岐阜市 柴橋 正直 市長

Leader's Voice

不変の方針「こどもファースト」をさらに推進

岐阜市の柴橋正直市長
不変の方針「こどもファースト」をさらに推進 | 市町村長

Interview

岐阜市

柴橋 正直 市長

「未来の学校」と不登校対策のさらなる充実に向けた取り組み

―― 令和8年度の当初予算に掲げている4つの政策のベクトルの中から、柴橋市長が不変の方針として掲げる「こどもファースト」について大きく3点をお聞かせください。4月に、岐阜市立2校目の義務教育学校「藍東学園」が開校しました。新たな義務教育学校への思いをお聞かせください。

柴橋市長 開校から1年が経過した、岐阜市立初の義務教育学校「藍川北学園」では、異年齢交流が子どもたちにとても良い影響を与えたと聞いています。「藍東学園」では、さらに異年齢の交流を充実させていきます。例えば、単に朝の会を異年齢で一緒に行うだけでなく、「理科が好きな子が集まる」など、好きなテーマごとの集団で交流しています。この集団を「ファミリー」と呼んでいて、「つくる・ひらめきファミリー」というものづくりや発明、技術に関心があるファミリーが一番人気と聞いています。

岐阜市の柴橋正直市長との対談風景

子どもは、自分の好きなことに取り組むことができるため、学校が楽しくなります。また、異年齢交流では、お兄さん、お姉さんが好きなことを教えてくれる場面もあれば、年下の子の発想に年上の子が驚く場が生まれることが一つの特長だと思います。朝の会のほか、給食もこのファミリーで集まって食べています。

異年齢集団「ファミリー」の様子

異年齢集団「ファミリー」の様子

 

同学年で行う教科の授業は、「国語ラボ」、「理科ラボ」というように、それぞれ専門の教室に行って学ぶ「教科センター方式」を導入しました。「教科ラボ」教室には、教科ごとに子どもたちの興味、関心を引き出すような様々な仕掛けもしています。

異年齢集団「ファミリー」や「教科センター方式」は、「未来の学校」の先駆けとなる藍東学園の大きな特色です。こうした新しい取り組みを通じて、子どもたちの学びが豊かになっていくことを期待しています。

―― これまでも不登校対策の取り組みを進められてきました。いま、柴橋市長が危機感をお持ちの「不登校の低年齢化」に対し、どのように取り組むかお聞かせください。

柴橋市長 これまで中学生の不登校にフォーカスし、様々な取り組みを進めてきました。 令和3年に開校した学びの多様化学校「草潤中学校」で得られた知見から、各学校に草潤中学校の分教室をつくろうとスタートした「校内フリースペース」は、令和7年度までにすべての中学校、義務教育学校に設置をしました。

また、令和7年度は、校内フリースペース専属の教員を中学校15校に配置し、残りの7校では、教頭やその時間に授業がない教員が入れ替わりでフリースペースの対応にあたっていました。

令和8年度からは、すべての中学校・義務教育学校(22校)に教員を専属で配置することにしました。専属の教員が常駐していることは、子どもたちにとって大きな安心感につながることから、この取り組みによって、成果が上がってくるのではないかと考えています。

低年齢化している不登校の対策については、令和8年度から「わくわく学校プロジェクト」を始めています。幼児教育の段階では、元気に、楽しく遊びながらいろいろなことを探究する、あらゆる経験が学びにつながっていきますが、小学校に入学すると「学校が楽しくない」「学校に行きづらい」と感じることがあります。

小学校においても、朝活動や昼休みの時間を少し長くして、子どもたちが思い切り遊べる時間を持つ、あるいは遊ぶ空間を学校の中につくって、子どもたちが「学校は楽しい」と感じる時間を持つなど「遊び」の部分をしっかり取り入れることにしました。

わくわく学校プロジェクトの様子

わくわく学校プロジェクトの様子

 

また、不登校児童生徒の支援は、子ども・若者総合支援センター「エールぎふ」でも行っています。令和7年度に実施した、エールぎふが手掛ける事業の総点検を通じて、エールぎふの自立支援教室が、非常に重要な役割を果たしていることがわかりました。

令和8年度は、明徳自立支援教室を拡充し、草潤中学校と同様に、子どもたちのニーズに合わせ「1人や少人数で静かに過ごしたり学んだりする空間」、「大勢の仲間と一緒に過ごしたり学んだりする空間」を整備します。先に設置した中学校、義務教育学校の校内フリースペースでも、同じような空間を工夫して整備してきましたので、明徳自立支援教室もさらによい空間にしていきたいと考えています。

学校や教育委員会、子ども未来部が所管するエールぎふが、組織として互いに連携しながら、草潤中学校もある、中学校、義務教育学校の校内フリースペースもある、エールぎふの自立支援教室もある、そして、家庭でサポートを受けながら学ぶこともできるというように、様々な方法で子どもたちが学びにつながることができるよう関係部局が連携を深めていく体制で臨んでいきたいと思います。

エールぎふの明徳自立支援教室イメージ

エールぎふ 明徳自立支援教室イメージ

 

市立新大学の基本計画を策定

―― 「市立新大学」設置の目的や思いについてお聞かせください。

柴橋市長 岐阜市は、市立の幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、特別支援学校、さらに学びの多様化学校の草潤中学校、市立岐阜商業高等学校、岐阜市立女子短期大学、岐阜薬科大学と、幼稚園から大学までの教育機関を市立で持っているという特徴があります。

現在、教育委員会との議論を進めていますが、岐阜市は公教育として何を提供していきたいのかと考えたとき、例えば、幼稚園ではアゲハチョウを卵から観察し、チョウになるまで育てたり、野菜を育てたりする探究型の学びをしています。小中学校も同様で、特に義務教育学校である藍川北学園では、「わかあゆ学」という独自教科があり、例えば、学校の近くを流れている長良川にすむ鮎や生き物に触れるリアルな体験と、その地域の人との出会いを通した、「生きる」を学ぶ探究型の学習を行っています。

高等教育機関では、市立岐阜商業高等学校、岐阜市立女子短期大学、岐阜薬科大学、それぞれがアントレプレナーシップ教育を行っています。社会課題の解決に向けて自分は何ができるのか、どのような課題があるのか自ら問いを立てていき、課題解決の方法も自分で考えてアクションを起こしていくという学びを大事にしています。

探究型学習の様子

探究型学習の様子

 

これまでに、義務教育の分野では、草潤中学校や義務教育学校の開校、高等教育の分野では、岐阜薬科大学を公立大学法人化し、キャンパスの移転統合を進めています。その上で、市立岐阜商業高等学校と岐阜市立女子短期大学の改革について議論をしています。

岐阜市は、人口の社会動態が転入超過している人口流入市ですが、20代だけは流出しています。岐阜県内の大学には、県内出身の高校生は5人に1人しかおらず、岐阜県の高校生の2人に1人は愛知県の大学に進学、さらに、就職を機に、愛知県を中心に人材が流出しています。

そのような中、岐阜市において高等教育を充実させていく必要があると考えたとき、少子化の問題や、私立高校の無償化の影響などにより、市立岐阜商業高等学校、岐阜市立女子短期大学の両校とも定員割れになっています。特に岐阜市立女子短期大学は、女性活躍の時代を迎え、全国的に共学・4年制大学の志向が高まっており、新たな進学先を創出することにより将来にわたる若者の流入、岐阜市に愛着を持って地域で活躍する人材の育成を図るため、男女共学・4年制の新大学を開設するという基本計画を策定しました。

さらに、現在のキャンパスに比べ通学利便性が高い、JR岐阜駅西側の香蘭地区にある既存施設をコンバージョンしてキャンパスにすることも基本計画に入れて、今後さらに議論を深めていきます。

ワークダイバーシティ事業を広域展開

―― 最後になりますが、「岐阜都市圏全体の発展に向けた広域連携の取り組み」についてお聞かせください。

柴橋市長 令和7年度、二つの事業の広域連携の取り組みについて近隣の自治体の首長に提案をしました。一つ目の事業が、岐阜市と日本財団が連携しモデル事業として進めているWORK!DIVERSITY(ワークダイバーシティ)実証化モデル事業です。

今は人手不足の時代である一方で、社会には、障がいや難病、ひきこもりなど、様々な理由で働きづらさを抱えて、働きたいけれど働くことができない方がいます。ひきこもりの方や闘病していた方が、いきなりフルタイム就労を希望しハローワークに行き、就職のマッチングができるケースばかりではありません。

私は、日本財団が主催するWORK!DIVERSITY政策実現会議の座長として、ひきこもりの方など障がい者手帳をお持ちでない方を対象に、障がい者手帳をお持ちの方が就労移行支援事業所などで訓練を受けて就職するスキームの展開ができないかを提言しました。岐阜市では、事業の体制が確立し、一定の成果が出てきた一方で、市外にお住まいの方から「岐阜市民ではないから、この事業に参加できない」というお声もありましたので、近隣の自治体にお声がけをして、2026年度からは広域連携し実施することにしました。

ワークダイバーシティ実証化モデル事業 担当スタッフとの面談の様子

ワークダイバーシティ実証化モデル事業 担当スタッフとの面談の様子

 

もう一つは、障がいや難病などの理由により、長くは働けないけれども、「1日1時間なら働ける」、「週に2日なら働ける」といった方を対象として、超短時間雇用創出事業を進めています。ご賛同いただける企業に、超短時間雇用で実施可能な仕事を切り出していただき、働きたい方とのマッチングを行っています。これまで働くことができなかった方が、働くことを経験し、働くことの喜びを感じる。超短時間雇用の経験を経て、「もう少し長い時間働ける」との思いを持った方は、それぞれの状況に応じて、次の就職へつながる入り口の部分をつくっていきたいと思っています。こちらも広域連携の取り組みが順調に進み、近隣自治体の方も利用できるようになりました。働きたい気持ちがある方がしっかり働いて、社会の一員としてお互いに支え合える、そして納税者にもなってもらえるという形ができて、多様な働き方が広がっていけば、地域の発展につながると思います。

ダイバーシティ就労支援拠点での訓練の様子

ダイバーシティ就労支援拠点での訓練の様子

超短時間雇用創出事業の仕事の様子

超短時間雇用創出事業 仕事の様子

 

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