世界の岐阜県人会が一つになった
「岐阜県人会インターナショナル」
岐阜と世界を繋ぎ、岐阜の魅力をアピールしていきます

岐阜県人会インターナショナル(GKI
ブラジル岐阜県人会
長屋 充良 会長
(長屋クリニック 経営 カイロプラクター・理学療法士)

半年の出張をきっかけに、ブラジルへ移り住むことに

-- 長屋さんは関市板取出身とのことですが、子どもの頃の様子を教えてください。

長屋会長 私は当時の岐阜県武儀郡板取村(現:関市板取)の山間部で生まれました。人口3千人の寒村でしたが、その反面、山と清流の自然に恵まれた環境で育ちました。山菜採り、川遊び、魚獲り、カブトムシ、クワガタ、オニヤンマとり、山遊び、栗拾い、胡桃、野いちご、アケビとり、冬はソリ、雪遊びと、山、川にはたくさんの宝物があり、それらを見つけるのが楽しい毎日でした。

-- 自然に恵まれた中で子ども時代を過ごされたのですね。

長屋会長 ガキ大将でしたので、親に随分と迷惑をかけたと思いますが、小学校で児童会長、中学校で生徒会長、バスケ部のキャプテンなどをやらせていただきました。

小学校は4年生まで複式学級でしたが、私が小さい頃は街に出る方が多く、子どもが減り、残念ながら通っていた地元の岩本小学校は私が小学4年生の時に廃校になり、同級生は分断、他の2つの小学校に通うことになった思い出があります。

-- ブラジルで生活を始められたきっかけを教えてください。

長屋会長 3歳違いの兄が柔道整復師で、その影響もあって長良高校卒業後、専門学校に入学し、柔道整復師の免許を修得しました。さらに兄の薦めで、東京のカイロプラクティックスクールに入学。同時に、附属クリニックに勤務していました。

その後、スクールを卒業して附属のクリニックと専門学校で働いていた折、院長がブラジル日本商工会議所の会頭と懇意になり、ブラジル、サンパウロにてジョイント事業としてカイロプラクティッククリニックを開院することになったのです。私はクリニック立ち上げのオープンングスタッフとしてブラジル出張することになりました。

-- 出張がきっかけとなり、移住することになったのでしょうか。

長屋会長 はい。半年後、ブラジル永住を決めていた院長と交代して帰国する予定だったのですが、院長が重い病気に罹り、移住が不可能となってしまったのです。そのためクリニックを任されて3年間継続するも、結局、閉院となりました。この時、同じ職場で看護師と通訳を担ってくれていた日系2世の妻と結婚し、独立して個人のクリニックをオープンして現在に至り、結果、ブラジル移住となりました。

ブラジルサンパウロ市にある「長屋クリニック」
クリニックスタッフのみなさんと長屋会長
ファミリーのみなさんと長屋会長

ブラジル岐阜県人会で故郷岐阜の文化を発信

-- ブラジル岐阜県人会のみなさんはお互いの交流や活動が積極的に行われていますね。

長屋会長 ブラジルに移住して40年、ブラジル岐阜県人会を手伝わさせていただいて12年になります。岐阜県人会では、生まれ育ち、育んでくれた故郷、岐阜の魅力を紹介し、郡上踊りを広め、けいちゃん、五平餅など岐阜の味を伝え、岐阜県の素晴らしさをアピールしています。自分自身、またはお父さんやお爺さんが生まれた岐阜の素晴らしさを伝え、会員さんが岐阜人子弟としての誇りをもっていただけるような活動を展開しております。

-- 郡上踊りなど、岐阜県の文化を紹介されていると、現地のブラジルの方からはどのような反応がありますか。

長屋会長 まずメンバーには、20221130日にユネスコ無形文化遺産に登録された郡上踊りをブラジルで披露していることと、その伝承者であることの誇りをもってくださいと伝えています。披露すると、浴衣と下駄姿で踊っているためか注目されますね。日本の文化に興味をもってくださる方も多く、また、盆踊りで盛り上がる「ダンシングヒーロー」を一緒に踊ってもらうと、流石に一番ウケがいいです。

ブラジル岐阜県人会で郡上踊りを披露
日本祭りでのブラジル岐阜県人会ブース

念願叶った「岐阜県人会インターナショナル」の設立

-- 岐阜県人会インターナショナル設立の経緯を教えてください。

長屋会長 12年前のブラジル岐阜県人会入会当時からグローバルなネットワーク作りを提唱し、世界の岐阜県人会に呼びかけてきましたが、時期尚早で盛り上がらず、長い時間が過ぎてしまいました。奇遇にも、コロナ禍でオンラインが日常生活に浸透したところを、今がチャンスと再度呼び掛け、これが機が熟していたというか、上手く噛み合って3ヶ月で「岐阜県人会インターナショナル(GKI)」として、世界26の岐阜県人会の参画によって設立することができました。

-- 202210月に「岐阜県人世界大会」を開催されましたが、いかがでしたでしょうか。

長屋会長 「第一回世界岐阜県人会サミット」の開催然り、10年来の願いが叶った夢のような出来事で、大成功に終わり、感謝感謝、感謝に尽きます。岐阜県人会インターナショナルを設立してから15ヶ月で「第一回岐阜県人世界大会」を600名の参加者によって開催、成功を収めることができたのも、GKI設立メンバー、実行委員会の皆さん、岐阜県庁をはじめ、岐阜県政財界の皆様のご理解ご協力の賜物と感謝しております。岐阜を愛する方々が集い、語らい、絆を深め、岐阜県人としてのアイデンティティと誇り、岐阜の素晴らしさを再確認し、岐阜と世界を繋ぎ、岐阜の魅力をアピールできたと思います。

第一回岐阜県人世界大会
第一回岐阜県人世界大会の長屋会長
第一回岐阜県人世界大会で、行われた「岐阜県と岐阜県人会インターナショナルとの県産品の海外展開に関する連携覚書」締結式
-- 岐阜県人会インターナショナルさんでは今後、どのような活動を予定されているか教えてください。

長屋会長 GKI執行部の任期が2年のため、創立役員は2022年で無事任務を全うし、本年、第二次執行部が20232月の総会で認められ、新しくスタートしました。元執行部を継続しながら理事職を新しく設け、新しい風を吹かしていただこうと新執行部を立ち上げました。そして、 つなげよう!岐阜愛! つなげよう!岐阜と世界! つなげよう!次世代へ!を新執行部のスローガンとして活動します。23ヶ月おきに岐阜県のあらゆるジャンルの識者による岐阜学の知見を深め、世界で活躍するGKIメンバーを紹介する定例会を開催するほか、岐阜県の若い方々に向けてGKIメンバーがオンライン講座を行う「ギフセカプロジェクト」、若者に海外における夢を語っていただくプレゼンコンテストの「ハロープロジェクト」などをこれからも継続していきます。

-- 新しい取り組みも企画されているのでしょうか。

長屋会長 世界大会の際に調印した、岐阜県産品の海外展開におけるフォローを実施します。グローバルアンテナショップ(GAS)の推薦や開拓を行い、具体的には202377日~9日にサンパウロで開催される日系の世界最大級イベントの「日本祭り」で岐阜の県産品紹介ブースを設け、販路拡大のために紹介してまいります。

他にも、新しく若者のグローバルなネットワークを構築するため、世界各国の岐阜県人会メンバーの子弟または、岐阜に興味がある方々が英語でのリモート会議で、定期的に岐阜に関するあらゆる課題を語り合う「ギフアイ」プロジェクト、そして、メンバーの子どもたちが岐阜に集まり、キャンプなどで一緒に過ごしながら岐阜県の観光名所を訪れ、歴史を知り、郡上踊りや美濃和紙を漉き、関の刀職人の鍛冶場を訪問体験し、文化を知る「岐阜っ子」プロジェクトを企画しています。

*「ギフアイ」のアイは、「愛、EyeI、会い、合い」であり、自身(I)の視点(Eye)で岐阜を語り(合い)、コミュニケーションによって、あたらしい岐阜観と(出会い)、岐阜(愛)を深める事が目的です。

-- 長屋会長が思う岐阜の良さ、ブラジルの良さ(好きなところ)を教えてください。

長屋会長 岐阜の良さは「飛山濃水」の風光明媚な自然に恵まれ、要衝の地であり、関西関東の文化が溶け合った、稀有な歴史文化があるところです。関の刃物、美濃焼、美濃和紙、飛騨の匠が生んだ銘品等、特色ある岐阜ブランドが多様にあります。歴史伝統文化を受け継がれていることで現代でも引けをとらない文化になっていますし、世界に発信もされているところが素晴らしいところです。

ブラジルの良さは人種の坩堝でありながら、それぞれの文化を尊重し、多様性に富むところです。一人ひとり、個人の考えを尊重して生活をしています。

-- この機会に岐阜県のみなさん、特に若い方に向けてお伝えしたいことをメッセージいただけますでしょうか。

長屋会長 若いうちに海外にドンドン出ていただき、他文化、他民族との交流をしてグローバルな視点をもち、強いては将来、母県岐阜県のために頑張っていただきたいと思います。世界のさまざまなところで岐阜県人は活躍しています。海外出張、観光、留学、経済ミッション、国際会議参加、海外進出などを実施する時は、我々(GKI)のネットワークをご利用いただければと願います。全力で対応いたします。