INTERVIEW
Leader's Voice
健康のために金華山登山や散歩を、読書は社員にも勧めている
Interview
山口 嘉彦 会長
株式会社エスライングループ本社 代表取締役社長
全国から見た岐阜の価値観が変化していく
―― 山口会長の近況はいかがでしょうか。
山口会長 弊社が携わる運輸業界のことになりますが、物流の2024年問題があり、労働時間が短くなることで一人あたりの走行距離が短くなり、輸送能力の不足が心配されています。今はなんとかやりくりしていますが、労働人口が減ると、お客さんに迷惑がかかってしまうでしょう。弊社の場合、以前は一晩で800キロほど走行できましたが、現在は600キロ以上の場所へは翌日配送ができません。岐阜から広島辺りまでが精一杯です。そのため、600キロ以上の福岡に到着するためには、広島や大阪、岡山辺りで一度、荷物を降ろして、翌日、改めて配送に出るリレー方式を行っています。今後、業界ではこのような輸送方法が増えていくでしょう。ほかにも鉄道を使ったり、船を使ったり、いろいろな方法を組み合わせていくことで、日本の物流は変わっていくのかなと思います。
―― 人の流れについても感じることはありますか。
山口会長 コロナが第5類に移行した2023年の5月以降、どこへ行ってもたくさんの人を見かけ、円安で海外からも多くの旅行者がみえています。旅行業界や観光バス業界は非常に業績を伸ばしています。しかし庶民にとっては物価の上昇を感じていることと思います。私もランチを食べに行くと値段が上がっていることを実感します。ただ、服や家電などは買い控えするのに、旅行は無理してでも行かれる方が多いのではないでしょうか。 週末になると、岐阜羽島駅周辺の駐車場がいっぱいになっています。新幹線で旅行に出かける方がいらっしゃるのかもしれません。岐阜市の長良川花火大会も賑わいますし、今はイベントがあれば、気分的に家にいるよりも外へ行ってなにかしたいという気持ちが、物を買う気持ちを上回っているのかなと思います。
―― イベントが行われると、たくさんの人が柳ケ瀬商店街を訪れます。岐阜市の中心市街地についてはいかがでしょうか。
山口会長 高島屋が閉店してしまいましたが、柳ケ瀬商店街にとって高島屋の存在は大きかったのだと思います。今後、商店街にどうしたら人を集められるのか、行政も私たちもみんなで考え、努力していかないと、と思います。岐阜市役所の旧本庁舎跡に移転が予定されている十六フィナンシャルグループさんの本社には、地域に開かれたスペースも設けられるとのことなので、人が集まるきっかけになるといいですね。 また、昔、柳ケ瀬に映画やご飯を食べに行ったり、デパートで買い物をしたりしていたように、人が集まるような施設があるといいですね。商売上、採算が取れるかどうかは不明ですが、デパートだったら今までのような大きなものでなくても、こぢんまりとしていてもよいかもしれません。大きさに関係なく、いかに魅力あるものを揃えるかがポイントになると思います。
―― 岐阜県全体の発展で注目されていることを教えてください。
山口会長 間違いなく、リニア中央新幹線の「岐阜県駅」ができることです。これから岐阜の中心が東濃になるかもしれません。昨今、リモートで仕事ができるようになりましたので、名古屋からも東京からも移住してくる方が相当いらっしゃるようになるでしょう。中津川はいいところです。これは勝手な想像ですが、軽井沢をイメージした町づくりをすれば、移住者が増えるかもしれません。普段は中津川で生活をして、何かある時はリニア新幹線を使えば名古屋まで15分、東京にも40分ほどで行くことができます。今までの岐阜での生活パターンと全く異なっていくでしょう。
―― 生活の価値観が変化してくるということでしょうか。
山口会長 生活の価値観はもしかしたら年代によって変わってくるかもしれません。若い時は郊外に住んで、60歳近くになったら車で移動しなくても良い中心市街地のマンションに住みたい、となりつつあります。土地を売って、駅周辺に引っ越される方もいるのではないでしょうか。年をとると広い部屋でなくても2LDKで十分ですし、まちなかで暮らせば、車も不要になり、生活の中で歩くことになりますから、健康にもつながるでしょう。
―― 山口会長も積極的に歩いていらっしゃるっとお聞きしました。
山口会長 はい、市内の金華山を月2回ほど登っています。以前はかみさんとも登りました。今は仲のいい友人と喋って昼飯を一緒に食べることを目的に、また、会社の社員と登ることもあります。 普段は自宅周辺の景色を楽しみながらおおよそ4kmほどを歩いています。日によってコースを換え飽きないように歩いていると、7、8000歩ほどになります。会社でだいたい2000歩ほど歩くので、日によっては1万歩ほど歩くことになります。
―― 歩くことで、体調はいかがでしょうか。
山口会長 昨年より3キロほど痩せました。理由は歩いていることもそうですが、お酒はほとんど飲みませんが、ダイエットをするためにご飯を減らしていて口寂しくなるので、夜になるとチョコレートやビスケットを食べていましたので医師から甘いものを控えなさいと言われまして、やめた途端に2キロ痩せました。目標があっても 達成した途端に気の緩みでリバウンドしてしまいます。なかなか痩せるということは難しいですよね。
岐阜の製造業はノウハウの塊。きっと、海外で売れるチャンスはある。
―― 本は読まれますか。
山口会長 経済についてはテレビのニュースなどで情報を得ているので、本は小説を、今は気軽に読める小説を読んでいます。今年は「窓際のトットちゃん」を読みました。映画も観まして、とても良かったです。連続ドラマ小説「虎に翼」のモデルになった三淵嘉子さんの本など、テレビや映画でも観られる本を読んでいます。 そして、会社では社員にいつも「年に本を4冊読んでください」と呼びかけています。私もなかなか毎月一冊は読み切れないので、季節ごと年に4冊だったら読むことができるのではないかと思います。私の知っている女性経営者の方が「社員には本を読んでもらいたい」とおっしゃっていました。実際、学校卒業以来、本を読んだことがない人がたくさんいます。例えば、いつもビールを飲んで横になって野球観戦をしていたようなお父さんが本を読んでいると、子どもがびっくりして感化されるようです。ものすごくいい教育になります。本が手元にあるということは、子どもも本にふれる機会が増えます。
―― ほかにも、会社で呼びかけていることはありますか。
山口会長 趣味をもってくださいとも言っています。私の親が絵を描いていて、趣味を持つとリフレッシュができるということを言っていました。私の趣味は山登り。音楽も聞きます。
―― 若者へのメッセージや、今後の起業支援に関する環境についてお伝えしたいことがあればお願いします。
山口会長 最近、いろいろな企業や団体が若者支援として起業する方を応援しています。今、起業で成功されている方たちは必ず、インスタグラムやフェイスブックといったSNSを利用して販路を拡大されています。若い方たちにとっては当たり前かもしれませんが、私たちくらいの高齢者はまだまだそうしたネットを活用できていません。そこで、ここ2、3年、DXに関するセミナー等を岐阜県経営者協会で行なっています。ぜひ、若者を見習って活用できるようになっていただきたいと思います。また、当協会では、多様性や男女平等に関することを知り、プラスDXで仕事が広がることを会員さんに紹介しています。 もう1つ、岐阜は製造業が多く、しかも世界に通用するノウハウをもっています。その、岐阜がつくる非常にいい商品をもっと売れるような仕組みづくりができないかなと思っています。行政では岐阜の農産物をPRするためにアジアやヨーロッパへ行って試食や試飲会をして、販路の拡大に成功しています。同じように岐阜の製造業のものづくりもDXをフルに活用して世界に向けて発信したらよいのではないかと思います。
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