【多治見商工会議所】

多治見商工会議所会頭
田代 正美 さん
(株式会社バローホールディングス 代表取締役会長兼CEO
副会頭
坂﨑 義雄 さん
(前畑株式会社
代表取締役会長)
副会頭
柴田 錦見 さん
(昭洋商事株式会社
代表取締役社長)
副会頭
加知 康之 さん
(東濃信用金庫
理事長)
副会頭
松島 祥久 さん
(株式会社藤本組
代表取締役)

【田代会頭メッセージ】

子どもたち、若者たちの力に期待した
バランスのとれたまちづくり

多治見の暮らしやすさをいかし
ソフト面でのまちづくりで本当の活性化を進めたい

-- 変化が大きい今、会議所や会員さんは今後、どのような取り組みをしていくのが良いと思われますか。

田代会頭 アフターコロナと言われますが、「コロナによって物事が変わった」と捉えるのではなく、「コロナによってライフスタイルの変化が加速した」と捉えた方が良いでしょう。例えば、飲食店で団体利用が少なくなってきた風潮はコロナ前からすでにありました。また、和食器が売れなくなった理由に外食人口が減少したからと言う方もいますが、ちょうどこれまでの売り方を変える時期だったと捉えることもできます。数年前からの変化を時代のトレンドとして捉えた方が、今後の事業方針を決めやすくなるでしょう。

-- 新しい商業施設が建設されるなど、多治見駅周辺の開発が進んでいる状況をどのように思われますか。

田代会頭 多治見市全体を思うと、駅前開発は進めるべきだと考えています。多治見駅にはマンションが建設されましたし、多治見インターチェンジがあるので、土岐川より北側は住宅が増えていきそうです。公共交通機関を使う人なら駅周辺が生活しやすいですし、とても暮らしやすいまちだと思います。

これからはソフト面でのまちづくりが必要ではないかと思います。JR多治見駅南口に直結している「くれたけインプレミアム 多治見駅前」のように、レストランがないホテルもあるため、多治見駅周辺の飲食店を充実させるとか、町の飲食店と提携して一定間隔でバスを運行して町とホテルをリンクさせるなど、一つの施設だけでなく、まち全体が活性化するような方法を考えないといけないと思います。

多治見駅前商業施設
多治見駅南口
-- 多治見市の中で、会頭が好きな風景や場所はありますか。

田代会頭 商工会議所のある産業文化センターからの眺めが好きです。川がある風景は一つの地域として非常にいいと思います。ヨーロッパのように、教会や広場がある旧市街地とオフィスが並ぶ新市街地、異なるタイプの市街地が共存するまちづくりができると「いいまち」になると思います。多治見市も土岐川を挟んで北側に多治見駅周辺の新市街地、南側に明治初期から昭和初期にかけて建てられた商家や蔵が残る旧市街地のある、バランスがとれたまちです。

それと、イベントを開催しようと思うと、駐車場の関係上どうしても郊外に会場をもっていきがちですが、イベントに参加された方は車で会場まで来てそのままどこにも立ち寄らずに帰ってしまいます。公共交通機関とまちが一体となって周遊できるようなイベントにしないと、本当の意味でのまちの活性化にはならないと思います。

多治見市全景(虎渓公園より)
多治見市全景(セラミックパークMINOより)
本町オリベストリート
本町オリベストリート
-- リニア新幹線開業についてはいかがでしょうか。

田代会頭 早稲田の中高一貫校を誘致したいと思い、先日、早稲田大学へ行ってきました。その時にお聞きしたのは、東京の方のリニアに対する捉え方が「岐阜へは40分で行ける、もう首都圏だ」ということでした。それを考えると、首都機能移転をすれば、地方活性化につながるのではないでしょうか。政治家や公務員が移り住めば、地域の動きも変わってくるはずです。

そして、若い方が来ることを意識しないとまちは活性化しません。学校の誘致もそうですし、私は世界的なラグビー場を作りたいと願っています。ワールドカップの会場になれば、大勢を多治見のまちに集めることができるからです。

インプットしたらアウトプットを
アウトプットすることで新しい情報をどんどん取り入れることができる

-- 具体的なまちづくりのアイデアはありますか。

田代会頭 20239月にラグビーワールドカップを観戦するためにフランス、ニースを訪問する予定で知ったのですが、ヨーロッパの方たちはキャンピングカーで自分のひいきチームを追いかけながら応援するそうです。おそらく、これから日本もキャンピングカーを使った旅を楽しむ方が増えるのではないでしょうか。それを見越して例えば、駐車スペースの確保やまち中に飲食店を増やすなどで、キャンピングカーが来やすいまちづくりをしても良いのではないかと感じています。

-- ラグビーワールドカップやキャンピングカーが集まると、若い方からの注目が集まりそうですね。

田代会頭 会社なり、地域なり、行政も同じですが、やはり、若い方が行きたいと思うまちをつくるべきです。私も若い子たちと会っていると刺激を受けて楽しく感じます。というのは、同年代の方達と話をしていると、みなさん勉強熱心でさまざまな情報や知識をインプットされてはいるのですが、アウトプットができていないようです。アウトプットができないと自分の中で詰まってしまって、新しいものをインプットできない状態だと感じたからです。その点、若い方達はインプットした分、ちゃんとアウトプットしています。私もやりたいことがどんどん出てくるので、アウトプットできていると思います。

-- インプット、アウトプットに関連した出来事で印象的な内容を教えてください。

田代会頭 弊社のスポーツクラブ アクトスに10年在籍しているスタッフが、日本水泳連盟の資格を取得して、コーチの仕事をしたいと希望を出してくれました。理由を聞くと、「教えたい」とのこと。それならばということで、社内規定を作り、準コーチとして子どもたちに教えながら、同時進行で日本水泳連盟の資格を取得する提案をしました。経験を積んできた方が子どもたちに教えるということは、基本をしっかり教えることになるので、これはまた勉強になります。教えるというアウトプットで、改めて基本を学ぶインプットができる状態です。

-- 田代会頭は65歳で剣道を始められたのですよね。

田代会頭 私は80歳の女性が初段を取られたという新聞を読んで刺激を受け、65歳から剣道を始めました。そうしたら、先日お会いした方は70歳になってから始められたそうで。年を重ねても刺激は必要です。今も週2回の稽古を欠かさず、健康になりました。

-- 剣道を習う子どもたちはいかがですか。

田代会頭 剣道を習う子どもは減少しています。理由は子ども全体の人数が減少していることもありますが、小学校高学年や中学生になると、塾や習い事が増えて、優先順位が変わってしまうからです。

養老には塾と剣道、居合道をドッキングさせた「志道館学園」があり、子どもたちは勉強した後、剣道の稽古をするそうです。人数も60人ほどいるそうなので、しっかり稽古に打ち込めて、剣道の腕は全国レベル級の強さをもっています。このような学校を私も立ち上げたいと思い、それなら、勉強と剣道だけでなく、お茶やお花など日本の文化を習ったり、かつての寺小屋のように、お寺の住職の法話を聞いたりできる学校にしたいと考えています。

-- そうすると、今、一番の楽しみは学校作りでしょうか。

田代会頭 藩校のようなみたいな学校を作りたいと思います。先ほど申し上げたように、子どもたちにさまざまなことを教えたく、今、そのメンバーを集めているところです。次の世代を育てることは本当に大事なことです。歴史を振り返ると、時代はイノベーターが作っています。まずは岐阜でやり始め、他の方が面白いと感じて全国に広がれば、本当に嬉しい。教育も変わっていくのではないでしょうか。先日開催された「第5回たじみビジネスプランコンテスト(タジコン)」でも、若い方達のアイデアが光っていました。

若者の発想力に期待
限界を決めず、未来を切り拓いて欲しい

-- たじみビジネスプランコンテストについて詳しく教えてください。

田代会頭 多治見の魅力を引き出すようなビジネスプランを募集し、発表して優勝すると300万円の賞金を受け取ることができるコンテストです。一般部門のほかにはハイスクール部門を設けており、毎回、高校生の発想力豊かなアイデアが集まります。私もプレゼンターとして表彰式に出席しています。

たじみビジネスプランコンテストで高校生が発表
たじみビジネスプランコンテストの表彰式の様子
たじみビジネスプランコンテスト
-- 高校生からはどのようなアイデアがありましたか。

田代会頭 多治見市のアーケード商店街「銀座通り」をボーリング場にするとか、焼き物のまち多治見らしく、窯の排熱でサウナを作ろうなど、私たちが思いもつかないプランがありました。実現できるかどうかは別として、柔軟性のある大胆な発想がいいと感じました。

-- 若者のアイデアが活かされる時代になるといいですね。

田代会頭 弊社のグループ会社「八百鮮」は青果を中心に展開している会社で、カレンダーを出しているのですが、その表紙に、コンセプトとしている「八百屋を、日本一かっこよく。」と書かれていました。八百屋をかっこいいと表現する発想は、若いからこそ出てくるのだと感心しました。社員もエネルギー溢れる若者たちばかりで、とても興味を惹かれます。本当に若者を見ていると楽しいですね。

-- ぜひ、子どもたち、若い方へメッセージをお願いします。

田代会頭 私がいつも言っていることですが「自分で限界を作るな」ということです。私たちから見たら、子どもたちにはそれぞれの素晴らしさがあります。体が小さいからどうだとか、何がどうだとか、そんなことは関係ありません。もしスポーツをやりたい場合、体が小さければ、小さい方が有利になるポジションがあってそこで活躍ができます。自分で限界を作る必要はありません。諦めなければ、いくらでも未来は拓かれます。

■多治見商工会議所
〒507-8608 岐阜県多治見市新町1丁目23番地
TEL.0572-25-5000 FAX.0572-22-6100