自ら情報を集めて幅広い知識をもち、
自ら行動に移すことがこれからの生き方

各務原商工会議所会頭
北角浩一さん
（株式会社日本一ソフウェア　取締役会長）

日常の取り組みが認められ、
日本一の商工会議所に

ーー　各務原商工会議所さんの活動について教えてください。

北角会頭　新型コロナウイルス感染症が流行する以前はイベントを頻繁に開催していた会議所です。地域活性化のためにと、商工会議所全体、青年部、女性会がそれぞれが中心になったイベント、また、共催イベントも含め、いろいろな形で活発に行っていました。現在は会員さんに役立つようにと、サポート事業を集中的に取り組んでいます。特に、助成金関連で協力させていただいており、採択率は高い実績を保っています。
2021年は経営改善普及事業の取り組みに対する功績が認められ、経営改善普及事業発足60周年記念表彰にて、経済産業大臣賞を受賞しました。全国515会議所の中から、特に優良な10会議所が選ばれた賞で、日本一の商工会議所として認められました。職員の取り組みはもちろんですが、会員企業のみなさんの日常の活動も含めて評価していただきました。このような真摯な取り組み方を歴代の会頭が作ってくださったので、私は自然体で会頭職を務めています。

生活環境も働く環境も整っている、
暮らしやすい各務原市

ーー　各務原市の印象はいかがでしょうか。

北角会頭　すごく綺麗で、まち並みを見ても良い印象を感じとることができます。私は出身が三重県津市、育ちは愛知県一宮市、最初に勤めた会社が愛知県江南市、独立して会社を立ち上げた時に各務原市に入ってきました。実際に暮らしてみると、生活がしやすい地域です。日常的な買い物に困らない、公園がたくさんある、街へ行こうと思ったら名古屋へすぐに行けますし、山や川、自然に触れたいと思ったら下呂や高山にも行ける。歴史好きな方なら、岐阜城や関ヶ原古戦場を巡ることもできます。近場でさまざまなジャンルのスポットへ行くことができるまちです。また、各務原の方は素直で真面目な方が多いなと感じます。だからこそ、航空機産業などのものづくりに適した地域であるのだと思いました。

ーー　北角会頭は各務原市で起業されていますが、経緯などを教えてください。

北角会頭　私はゲームソフト会社に営業職として入社し、国内の営業を4年間、担当しました。アメリカでファミコンブームが飛び火したことに伴い、その後3年間、アメリカでの営業を担当し、帰国後、すぐに独立しました。独立した1993年はバブル景気が続いていたころなので、独立することへのハードルはそれほど高くありませんでした。ただ、東京ではなく、各務原市を選んだ理由は、森や川が身近にあったからかな、と思います。
東京は人や物で混み合っていますよね。仕事上、情報発信のため東京へ行くこともありますが、東京駅を降りた瞬間に帰りたくなってしまう。人ごみを見ただけで疲れてしまうのです。今思うと、みなさんが気持ち良く働ける会社を作りたい、長期間、安心して働ける職場を作りたいという思いがあったのでしょう。

好きなことに関われる職場で、
長く働き続けて欲しい

ーー　北角会頭が取締役会長を務めている日本一ソフトウェアでの社員さんの働き方について教えてください。

北角会頭　弊社にはゲームが好きな方が集まってきます。だからこそ長く、定年までゲーム作りに関わっていただける職場づくりを大事にして、ここまでやってきました。ゲーム業界は30代定年説が言われていますが、全く違います。20代なら20代の良さがあるし、40代、50代 になった時の良さもある。年齢関係なく活躍していただきたいのです。新入社員には「うちの会社の給与体制は年功序列だから」と説明します。と言っても、年齢の順に給料が高いわけではなく、年功序列には「功」の字が入っていることを忘れていませんか？ということです。毎年、成果を上げ続けて欲しいのです。そのために、どんな仕事の取り組み方をすれば良いのか、生活からきちんと整えていかないと難しいよね、という話をします。そうした意味からも、職場環境、生活環境は大事だと考えています。

ーー　イベントで地域を盛り上げられていますよね。

北角会頭　日本一ソフトウェアは、岐阜市柳ケ瀬商店街で開催している「全国エンタメまつり」（通称ぜんため）の実行委員会に参加しています。商店街を歩きながらゲームを中心にしたエンターテインメントを楽しむイベントで、多くのメーカーさんに参加いただき、地域のゲームファンが様々な体験をしていただける貴重な機会にもなっています。2021年の第4回はオンラインで開催しましたが、やはり、イベントは現物を見て、リアルに騒ぐのが楽しいものですね。

幅広い知識をもつことで、
信頼できる人と出会い、
生きていくことができる

ーー　これから働き盛りを迎える若い方へのメッセージをお願いします。

北角会頭　コロナ禍で企業格差が出てしまっている、非常に変化がある時期ですが、企業は自社の得意分野を発揮させていく時期に来ているのではないでしょうか。企業の場合、例えば親会社からの指示で動くだけではなく、また、個人でも人から言われたことを鵜呑みにして動くのではなく、自分自身を見直して、いろいろな人の意見を参考にして、自分の手で情報を入れて、自分で判断して、自分で行動することが大事。それが生きる楽しみなのではと、若い方達に伝えたいと思います。
人生に正解はありません。生きていく先に正解はなく、どんな結果も正解にすること、すなわち、後から正解だったとするように努力することです。現実はうまくいかないこともありますが、トライせず、何もしないよりはやっておいた方がいいかなと思います。

ーー　起業する方、フリーランスになる方へのアドバイスもお願いします。

北角会頭　私が独立したバブルの頃に比べて、起業する方は減っていて、近年はフリーランスで働く方も多いのではないでしょうか。いずれにせよ、起業、フリーランスを目指そうと思うと、技術力（商品力）と営業力と財務力のバランスがないと前に進みません。いいものを作らないといけませんし、それを売らないといけない、さらには作ってから費用を回収するまでお金をコントロールできないといけません。自分のもっている技術を相手に伝えられなかったら売れないですし、財務力がなかったら安請け合いしてしまうこともあるでしょうか。3つがうまくバランスをとらないと、いい形のパフォーマンスは出ません。

ーー　得意ではない分野をカバーするには、どうすればいいでしょうか？

北角会頭　自分の得意としない分野があっても、知識は持っていないといけません。小学生向けの講演会では、算数が苦手な人も算数をやらなければいけない理由を伝えています。例えば、「算数が得意です」と手を挙げた子が九九で「六七、二十四」と言っても、自分が「六七、四十二」を知っていないと、実は手を挙げた子が算数を得意としていないことに気がつきません。苦手な分野も知れば知るだけ、より信頼できる人と境遇できて、生きていくことができます。だから勉強した方がいいよ、ということを小学生に伝えています。得意でなくても良いのですが、幅広く物事を知ることは生きていくうえで必要なのです。

■各務原商工会議所
〒504-0912 岐阜県各務原市那加桜町2丁目186番地
TEL.058-382-7101 FAX.058-371-0100