Seiryu Voice
投稿日:2024.08.10
「世界と日本をつなぐ人」を目指して、ドイツ留学をスタートさせた高校生、アディカリ自然さん。第4回 -帰国編-
岐阜生まれ、岐阜育ちのアディカリ自然さんのドイツ留学の様子をお伝えする第4回。7月に留学期間を終え、日本に帰国したアディカリさんに留学で得た経験や今後のことについてお聞きしました。また、ドイツの友人Sophia Hoass(ソフィア ハース)さんも一緒に来日されたので、アディカリさんに通訳をしていただきながら、日本の印象や彼女にも今後のことにも回答してもらいました。
日本とドイツの違いを感じながらも、それぞれの国の良さを感じた留学経験
―― 今、留学を終えられての気持ちをお聞かせください。
アディカリさん お互いの国の良さを改めて知ることができ、すごくいい経験になりました。自分の性格も変わったと思います。ドイツでは自分でイベントを開催するなど、自分から進んで何かをやろうという気持ちになりましたし、自分から知らない人にも声をかけられるようになりました。日本に帰ってきてからクラスメイトにも「すごくコミュニケーション力が上がったよ」とか「明るくなったね」と言われました。
―― アディカリさんが感じた日本の良さ、ドイツの良さを教えてください。
アディカリさん 日本人は親切だということと、水やトイレが無料なことと、まちが綺麗でゴミがどこにも落ちていないことです。日本人は周りの人にも気を使うところも良さだと思いました。例えば、花火大会のあとは基本、綺麗になっているところなどです。ドイツの良さは物事がはっきりしている性格をしているところです。やると言ったことはやるし、リップサービスではなく、約束したことはきちんと守ります。電車だけは時間通りに動いてはいなかったのですが(笑)、それ以外はみんなしっかりしていてまっすぐなイメージがあります。留学前はドイツには冷たい人がいると聞いていましたが、全然そんなことはなくてすごく優しい人ばかりでした。向こうから話しかけてくれて、いっぱい助けてもらいすごく感謝しています。
―― ソフィアさんの日本の印象はいかがですか?
ソフィアさん(英語で回答しています) ドイツより日本は暑いところと、いつも人が優しく助けてくれます。こちらから質問をしたら、英語が喋れなかったとしても頑張って挑戦して回答してくれます。あと、学校の違いも感じました。 アディカリさん 岐阜県商業学校の好意で夏休みに入る前の4日間、ソフィアも一緒に学校の授業を受けました。 ソフィアさん 学校のユニフォーム(制服)があること、一人ずつ机があること、先生と生徒の仲がとても良いということがドイツと異なるところです。あと、ドイツは1つの授業時間が1時間半あるところや教科数が少ないところも違います。ドイツは1つの教科をじっくり学ぶシステムです。そして、日本は学校にランチボックス(お弁当)を持っていきますが、ドイツはパンのような軽食を持っていき、学校が終わった後に家でお昼をしっかり食べる1日です。学校が終わるのは午後1時です。放課後の部活動がないので、地域のクラブに通います。
―― アディカリさんはドイツでバレークラブに入られたのですよね。
アディカリさん ソフィアも同じバレーチームにいました。県岐商のバレー部にも参加しました。
観光だけでは得られない、日本の日常を体験したソフィアさん
―― 今回、ソフィアさんは旅行として来日されたのでしょうか。
ソフィアさん 以前から日本に興味をもっていて、ドイツの学校に日本から留学生が来るということを聞いてとても楽しみにしていました。アディカリから日本のことを聞いているうちに、もっと行きたい欲が高まり、アディカリが帰国するきっかけで、留学プログラムではなく、旅行として1人で来ました。日本に行けば、アディカリと一緒にいる時間も伸びるし、チャンスがあるなら行かない理由がないでしょ!という理由です。
―― 日本に帰ってきて、二人はどこに行きましたか?
アディカリさん 学校に行った4日間はラーメンを食べに行ったり、友達とプリクラを撮ったり、ソフィアは制服も着させてもらいました。岐阜城や川原町にもいきましたし、先日はスイスから来た友達とカナダ留学中で一時帰国中の友達の4人で白川郷と高山の古いまちなみ、郡上市にある阿弥陀ヶ滝荘の流しそうめんに行きました。 ソフィアさん もし、誰も知っている人がいなくて観光客として日本に来ていたら、大きな都市しか行かなかったと思います。地方の田舎は静かなイメージですね。岐阜県の人はみんな優しくて、岐阜を見ることができて良かった。そして、暑いけれども晴れの日が多くていいですね。
―― ソフィアさんから岐阜の皆さんへメッセージを送ってください。
ソフィアさん 今までヨーロッパを中心に外国旅行はしていましたが、アジアはタイと日本だけです。岐阜は大きなまちでたくさんの人が住んでいるなと思いました。出会った人たちからいろいろなことを教えてもらい、コミュニケーションをとってくれたので、とても感謝しています。もし、英語やそのほかの言語が話せなかったとしても、ぜひ、海外の方とコミュニケーションをとってもらえたら嬉しいですね。
留学をきっかけに、国際交流の輪を広げていくアディカリさん
―― 今、すぐやってみたいことと将来的に就きたい仕事があれば教えてください。
アディカリさん すぐやりたいと思っていることはまず、大学に入ることです。言語系の学校に進学したいと思っているので、まずは英語をしっかり勉強します。ただ、ドイツ語も忘れたくないので、ホストファミリーやクラスの友人と連絡を取り合う予定です。個別にも勉強して、レベルアップしていきたいです。またドイツに帰ってみんなと会いたいと思っています。将来的にはユニセフや国連といった国際的な仕事に就きたいので、もっといろいろな言語を勉強していきたいと思います。今は日本語、ネパール語、英語、ドイツ語を話しますが、留学中、半分の友人がスペイン語を使っていたことからスペイン語にも興味があります。直近では、8月に名古屋市で開催される「ジャパン キッズ ファッション ウィーク2024」に出場します。
ソフィアさん 私は中学を卒業して9月に高校に入学します(ドイツでは19歳まで中等教育、それ以降で高等教育機関に進学)。3年後に大きな入試があるので、それに向けて頑張るのが今の目標です。そして、世界旅行をするのが好きなので将来はパイロットになりたいと思っています。また日本にも戻ってきたいと思いますし、岐阜にもまた来て、旅行にいきたいです。
―― 岐阜県の高校生の留学経験者との交流はありますか。
アディカリさん はい、留学経験者同士のコミュニティがあります。それぞれの留学先は私のドイツと、イタリアが2人、ボリビア、ハンガリーといろいろなので、交流しながらそれぞれの国のことを知りたいと思っています。さらに、日本にいるたくさんの留学生とコミュニケーションを取りたいと思います。
―― 言語系の大学へ行ったらさらにさまざまな国との文化交流もできそうですね。
アディカリさん はい、きっと留学生をたくさん受け入れていると思うので、サークルなどで関わりあったり、プライベートでも交流ができたらと思います。世界中にいる友達に会いに行けるように計画を立てて、時間とタイミングとお金も作っていきたいと思います。
―― 今、高校生は長期留学ができる環境なのでしょうか。
アディカリさん 短期留学をする高校生はいますが、なかなか長期留学は難しいようです。岐阜の留学生コミュニティの中には、留年を覚悟してまで留学をした子もいて、 私の場合は学校が単位として認めてくれたので、留年せずに卒業できそうです。
―― 留学の良さを、高校生をはじめみなさんにお伝えしたいことがあれば教えてください。
アディカリさん 留学を経験すると、見る世界が違ってきます。国によって文化も違うし、生活の仕方も全部違うので、たくさんの新しいことを学ぶことができます。世界中に友達ができるので言語を学ぶだけでなく、一生の思い出ができると思いますし、自立することも必要になるので、性格が変わることもよくあると思います。留学でなくても、旅行としてたくさんの国へ行ってその国の文化を知るだけでも、その国の考え方が分かると思います。留学をしたいと思った時は、両親が心配するのではないかとか、お金の面で心配をしましたが、やりたいと思うことに挑戦するのが一番いいと思います。デメリットがあったとしても、それを上回るメリットがあると思います。
留学先のドイツで文化や生活を経験するだけでなく、グローバルな交友関係が広がったアディカリさん。これからも、経験と学びを積み重ねながら夢の実現に向けて進んでいます