INTERVIEW
Leader's Voice
町民の声にじっくりと耳を傾け課題解決に取り組む
Interview
朝倉 和仁 町長
地域コミュニティの再生が重要
―― 輪之内町の新しい動きについて教えてください。
朝倉町長 就任から一年が経ち、改めて、一から見すべきことはないかと考えて、事務事業の見直しを行いました。役場内の全職員に対して、目の前の仕事についてでもいいし、町として取り組まなければならないことでもいいから、何か提案するように指示しました。150人ほどの職員がいるのですが、結果的に大小合わせて約400件の提案がありました。「そうだったのか」と改めて気づかされることもありましたし、これを機に見直しが進んでいくといいなと思っています。
―― 具体的な提案内容について教えてください。
朝倉町長 例えば、小さなことですが、現在の電話機にナンバーディスプレイがありません。町民と話して、「また、かけなおしますので電話番号を教えてください」と職員が言うと、「表示されているでしょ」と怒られます。リスク管理の点からも今時当たり前だと思われていることができていなかった。トイレ入り口には「男子」「女子」と漢字で書いてありますが、マークがないので、迷っている外国人の姿を見たという指摘もありました。そうした細かい部分で見直さなければならないことがたくさんあります。一方で、文化会館周辺は30年が経過して老朽化しています。公園も昔ながらの公園なので、周辺を再整備したらいいのではないかという提案もありました。 私としては町職員としてゼロからのスタートだったため、ほとんどが知らないことばかりで、こうしたことが、こちらから聞く前に直すことができなかったのかという思いもありますが、こういう機会がないと直すことができない職場の雰囲気だったのかなと思います。
―― トイレに男性と女性のマークをつけるなど、そのことを言える雰囲気がなかったということですか?
朝倉町長 はい。私も課長会議で話しました。部下が「マークを貼ってあるといいね」と思ったら、「課長、マークを付けたほうがいいのではないですか」と口に出して言わないことがダメなんだと。費用がかからず、気付いたらすぐに直せるものは直すといった雰囲気にしていく必要があるということを言いました。正職員、会計年度職員に関わらず、ものが言いやすい職場にすることが、町民へのサービスアップにもつながると思います。
―― 町長さん自身が一般職員と話す機会は多いのですか?
朝倉町長 直接、各職員のデスクに出向いて話すことはあまりありませんが、課長がレクチャーをするときなどは、できるだけ若手職員も連れてくるように指示しています。
―― 職員の指導についてはどのように考えていますか?
朝倉町長 先の見直し提案の中で、若手職員から「町長がやれと言ったけど、何のためかよくわからない」という意見がありました。その意見を踏まえ、各課長には、「最後に、町長が言っているからと伝えるのはいいけれど、最初から、町長が言っているからやってくれ、ということはやめてください。」と言いました。私が「こうするといいのではないか」と言う時は、大抵は、よ~く考えてください、という意味で言っています。小さい自治体になればなるほど、首長のトップダウンによる行政の傾向が強くなると思いますが、職員には、できるだけ自分たちで考えながら仕事を進める癖をつけてもらいたいと考えています。
―― ほかの動きについていかがですか?
朝倉町長 人口減少が進む中において、2月、3月にファミリー層の転出が増えています。これは以前から聞いていた話なのですが、子どもが小学校へ上がるタイミングで、近隣の市町に家を建てて、転出するファミリー層が多いことが一つの課題になっています。 これまでは外から人を呼び込む取り組みを進めていましたが、これからは、すでに当町に住んでいる人に極力町内にとどまっていただくようにすることも大事だと思います。そのためには、財政的な支援もそうですが、生活環境の一層の充実を目指していく必要があると思います。
―― なぜ近隣市町へ転出するのでしょうか?補助制度などの関係でしょうか?
朝倉町長 補助制度については、他の自治体とそれほど大きな違いはないと思います。それよりは、大きなスーパーがある、病院がある、オシャレなカフェがあるといった生活環境の魅力の違いではないかと思います。1月からは株式会社ヨロズが町内にて工場(ヨロズサステナブルマニュファクチャリングセンター本社工場)の稼働を開始するなど、町内に働く場はあります。しかし、働く場がたくさんあるということだけではだめということなんでしょうか。 揖斐川を渡る橋は朝晩、大変な渋滞です。地価が安く、道路交通の利便性も良く、近隣市町も含めて働く場所はたくさんあるのに、「住む」というところにつながらないことを踏まえ、毎日の生活環境を整備、充実させることが必要になると思います。
―― ほかにはどうですか?
朝倉町長 子どもの教育環境の整備にも力を入れていきたいと考えています。30年ほど前に個人から1億円ほど寄付をいただいて、基金として積んでありました。学術文化のために使ってくださいという名目ですが、ずっと使われていませんでした。 そこで基金を活用して、学校のネット環境を整備したいと思います。また、図書館については、「輪之内町の図書館は静かで、落ち着けるからいい」という声を聞きます。それは裏を返せば、人がいないということです。こちらについては2年ほどかけて、例えば飲食ができるようなスペースを作ったり、子どもに読み聞かせができるスペースを作りたいと考えています。中学生の利用も少ないようですし、子どもたちが図書館に来たいと思えるような整備を進めたいと考えています。
―― デマンドバスをラッピングするそうですね。
朝倉町長 はい。デマンドバスの更新時期が来ていますので、小回りのきく小型車両の導入と、それに合わせて、ラッピングをしたいと考えています。また、「輪之内町の夜は真っ暗だ」という声も聞きます。そこで、冬の間に役場周辺をイルミネーションで飾ろうと考えています。ネガティブなイメージでなく、明るいまちであることを少し印象づけることができたらと考えています。 就任して1年を経過しましたが、財政の厳しさを痛感しています。庁舎もそうですが、35年ほど前に同時期に複数の公共施設ができて、同じように古くなってきています。大規模に修理をしようとすると、大きなお金がかかります。そうしたことを考えると、あれもこれもというわけにはいきません。町有地についても、一定程度保有していますが、このまま放っておいても草刈りなど費用がかかるだけなので、売却も含めて活用を検討していく必要があると思います。
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輪之内町の情報
面積:22.36km2
人口:9,113人(令和6年10月1日)
町の木:梅
町の花:タンポポ
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大薮洗堰跡
輪之内町プラネットプラザ
輪之内ふれあいフェスタ
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