池田町 竹中 誉 町長

Leader's Voice

時代に合わせて意識を大きく変革
エキチカの魅力を高めて公共交通に乗る意味をつくりだす

池田町の竹中誉町長
時代に合わせて意識を大きく変革<br/>エキチカの魅力を高めて公共交通に乗る意味をつくりだす | 市町村長

Interview

池田町

竹中 誉 町長

官民連携で新たな特産品を開発

―― 最近の池田町の動きについて教えてください。

竹中町長 観光については、池田山を使ったロードバイクレースを各団体が小規模ながらも開催してくれていますので、池田山を使ったアクティビティが広がっていくような雰囲気は出ています。そうしたものがふさわしいエリアとして少しずつ投資をしていくことへの方針は変わっていませんので、今後も進めていきたいと思っています。

―― 特産品についてはいかがですか?

竹中町長 特産品については民間事業者に頑張ってもらう必要があります。「金華海老」がふるさと納税の返礼品になりましたが、そうした事業者が増えていくことを期待しています。柿渋も返礼品のラインナップに加わりましたが、私も知らなかったのですが、柿渋は加賀友禅など染め物の型紙に必要なものらしいです。高い需要があるのかはわかりませんが、一般の人の目にふれないところでも用途があるようです。建材の防腐剤に使われていることは、私も知っていました。そうはいっても、日々使われるものではないので、返礼品としてどうなのかという思いもありました。ただ、カンダまちおこしさんがアイデアを出してくれました。「小さい単位だけでなく、5ℓ、10ℓなどラインアップを増やすといいですよ。世の中にはマニアックなことに熱を込める方もいます。そうした方々に訴求できます」とアドバイスをもらいました。その意味でもカンダまちおこしさんとタッグを組むことができて、ありがたいと思っています。同じ返礼品を出すにしても、出し方が変わることで数量に変化が出ると思います。

通常、中山間地では不向きだと思われるような養殖産業の打診もいくつかあります。そうしたものが当町で花開けば、ふるさと納税の返礼品として、いずれ実を結ぶかもしれません。

ふるさと納税返礼品の金華海老

金華海老

ふるさと納税返礼品の柿渋

柿渋

山麓道路一帯を公園エリアとして磨きをかける

―― 返礼品についていえば、ラインアップを見直すことで、変化が出る可能性があるわけですから、あらゆることに対して新しいアイデアを加えることが必要というわけですね。

竹中町長 はい。当町は池田温泉を南端として、北部まで山麓道路がつながっています。山麓道路は当町の特産品であるお茶産業がもたらしてくれた道です。お茶を栽培する農道として整備されたわけで、当初は観光用として整備されたわけではないです。その山麓道路が今や、ふれあい街道と呼ばれ、観光という切り口で語られるようになっています。ですから観光としてもブラッシュアップしていきたいと考えています。

山麓道路の南から北までの一帯を公園のようなエリアとして磨きをかけていきたいと考えています。山麓道路から見下ろす景観は金銭価値に代えることができないほどのクオリティだと思っています。現に、山裾エリアには他県都市部で商売をしていた方が引っ越してきて、商売を始めています。インスタなどでPRできますから、物理的なデメリットはないです。逆に、「眼下に広がる濃尾平野が一望できる環境で商売ができることがうれしい」と言われています。そのようなお店が道路沿いにぽつりぽつりと展開されるといいのではないかと考えています。それぞれの店舗が駐車場を単独でつくることを止めはしませんが、できれば共用的な駐車場から歩いたり、自転車で散策しながら楽しめるエリアとして展開できないかと考えています。

山麓道路

山麓道路からの風景

山麓道路

山麓道路からの風景

―― 池田山を生かすと同時に、新たな視点を加えるというわけですね。

竹中町長 はい。当町は池田山があってこそです。あそこに池田山がなかったら平坦なまちで、特色がなくなります。池田山に恩恵を受けているわけですから、山麓エリアに磨きをかけることで、「あの池田町にお住まいですか」といわれるようなまちに仕立てていきたいと思っています。そのためには、行政だけでは資金がどう考えても足りません。民間の方を受け入れて、タッグを組んで進めていきたいと考えています。

どのまちもそうですが、地元の方は「これまでもこれからも安心して、安全に」という思いが強いがゆえに変革を避ける傾向があり、その結果、自ら生き残っていくすべを見失う傾向がありはしないかと思っています。そうならないように、私は外から来ていただける方と地元の方との間に立って橋渡しをしたいと考えています。

交通インフラによって、行動の発想が変わる

―― これまでとは違った視点をどんどん取り入れていくということですね。

竹中町長 はい。当町は、自らを変革することでしか生き残っていけないと考えています。旧繁華街は道が狭くて救急車が入っていくことができないエリアが多いです。当然、道路整備も必要ですが、そのための資金は、その地域が発展しないと生み出すことができません。ですから区画整理も進めていきたいと考えています。区画整理は50年100年というスパンで時間もかかりますが、そもそもスタートを切らないことには始まりませんので、区画整理も始めたいと考えています。

当町は南北に養老鉄道が走っていて、町のほぼ中央に国道417号も南北に走っていますし、広域農道もあります。その一方で東西が少ないです。南部は県道岐関線があり、北部も県道がありますが、真ん中がないです。真ん中は旧繁華街だったがゆえに、通しにくかったのだと思います。ただ、現在は岐関線もあるわけですから東西の流れもできています。岐阜からまっすぐに町の中央を通って池田山へつながる道をつくりたいという思いがあります。その意味でも、時間はかかるかもしれないですが区画整理を進めないと、いつまでたっても南ばかりを向いてしまいます。南に向いている発想を切り替える必要があると思います。発想を切り替えてくださいと言ってもかわるものではないです。でも、交通インフラが東方面へもスムーズになれば意識も変わると思います。

―― 交通インフラによって、行動の発想が変わるというわけですね。

竹中町長 はい。私自身、生まれてからずっと当町に暮らし続けています。買い物をしにいくとき、当然のように大垣市を思考します。先日、自分自身でも笑ってしまいました。ヤマダ電機へ買い物に出かけました。近隣には大垣市と本巣市にあります。帰宅後グーグルマップで検索したら、自宅からは本巣市の方が近かったのですが、大垣市へ買い物に行きました。

高校は養老鉄道で通ったこともあり、買い物といえば、「大垣エリアのどこにあったかな」と探すわけです。発想が南を向いているのです。それは鉄道のおかげだと思います。でも今は岐関線もありますし、若い世代では東を向く方も増えていると思います。自分の経験、自分がお世話になったインフラによって行動パターンがある程度決定づけられることが、私自身、身をもって証明できていますから、その意味では池田山までつながる道を通すことができれば、多くの方が東から来ていただけると思います。

―― 養老鉄道も池田町にとっては、行動パターンを左右する要素の一つだったのですね。

竹中町長 はい。養老鉄道について言えば、頭を悩ませることの多い課題の一つです。人口が減る、子どもが減る中で、これまでは子どもたちの通学の足がなくなることはあってはならないという強い認識の下で存続してきたと思います。ただ、守ろうと言ってる子どもたちが年間100人生まれない時代になってきました。年間100人に満たない子どもたちの中で養老鉄道を使って通学する人は、さらに少なくなることが見込まれています。

子どもたちだけのために残しているわけではありませんが、年間約1億5千万円の費用がかかります。今後安くなることはないでしょう。増える方に強い圧力がかかります。単純に「子どもたちの通学の足を守らなければいけない」「なくしてしまったら二度と取り戻すことができないから大事だ」「鉄道がない地域の人口は減るから、その意味でもなくしてはいけない」など、今まで当たり前だと言われていたことだけで維持し続けることは限界が来ていると思います。

観光列車という切り口が全国的にもありますが、少なくとも大垣駅から揖斐駅までの路線については、私は観光列車としては難しいと思っています。車窓から見える風景に魅力が乏しいです。ですから鉄道の本来の目的である「便利である」「合理的である」「乗る意味がある」といった公共インフラとしての役割にもう一度、価値を生み出す必要があると思っています。

当町には、池野駅、北池野駅、美濃本郷駅という三つの駅があります。この駅から例えばコンパスで1km以内のエリアを住宅促進特区のようにできないかと考えています。すでに、当町全域で40歳までの新しく家を建てる方に補助をしています。さらに、その方が、かつて住んでいた、生まれたなど当町にご縁のある方には上乗せ補助をしています。つまり、移住だけではなく、定住にも力を入れています。それに加えて、駅近くのエリアに家を建てていただいたら、さらに上乗せをするというスキームを検討しています。

養老鉄道の池野駅

池野駅

養老鉄道の北池野駅

北池野駅

養老鉄道の美濃本郷駅

美濃本郷駅


電車に乗る合理性をつくりだすのです。そうした行政としての方向性を打ち出していく必要があります。駅の近くに人が住んでも住まなくても、毎年拠出するお金は変わらないです。そうであるならば、便利、合理的と感じる人が増えないと、いつか養老鉄道は必要ないと思う人が増えてしまいます。
しかし、当町が養老鉄道は必要ないと言って、勝手に抜けることができるものではないと思います。西濃エリアの公共インフラですから、「池田町が必要ないと言ってもそうはいきません」となります。利用者がいれば、そんな議論にならないわけですから、こうした取り組みも地道に進めていく必要があると考えています。駅としての価値を高めることが、町民の理解にもつながると考えています。

―― これも、新しい発想の一つですね。

竹中町長 はい。これはとても時間がかかると思いますが、その先には、駅から池田山につながるサイクリングロードを整備できたらという思いもあります。池田山麓に集約していけば、当町の未来は明るいと思います。私自身、当町の未来は明るいと思っています。方向性の向け方を間違えなければ、「池田町で商売をしたい」と打診が次々に舞い込んでもおかしくないまちになれると思っています。

変わっていくことに対して、不用意に突っ込んでいくことはいけませんが、「怖いから」「わからないから」「前例がないから」ということで、慎重になりすぎると、生き残りができないまちになってしまうと思いますので、町民とチャレンジしたい方との橋渡しを、全力を尽くしてやっていきたいと思います。

池田山からのパラグライダー

池田山からのパラグライダー

池田山のパラグライダー

池田山のパラグライダー

 

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池田町の情報

面積:38.79km2
人口:22,236(令和7年10月1日)
町の木:お茶
町の花:ヤマザクラ

名所・旧跡・観光

池田山
池田温泉
霞間ヶ渓(かまがたに)
大津谷公園
生活環境保全林「池田の森」

隣接する自治体

大垣市|揖斐川町|大野町| 神戸町|垂井町

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