恵那市 小坂 喬峰 市長

Leader's Voice

合併20周年を機に
よい意味の競争意識で地域づくりに取り組む

恵那市小坂喬峰市長
合併20周年を機に</br>よい意味の競争意識で地域づくりに取り組む | 市町村長

Interview

恵那市

小坂 喬峰 市長

自主的な財源も用意して各地域のまちづくりを応援

―― 市制20周年をむかえましたね。

小坂市長 はい。当市は平成16年10月25日に合併して、昨年10月に市制20周年を迎え、式典の開催など事業を盛大に行いました。
その中で、特に時間をかけたものは恵那市史です。20年の歩みを振り返ろうということで、本を作りました。20年というと、合併当時の方々が引退される時期に差し掛かります。当時のことを知っている方々が少なくなってきていることから、そういった意味でも記録を残すという目的も大きかったです。
恵那市小坂喬峰市長との対談風景

市制20周年の恵那市史

恵那市史


その他にも、若い方から近くに公園が欲しいという要望がありましたので、市内に4カ所の公園を作りました。
合併しましたが、人口は減っていきますし、子どもの数も減少する中で、どのように行政運営をしていくかが一番の課題になりますが、20年という年月は合併した当初に比べると一体感が生まれてきて、一つの恵那市としてまとまってきたと思います。これからは、市全体がレベルアップしていく取り組みを進めていければと考えています。
記念式典の時にも話しましたが、旧恵那市は8の地域があって、そこに5の町村が加わって、13地域になりました。合併すると、特徴のあるところは凹ませて、均一化する傾向にありますが、そうではなく13の地域が競争して、それぞれが伸びていきましょうという話をしました。例えば東京から来たお客様が「岩村へ行って古い町並みを見て、大正村へ行って、大正時代の町並みを見て、北の方では中野方の棚田を見て、中山道を歩いて、でも全部が結果的に恵那市だった」というような取り組みを行いたいと思います。これからは地域が活動しやすいよう、自主的な財源も用意して、地域づくりをするための組織を広げていきたいです。

みさとふれあい広場

みさとふれあい広場

中野方ひまわり公園

中野方ひまわり公園

岩村城下町

岩村城下町

日本大正村の路地と袴を履いた女性

日本大正村の路地

石積棚田の坂折棚田

坂折棚田

―― そうなると、やる気のある町とそうでない町では濃淡がつくわけですか?

小坂市長 はい。すでに、ふるさと納税では「岩村を応援する」「大正村を応援する」という具合にして、地域ごとに競争をしていただき、寄付金はそれぞれに分配するようにしています。また、各地域に常設の資源回収ステーションがあります。リサイクルできる紙資源を回収し、そこで売れた分については、その地域や学校に還元しています。このように、どこにも同じチャンスが与えられるようにしたいと考えています。

―― 実際に住民のやる気はどのような感じですか?

小坂市長 当市は地域自治区制度を条例で制定していて、地域ごとに地域自治組織があります。自治会の代表者は任期が短いため、まちづくりの継続性が難しいです。自治会長などとは別に地域自治区に会長がいて、数年務めるという組織体が各地域にできており、それぞれで熱心にまちづくり活動が行われています。

市民全体の機運を高めながらSL復活を目指す

―― SL復元検討事業の概要と具体的な事業内容について教えてください。

小坂市長 SL復元については、2023年11月に検討委員会が立ち上がりました。昨年12月に一通りの内容がまとまって、市に報告がされました。その中では実現可能ではあるが、費用もかかるので費用の見通しが必要だという報告でした。今後は市で検討し、最終的に決めていきたいと思います。
私自身は職員時代からやりたい側なのですが、市民の皆様の合意を得るためには一定のハードルがあると思います。足りない部分は単純に税金でまかなえばいいということにはならないと思っていて、それなりの効果や市民の皆様が納得できるだけの材料をそろえることが必要だと思っています。
ただ一つ、大きな目標としてはリニアが開通する頃には、世界最速の列車で東京から岐阜県へ来ていただいて、スローなSLに乗っていただく。せっかくの旅ですから楽しいコンテンツを組み立てて、パッケージとしてアピールすることができたらと考えています。

明智駅に停車するSL列車

SL(明智駅)

 

―― 市民の熱量という意味ではどのような状況ですか?

小坂市長 特定の人だけが盛り上がって引っ張っていく状況にはなるべくしたくないと思っています。多くの市民がやりたいという機運ができあがっていくことが大事だと思います。熱量という意味では、まだ市民全体でというところまではいっていないと感じています。ただ、検討委員会に参加された皆さんや、沿線の方々、関係者の方々などは盛り上がってきていますので、この熱量を全体に伝えていきたいと思っています。
話は変わりますが、当市ではここ数年ラリー選手権を開催しています。通常のラリー観戦はチケットが1万5千円程度ですが、よい席やよい食事を用意し、快適に見ていただける60万円、100万円のチケットを富裕層向けに用意したところ、これが売れたんです。
こういう姿から、富裕層向けの旅も一定のニーズがあることがわかりました。昔でいうA寝台、B寝台のように、SLも上質なサービスを用意してもいいのではないかと考えています。

―― かつては実際に、SLは走っていたのですか?

小坂市長 はい、私も覚えています。小学生の頃、実際に見ています。

―― 今度走らせるとしたら、当時の車両になるわけですか?

小坂市長 はい。走っていた車両は2両あります。1両は明智小学校、もう1両は中央図書館横にあります。明智小学校にあった1両は、すでに明智駅に移動して、駅構内だけで運行しています。

―― 文化・歴史という意味では、子どもの頃に見たSLがまた見られるとなると、当時目にしていた方々にとっては感慨深いものがあるでしょうね。

小坂市長 はい、SL復活には二つの側面があると思います。一つ、観光的な要素でいえば、例えば1億円の投資で10億円の経済効果があればよしとするという一つの考え方があると思います。もう一つは文化財としての考えがあります。文化財は大切な財産ですから、お金を払ってでもメンテナンスをして、後世に残すという考え方もあります。そう考えると、必要なことをして、人も育て、管理をしていくという考え方もあるのではないかと思います。ただ、そうはいっても単純に税金投入というわけにはいかないと思いますので、手順を踏んで進めていければと思います。

―― 一番の課題は費用ですが、どれぐらいの想定になるのでしょうか?

小坂市長 イニシャルといわれる車両の復元などが約10億円です。それ以外に毎年の費用がかかります。平時と車検がある年で差はありますが平均すると約1.5億円です。土日に運行するとして約150日ですから、1日平均100万円になります。100万円の売り上げと考えると、なかなか大変ですが、補助金や様々なメニューを活用したり、クラウドファンディングやふるさと納税なども検討しながら、なんとかクリアしたいと思っています。

多様な学びを支えるオンライン大学との連携

―― 恵那市子育て支援パッケージの概要と具体的な事業内容について教えてください。

小坂市長 子育て支援については、数年前から様々な検討を積み重ねてきましたが、昨年4月から、子育て支援をパッケージとして取りまとめてスタートしました。
大きいところでは、こども園の3歳から5歳児の給食費をすべて無償化にしました。また、明知鉄道を利用する高校生の通学費も助成しています。例えば明智駅から恵那駅まで来て高校に通うとなると、毎月1万数千円かかりますが、上限5千円に決めて、5千円を超える分については市が負担しています。これは親御さんにも好評です。これまではお金がかかるので、親が送り迎えしていたけれど、鉄道に切り替えたというケースが増えました。明知鉄道としても、自動車で通っていた子どもたちが鉄道に戻ってきたので、乗降客も2割ほど増えました。
ほかにも、入学祝い金として1万円支給したり、予防接種の費用負担、見守り支援、産まれた子どもたちへの訪問など様々なメニューをスタートしています。

―― オンライン大学との連携を目指した協定の概要と具体的な事業内容について教えてください。

小坂市長 学びの環境を整えるため、これまでも取り組んできましたが、大学をどうするかは大きなテーマでした。大学進学で名古屋や東京へ行ってしまうと、なかなか当市へ帰ってこられないという問題が一つあります。もう一つは、家庭の事情で大学へ通わせることができないケースがあります。その二つの側面の解決策としてオンライン大学を活用することにしました。
当市は、角川ドワンゴ様とは以前からお付き合いがありました。角川ドワンゴ様はS高校、N高校を運営して、4月からはZEN大学を設立します。すでにS高校、N高校にはオンラインで約3万人が学んでいて、その子どもたちが卒業するのに合わせてZEN大学を設立するようです。ZEN大学は角川ドワンゴ様と日本財団様が作る大学で、市も応援しながら連携できるところはしていきたいという思いで、昨年5月、一般社団法人日本財団ドワンゴ学園準備会様、学校法人角川ドワンゴ学園様と当市で、包括連携協定を締結しました。
連携に向けて考えていることは二つあります。一つは大学に在籍している子どもたちがフィールドワークとして地方に行って合宿をしますので、そのフィールドとして使ってもらうこと。もう一つは当市の恵那未来キャンパスなどの施設を学び舎として提供することです。
まだはっきりした形は見えてこないですが、ZEN大学は学費が約38万円とリーズナブルですし、通わなくていいですから通学の時間も必要ありません。資格を取得したり、専門的な知識を学ぶには大変よいと思っています。オンライン高校は不登校の子どもたちが学ぶところと思われがちですが、角川ドワンゴ様に話を聞くと、そうではなく名古屋や大阪などに校舎があって、友達と一緒に学んでいるケースもあるようです。大学側としては集まれる場所が必要だと考えていて、そこでは友達とのコミュニティ、競争、連帯感が生まれるので一緒に学ぶことも大切だと考えているようです。そういう意味でZEN大学のキャンパスの一部が当市にできればと思っています。
たまたま、当市の高校生でN高校に通っていた子がいました。その子は卒業後、角川ドワンゴ様に就職して、恵那にいながらオンラインで働いていますので、よいロールモデルになっていると思います。

学びの風景(恵那未来キャンパス)

「恵那未来キャンパス」の学びの風景

 

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