【中津川商工会議所】

中津川商工会議所 会頭
杉本 潤 さん

(美濃工業株式会社 代表取締役社長)

副会頭 勝野 安和 さん

副会頭 勝野 安和 さん

(株式会社ひかりや 代表取締役)

副会頭 鳴海 伸明 さん

副会頭 鳴海 伸明 さん

(株式会社鳴海組 代表取締役)

副会頭 齊藤 隆 さん

副会頭 齊藤 隆 さん

(中央紙運輸株式会社 代表取締役社長)

【杉本会頭メッセージ】

中津川全体をブランディングして、リニア開業に備える

イベントが復活し、リニア開業に向けてまちが動き始めている

-- 最近の中津川市の様子について教えてください。

杉本会頭 昨年8月に3年ぶりの「おいでん祭」を、今年1月には駅前商店街通りなどを歩行者天国にして「十日えびす大祭」が開催されました。「おいでん祭」は規模を縮小した開催でしたが、花火を打ち上げることができました。30年ほど続いてきた歴史ある祭りなので、次回は核となる風流おどりを復活させて本来の形に戻したく、今から青年会議所が中心になって準備をしています。

-- リニア中央新幹線の開業に向けてはいかがでしょうか。。

杉本会頭 本日、工事状況を見てきました。地上30mの高さに車両が走るというのは想像以上のスケールで驚きました。30mの壁ができてしまうそうですが、回送車が走る姿を高台や山から見える化したり、壁に絵を描いて有効活用したり、コンクリートの壁を何かに活かせるといいですね。

10年前には岐阜県駅(仮称)周辺の動きはみられませんでしたが、最近、不動産関係や大手業者からの提案が持ち込まれる事案が増え、機運が高まっています。

リニア中央新幹線

中津川にある資源磨きあげ、ブランディングしながらみんなで成長していく

-- 杉本会頭は3期目に入りましたが、今期の取り組みなどを教えてください。

杉本会頭 まず、大きいところで日本の成長を考えると、日本にはコツコツ積み上げてきた物作りにポテンシャルをもって欲しいと思います。世界的半導体メーカーTSMCが熊本市に工場を構えることになり、とても期待をしています。半導体造りがスタートして、昔のように輸出大国日本を作っていけば、経済は成長するでしょう。日本は物作りの土台があるため良質な設備が整っています。それをいかしてもう一度復興することができるはずです。

そこで、私たちは地域の経済の中でどう動くかを考えなければいけません。中津川商工会議所では、中津川のブランディングに取り組んでいくことにしました。目標を明確にし、みんなが同じ方向を向くための共有部分やストーリーなどさまざまな要素を取り入れながら中津川ブランドを作っていきます。ブランドは簡単にいうと「価値」です。歴史、文化、食、産業、自然などを磨き上げて価値を高め、他との差別化に繋げていきます。また、価値を知っていただける情報発信もしなければいけません。発信したら、お越しいただいた方が満足できるよう、さらなる本物磨きを続けていきます。

-- 中津川全体はもちろん、個々の商店さん、企業さんにもブランディングを進めていかれるのでしょうか。

杉本会頭 その通りです。ある展示会に伺った時、100以上のブースが業種別に揃っておらず、ばらばらに並んでいたことが気になりました。なぜばらばらだったのかというと、目的の業種のブースへ行くために探し回り、回遊するからだそうです。その良さもありますが、私はお客様に評価していただくためには、並んでいた方が分かりやすいのではと感じました。

中津川に置き換えると、例えば、観光客が中山道を楽しみながら栗のお菓子を買ったり 歴史や文化にふれたり、300400mの街道の中で中津川のブランドに出会うことができれば、ブランド力は強化されるのではないでしょうか。

名古屋城の隣には「金シャチ横丁」があり、ここに名古屋の食のブランドがコンパクトに集まっています。そのような核となる場所を作りたいと、会頭に就任した当時から考え、提案しています。「指示」ではなく、「提案」にしているのは、実際に動いていただく方と

同じ空気感をもちたいからです。

以前から取り組んでいる「本物磨き」を具体的な形にしたく、商工会議所内に「地域ブランド戦略特別委員会」を作りました。会員のみなさんの想いをお聞きしながら、遊び心をもってみなさんと夢を共有していきたいと思います。

中山道 馬籠宿
中山道 中津川宿
-- リニア駅「岐阜県駅(仮称)」が完成すると、インバウンドの方達にも注目していただけそうですね。

杉本会頭 経済界、産業界、行政も市民も同じ方向を向いてるのはリニア中央新幹線です。リニアという大きな媒体の活用を、それぞれの立場で考えていかなければいけませんが期待をしています。それを考えるとやはりブランディングは必要だと思います。

以前は都市間競争をしながら相乗効果でお互いが高め合えばという考えがありましたが、リニアについてはオール岐阜で考えないといけないと思っています。多治見市は首都機能移転をもう1回考えるべきですし、土岐市はショッピングモールがある、恵那市は観光、中津川市は産業を中心としたリニアの町をつくることができます。関も、美濃も、高山も、それぞれがもっている文化を融合して、しっかり受け皿を作っていかないといけません。リニアが岐阜県を1つにする媒体になるのではないでしょうか。

-- リニア開業を見据えたまちづくりの提案はどのように進めていかれるのでしょうか。

杉本会頭 私が仕事柄、ドローンや空飛ぶ車、自動運転に関わっていることもありますが、中津川商工会議所では「未来のまちづくり特別委員会」を設立し、新しいモビリティ「MaaS」を中心に、空飛ぶ車を2次交通機関として取り入れるなどの研究をしています。委員のみなさんには積極的に勉強していただき、研究を進めています。

-- 今後の中津川の成長が楽しみになりますね。

杉本会頭 環境問題についての考えも必須になる時期にきています。弊社で岐阜県初のエネルギー0工場を建設しますので、ぜひ、みなさんに見学していただき、感じることがあれば協力させていただきます。新工場はSDGsやカーボンニュートラルに取り組むことが目的ではなく、これらを活用することでコスト削減、収益に繋げる仕組みを作ることを目的にしています。ISOの取得も、取得することが目的ではなく、品質を高め、作業の効率性高めることを目的にしています。

まちづくりも同じです。目標達成に向けた活動をして、喜びができるまでやりきることが大事。商工会議所では目に見えた結果に結びつけるために、目標計画、ロードマップを作成し、達成に向けて頑張っています。

趣味はあることこ。毎朝歩き、ストレスをためこまない

-- プライベートでの時間の過ごし方を教えてください。

杉本会頭 歩くことです。以前は12万歩を毎日、10年間続けていました。おかげで、周りから「歩き過ぎ」と言われるほどでした。昨年、医師から指摘され、今は1万歩に抑えています。と言っても、朝5時に起きて、40分ほど歩くのですが、昨日は17千歩、今日はすでに1万歩を超えています。海外へ行っても歩きます。アメリカ、タイ、メキシコ、中国、どこへ行っても公園があるので、大勢の方が歩いています。東京も皇居の周辺はたくさんいますね。雨が降るとジムで歩くこともありますが、外で歩くのが好きなのです。

-- 外を歩いていると何か、発見がありますか。

杉本会頭 新しい店、施設ができたことを発見できたり、夏春秋冬、いろいろな変化を楽しんでいます。運動を兼ねているところもあり、朝に歩くと1日ストレスがたまりません。今はありませんが、時々、天候や体調によってどうしても歩けない時があった時は「俺はいつ歩けばいいんだ」と、ストレスになっていました。¥

-- 歩くきっかけはあったのでしょうか。

杉本会頭 以前はほとんど歩きませんでした。きっかけは体型に変化が出てきたためです。お腹は出る、ゴルフは飛ばない、足腰が弱ってきて、足腰が弱るとまた歩かなくなり、さらに体型が変化して、服を全て変えなければいけなくなるほどになると、そんな無駄なことはないと思い始めたからです。30年前にヘルニア手術をしたこともきっかけの一つです。手術は素晴らしい先生に出会うことができ、大成功しました。

経験値を高めるために一流を経験し、幸せになって欲しい

-- 杉本会頭が教訓や信念とされていることを教えてください。

杉本会頭 私は「人間の生きざまは、どれだけの人と付き合ってきたのか」ということをよく言います。先輩は「大物と接触した方がもらえるものが多い」と教えてくださいました。そして、自分に入ってきたものは後輩や仲間に出していくのです。

会社で仕事をしていると「ほうれんそう(報告・連絡・相談)」が大事にされますが、私は「めいかいえん(命令・解説・援助)」を大事にしています。「ほうれんそう」は下から上への行動ですが、「めいかいえん」は上から下への行動です。自分の言葉で指示(命令)をして、分からなければ解説をする。最後は予算などの援助をしてあげます。上の人の方が経験値が高いので、上から下への指示がしっかりしていれば、仕事が進みやすくなります。

-- どのような人と出会えるか、ということも大切ですね。

杉本会頭 当然ですが人はそれぞれ、背景や食べるもの、環境などが異なります。さまざまなお付き合いによって、チャンスは広がっていくでしょう。先ほどのヘルニア手術の先生との出会いも、たくさんの人間関係があったからこそ。私は人に恵まれている人生を送ってきたと感じています。

-- 代表取締役社長を務めていると紆余曲折あると思いますが、その辺りはいかがでしょうか。

杉本会頭 先日、「杉本さんは世の中が厳しい時に、工場を新設するのはなぜですか」と聞かれました。30年ほど前にバブルが崩壊した時は坂本工場を新設し、25年ほど前にアジア通貨危機でタイの通貨バーツが大暴落してもタイ工場の撤退はせず、今回、コロナ禍に本社工場と本社を新設しています。工場は建設を始めてから稼働できるまで23年かかります。景気がどん底の時に工場を作って準備しておけば、景気が回復する頃にはアドバンテージがあるのです。結果論ですが、今までそれでうまくいっています。

弊社は図面通りに製品を作り、お客様に喜んでいただく仕事をしています。ご希望があればお客様でも、同業者でも工場を積極的に見学していただいています。見せてなんぼ、見学された方から意見を聞いて改善、成長していくことができます。

昨年、今年と弊社で本社工場と本社を建設しましたが、私が口を出すことはほとんどありませんでした。若い人に向けた工場です。社員が使いやすく、喜んでいただければそれでいい。毎日、お客様や業者さんとやりとりをして改善、品質向上に取り組んんでいるのは現場で働く社員ですから。

-- 会頭の経験、想いを踏まえて若い方へメッセージをいただけますでしょうか。

杉本会頭 ぜひ、一流と言われることを経験し、贅沢をしてください。私は先輩に「一流を知らずに、物を語るな」と教えてもらいました。一流の物、事、人は高い経験値をもっています。おもしろいのは、たくさんの経験や出会いがあると、マイナスが分かることです。自分の経験値を高めていくと、「ああ、この人は私に悪影響を与えそうだな」ということが分かってくるはずです。

そして、自分が幸せでない限り、人を幸せにすることはできません。自分が幸せだから、人も幸せにできるのです。私はみなさんに育てていただいたので、これから返していく立場になりました。社員、商工会議所の職員と会員さんの幸せを考え、みんなで成長していこうと思います。

■中津川商工会議所
〒508-0045 岐阜県中津川市かやの木町1-20
TEL.0573-65-2154
FAX.0573-65-2157