多治見市 髙木 貴行 市長

Leader's Voice

陶器を活用しながら歴史・文化を伝えて観光宣伝 10月には「国際陶磁器フェスティバル美濃’24」を開催

陶器を活用しながら歴史・文化を伝えて観光宣伝 10月には「国際陶磁器フェスティバル美濃’24」を開催 | 市町村長
陶器を活用しながら歴史・文化を伝えて観光宣伝 10月には「国際陶磁器フェスティバル美濃’24」を開催 | 市町村長

Interview

多治見市

髙木 貴行 市長

民泊施設の整備にも力を入れる

―― 「観光宣伝事業」の概要と取り組み内容について教えてください。

高木市長 当市は地場産業が陶磁器ですから、陶磁器やタイルを活用しながら歴史・文化を伝えて観光宣伝をしていきたいと思っています。10月18日から「国際陶磁器フェスティバル美濃’24」が開催されます。コロナも明けて、海外の方たちからの出展、応募も多く、77か国、2,128人の作家から3,890作品の応募をいただきました。このイベントをしっかり周知しながら、国内、国外の方を誘致していきたいと思っています。

―― 「国際陶磁器フェスティバル美濃’24」は、どれぐらいの人が来る想定ですか?

高木市長 フェスティバルの本会場には2~3万人を予定していますが、副催事として、「人」「花」「音」「食」の四つをテーマにして、いろいろな会場で様々なイベントも行いますから、全体でいえば15~20万人ぐらいの方たちを、約1か月の期間中で呼び込みたいと考えています。

第12回国際陶磁器展美濃のご紹介

―― 大変多くの方が来られるイベントですね。

高木市長 はい。このイベントをはじめとして、当市も海外誘客にも注力しないといけないと思っていますが、「多治見市にはホテルがない」という話をよく聞きます。駅南の再開発によって、「くれたけインプレミアム多治見駅前」ができましたが、おかげさまでほぼ満室が続いています。宿泊できるところをもっと作る必要がありますので、今年度は、民泊事業も強化していきます。

―― 多治見市というと、東濃地方の中心として宿泊施設はたくさんあるイメージです。宿泊施設が不足しているというのは意外な感じもします。

高木市長 ビジネスホテルは一定数あるのですが、特に観光に特化した宿泊施設が少ないです。そこで、民間の人たちに民泊施設を整備してほしいと積極的に訴えています。また、市民の皆さんにも観光客を受け入れる側の意識を持ってもらう必要性を感じています。

―― 民泊施設の整備については、すでに手を挙げている方もいるのですか?

高木市長 おかげさまで、たくさんの方が手を挙げてくれて、5軒から10軒できそうな勢いです。

―― 「ロケツーリズム推進事業」の概要と取り組み内容について教えてください。

高木市長 「やくならマグカップも」という、この地域を題材にしたアニメができました。これまで一番窯、二番窯まで完成しています。三番窯の予定はあるものの、時期がもう少し先になるようなので、来年3月に一番窯の編集をして映画化する計画をしています。
上映については、いろいろな映画館でやろうと思ったのですが、当市の施設で上映して、観たい方に当市へ足を運んでもらう形にしようと思っています。外へ出すのではなく、当市へ来てもらう形にするという方向で計画を進めています。
せっかくですから、アニメ好き、陶芸好きな方たちに来ていただき、映画を見て、作陶もするというようなパッケージも旅行代理店と連携して考えたいと思っています。

やくならマグカップものポスター

アニメ「やくならマグカップも」

「やくならマグカップも」に登場した虎渓山永保寺

「やくならマグカップも」に登場した虎渓山永保寺

MVVを意識して、行動指針を変えていく

―― 続きまして「人財育成事業」の概要と取り組み内容について教えてください。

高木市長 当市としては人財育成の計画があり、職員のモラルや、職員のあるべき姿が書かれています。その上で今年度、職員には「MVVを意識してください」と伝えています。Mはミッションです。何をミッションとして、日頃仕事をしているのかということです。市長、副市長、部長、課長、係長、それぞれミッションが違います。そのミッションを理解して仕事をしていますか?ということです。次は、その先にビジョンはありますか?ということで、Vです。ミッションをもって働いた先のビジョンは何かということです。市民の幸福度を上げていくことは当然のビジョンですが、その先に自分が思い描いているビジョンが達成できたかということです。最後のVはバリュー、価値です。そのために自分自身も価値を上げていかなければいけません。例えば、海外戦略に関わる仕事をしている人が、自分の価値を上げるとしたら、英語を学ぶなど、自分の行動指針をどう変えていくのかを明確にしなさいと伝えています。

―― 職員に変化は出てきましたか?

高木市長 MVVという言葉は浸透してきたと思います。今年はMVVという言葉を伝えたので、来年はMVVという三つに対して何をやりますかということで、きちんと言葉にする、書いてもらうようにしたいと思っています。MVVと言って、いきなりやりなさいというよりは、段階を踏んで少しずつ進めていくことができたらと考えています。

―― 市長さん自身の変化についてはいかがですか?

高木市長 私はインプットが非常に大事だと思っていますので、本をかなり読んでいます。伝える能力の向上という意味においても、様々な媒体を通じインプットを増やしています。職員にも伝えましたが、私自身、市長の仕事はどうあるべきかよりも、とりあえず市長として毎日を過ごして時間が過ぎてしまいました。これではダメだと思ったので、今年からは市長はどうあるべきかという姿を自分の中でしっかりと思い描き、それに向けて行動指針を変えています。職員も「最近厳しくなったな」「いきなり細かくなったな」などという思いを感じていると思います。

―― お忙しい中で、時間を見つけて本を読んでいるのですね。

高木市長 はい、本は読みます。読み方としては、飽きてしまうので何冊かを同時に読み進めていきます。ジャンルとしては、ストーリー性のあるものというよりは、やはりビジネス書が多いです。

アプリを活用した健康づくり

―― 最後になりますが、「健康づくり推進事業」の概要と取り組み内容について教えてください。

高木市長 私の公約の中に健康寿命の延伸があります。その具体策として、食、運動、喫煙の予防に取り組んでいます。その中で、私自身は運動が大事だと思っています。運動で健康を維持していくには何をしたらいいのか、医師と話していたらウォーキングですと言われました。
当市ではこれまでも「たじみ健康マイレージ」事業を実施してきました。それは紙に目標を書いて申し込むアナログ的なものでしたので、より簡単に多くの人に参加してもらうためウォーキングのアプリを開発できないか考えました。すでに実施していた自治体に聞いたところ、びっくりするような金額で、当市では実現できないと思いました。ただ、当市には(株)バローホールディングスの本社があって、私も懇意にしています。ドラッグストアを展開する部門がありますので、何か一緒にできないか相談したところ、バローグループのルビットアプリからたじみ健康マイレージに参加できる仕組みを作ってもらえました。1年かけてシステムを開発していただき、6月1日から、利用できるようになりました。

―― 市長さん自身も、すでに利用していますか?

高木市長 もちろん利用しています。日頃は歩く機会も少ないので、なかなか歩数は伸びないです。ただ出張へ行ったときは、少し朝早く起きてホテルの周りを歩いてみたり、できるだけ歩くように心がけています。食事については、昼に玄米を食べるなど、自分なりに努力していますが、夜は会食の機会が多いので、制限することはなかなか難しいです。

たじみ健康マイレージのポスター

たじみ健康マイレージ

たじみ健康マイレージのキックオフイベント

たじみ健康マイレージのキックオフイベント

たじみ健康マイレージのキックオフイベント

たじみ健康マイレージのキックオフイベント

―― 日頃、スポーツをする機会などもなさそうですね。

高木市長 全然ないです。ただ、市民の健康づくりという意味では、「星ケ台競技場」を大幅にリニューアルしています。来年にはテニスコートが新設で8面できますし、多目的広場ができます。陸上競技場には照明がつくなど、大きな変革を進めています。4月からはスケートボード場もオープンしました。オープン前は「狭いのではないか」「こんな平らなところに人が来るのか」といった厳しいご意見もいただきましたが、オープンしてすぐに200人以上の方に登録していただいて、特に週末は本当に多くの方にご利用いただいています。平らなところに、少しの傾斜とバンクなどを配置しましたので、小学生や、ちょっと始めてみようかと考えたビギナーにもたくさん来ていただいています。

星ケ台競技場

星ケ台競技場

星ケ台競技場

星ケ台競技場

星ケ台競技場のスケートボード場

星ケ台競技場のスケートボード場

星ケ台競技場のスケートボード場

星ケ台競技場のスケートボード場

―― 市長に就任されて、1年2カ月ほどですが、すでに新しい動きがいろいろ出てきていますね。

高木市長 そんなことはないです。自分のアイデアでやっているものもありますが、前市長が種をまいてくれて引き継いでいるものもあります。ただ、先ほど話したように、これが私の市長としてのミッションですから、今の時代に合った市政運営をしているところです。
新規事業でいえば、今年度分から火葬場の残骨灰に含まれる貴金属を売却する方針を決定しました。「えっ!」と思われるかもしれません。これまでご遺族が収骨した後に残る「残骨灰」はお金を出して処理していました。ただ、最近は残骨灰に含まれる金やパラジウムなどの金属が非常に高値で売れています。スタートしたばかりですから、当市ではまだ売却していませんが、岐阜市はすでに始めています。
これは「東海若手市長の会」で知りました。情報交換をしていて、桑名市長から「多治見市は火葬場がありますよね。残骨灰どうしていますか」と聞かれたので「お金を出して処理しています」と言ったら、「今は精錬して売却する時代ですよ」と言われました。その場では「いやいや、それは市民に受け入れられないですよ」と答えました。
これについては、実は昨年、すでに私自身が提案していて、部長会議で「市民感情が許さないです」という結論になって、一度流れていました。そこで改めて市民アンケートを取ることにしました。65%ぐらいの賛同が得られたら実施しようと考えていたところ、アンケートの結果は95%以上の賛同が得られました。私たちの勝手な固定観念があったのだと思います。当市として売却した場合得られる金額は1,000万円ぐらいになると見込んでいます。これまで支払っていた処理費用はなくなり、運搬・精錬に要する委託料を考えても1,000万円ぐらいのプラスになります。財政的にも大きいです。県内の市長はもちろんですが、全国の各市長と交流する中でいろいろなことを吸収させていただいて、取り入れることができるものについては、今後も積極的に取り入れていきたいと思います。

多治見市火葬場「華立やすらぎの杜」

多治見市火葬場「華立やすらぎの杜」

多治見市火葬場「華立やすらぎの杜」

多治見市火葬場「華立やすらぎの杜」

 

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人口:105,499人(令和6年71日現在)
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