のみなさんとの繋がりはこれからさらに、重要になると思います。
子どもたちの学びの場になるスポットが多様にある岐阜県
―― 大野議員が考える岐阜県の良さについて教えてください。
大野議員 岐阜県は自然があって、0~3,000mと高度差も大きいため多様な植生があり、そこに様々な生活があり、日本の縮図のような環境があります。岐阜県に住む私たちも気が付いていない良いところもたくさんあると思いますので、いろんな方に来ていただき外から来た目で発見していただきたいと思います。インバウンドもですが、ぜひ、国内の方に岐阜県を見ていただき、「岐阜って面白い」という機会がつくれるといいなと思います。
岐阜県は修学旅行で来ていただくのも良いのではないでしょうか。「白川郷合掌造り集落」「郡上踊り」「本美濃紙」「曽代用水」「清流長良川の鮎」といった世界遺産がいくつもあります。更に豊かな自然があるので、都市から来た子どもたちに、二酸化炭素の話や森林が水を作ることを実際に見て感じて理解してもらうこともできます。核融合科学研究所やスーパーカミオカンデといった最先端の研究施設もありますし、リニア新幹線が開通すればリニアに乗ってリニアの車両基地を見学に来ていただくのは如何でしょうか?きっと子供達が夢を描く、良い刺激になると思います。この様に岐阜県には子供達の興味をひくものが沢山あると思います。歴史も大切ですが、子どもたちは「ドラえもん」の未来の道具が好きですから、興味をひいて夢を育んでいただけるのではないでしょうか。
日本の真ん中に位置して新幹線やリニアで気軽に来てもらえる。岐阜県は未来を担う子供達にいろいろな経験を積む提案ができる強みがあると思います。
―― 岐阜の若者にメッセージをいただけますでしょうか。
大野議員 岐阜県にはいいところがたくさんありますから、故郷を一度見つめ直していただきたいと思いますし、海外にもどんどん出て欲しいと思います。欧米等の先進国だけに目を向けるのではなく、アジア・中南米・アフリカ等世界中に飛び出して、未来を担う同世代の人々と絆をつくることが、将来的には、お互いを支え合う関係性ができるのではないでしょうか。そのためにも、海外へ行く機会の創出や経済的な面などの課題がクリアできるように、未来を担う皆様を全力で応援できる体制を充実させる事こそが世界の平和と安心安全の暮らしの礎だと思います。私はこれからも微力ですが、未来の私達の大切な日本と岐阜県を担う人々を全力で応援させていただきたいと思います。