笠松町 古田 聖人 町長

Leader's Voice

開発可能な土地の確保と攻めの空き家対策。高いポテンシャルを生かして若い世代を呼び込む

開発可能な土地の確保と攻めの空き家対策。高いポテンシャルを生かして若い世代を呼び込む | 市町村長
開発可能な土地の確保と攻めの空き家対策。高いポテンシャルを生かして若い世代を呼び込む | 市町村長

Interview

笠松町

古田 聖人 町長

厩舎移転で生まれる土地の活用法を探る

―― 笠松町の新しい動きについて教えてください。

古田町長 人口減少、高齢化という問題は抱えていますが、私自身、このまちのポテンシャルは高いと考えています。駅があり、大きな病院もあり、木曽川の豊かな自然もありますし、公園も整備されています。これだけ立地に恵まれているのに、人口が増えない、地域経済が活性化しないのはなぜかと考えたところ、開発できる土地がないところが大きいと思います。10.3㎢の面積のうち、3分の1が河川敷で人が住めません。加えて、南部に市街化調整区域が広がっていて、開発に大きな制限がかかっています。そうした中、制約なしに住宅を建てたり、商売ができるのは約5㎢で半分しかありません。岐阜県の中で3番目に面積が小さくて3番目に人口密度が高い地域なのですが、開発可能部分として考えると、県内で人口密度が一番高いのではないかと思っています。

ですから開発できる土地の確保が最重要課題になります。そうした中、令和7年度末を期限とした笠松競馬場の厩舎移転計画があります。競馬場から1kmほど離れたJRの線路沿いの円城寺厩舎を、放馬対策の抜本的な対策として競馬場の横にある薬師寺厩舎に移転集約するものです。7年度末に移転が完了すると約3万坪の土地が生まれますので、どのように活用したらいいかを考えているところです。工場や倉庫を誘致する、あるいは商業地、住宅地など可能性を探っているところですが、それが決まれば人口も増えますし商業も活性化すると思います。

―― 役場周辺についてはいかがですか?

古田町長 役場周辺は古くからの市街地ですが、空き家が大変多くなっています。攻めの空き家対策ということで利活用していただく、あるいは更地にして新たな家や事業者を誘致するという空き家対策にも力を入れて、中心市街地を新陳代謝して若い世代を呼び込みたいと考えています。

―― 市街化調整区域についてはいかがですか?

古田町長 当町は岐阜市、瑞穂市、岐南町、北方町と一緒になった「岐阜都市計画」の区域として整備、開発されますので、自分たちだけでできることが非常に限られています。その中で5ha以上であれば開発できるという一つの解決策がありますが、そのためにはまとまった土地が必要になります。そこで地元の地権者の方々と市街化調整区域の有効活用についての勉強会を立ち上げて、まずは地域のコンセンサスを得るところからスタートしています。

当町は名鉄名古屋本線が走っています。不動産事業者や金融機関から、「愛知県で家を建てようと思うと、一宮市でも土地の価格が上がって、駅に近いところや交通アクセスのよいところは手が届かない。でも笠松町なら比較的お値打ちに買うことができるという意味でオファーはあります」という話は聞いています。その意味では将来的に名古屋のベッドタウンとしての立ち位置も選択肢の一つになるのではないかと考え、土地政策プロジェクトを進めているところです。

自然や生き物を大切にする心を育む

―― 他の話題についてはいかがですか?

古田町長 環境保全にも、これまで以上に力を入れていきたいと考えています。昨年、「笠松の自然と共生を考える会」が発足しました。その中で、天然のビオトープである「トンボ池」で野鳥の観察会を開いたり、トンボの生態を通じて環境保全の大切さを訴えるなどの活動をしています。

―― 保護猫活動にも力を入れているようですね。

古田町長 はい。厩舎移転の話にも関わってくるのですが、厩舎の中やその周辺に飼い主のいない猫が住みついていて、一部が去勢、避妊をしていないので繁殖しています。住宅地に入りゴミを荒らしたり、フンの問題などもありました。そこで保護猫団体が去勢・避妊手術をして地域猫として育てるなどの活動をしていたのですが、一つの団体だけでは限界があります。競馬組合と役場にも力を貸してもらえないかということで、7月からクラウドファンディングを始めました。譲渡会でもらい受けてもらえる猫はいいのですが、病気や怪我をしている猫もいるので、空き厩舎を改修し一時的に暮らしてもらおうと考えています。外で暮らしている猫は寿命が非常に短くて5年ぐらいしか生きられません。ちょうど厩舎移転までの間、一代限りの命を守るためクラウドファンディングを行っているというわけです。馬と猫と人が共生できる動物愛護の活動を通して、子どもたちに自然や生き物を大事にする気持ちを教えていきたいと考えています。言葉だけでなく地域の大人たちが活動することによって、やさしい気持ちを育んでいく活動を民間と一緒になって進めています。

クラウドファンディング型ふるさと納税 KASAMATSU RESCUED CATS 笠松競馬場のネコを助けて!!」への支援のお願い

https://www.town.kasamatsu.gifu.jp/docs/2023070600015/

子どもたちも一人の町民であり、まちづくりのプレイヤー

―― 競馬場があるまちとして子どもたちが馬にふれる機会はあるのですか?

古田町長 当町にとって、競馬は文化であり、まちの歴史でもあるので、共生していきたいと考えています。子どもたちが馬にふれる機会については、昔は遠足がありましたけど、今はありません。そこで、今年初めて中学生の北海道新ひだか町派遣研修を実施しました。町内の中学生20名を北海道の馬産地である新ひだか町に連れていき、乗馬・ふれあい体験ができる町営施設や競走馬の競り市、また近隣にある門別競馬場にも行きました。同行した職員から、「子どもたちは馬に関心を示して興味を深くしていました」という話も聞いています。こうした活動を通して、馬の文化、競馬の文化を伝えていくことができたらと考えて、来年度も継続する予定にしています。

―― 子どもたちがまちづくりに参加しているとお聞きしました。

古田町長 はい。当町は県内で3つしかない子どもの権利条例を一昨年制定しました。その流れの中で、子どもは守るべきものであると同時に一人の町民、まちづくりのプレーヤーだということで一人前に扱っていこうという考えがあります。中学生と小学校高学年の有志15名ほどが、まちの課題を自分たちで考え、解決策についても調査研究し、議会で発表する「かさまつ子どもまちづくり会議」という事業を昨年から始めました。良いアイデアには予算もつけています。自分たちが考えて提言したことが形になれば、子どもにとっては大きな自信や経験になると思います。将来、まちづくりの仕事がしたい、ボランティアをしたいという気持ちを育てることが、20年、30年先の地域のリーダーを作ることにつながると思います。自治会に入会しない、選挙の投票率も上がらないといった問題の根底には、どこかひとごとであって、自分たちの生活さえ良ければ関係ないという気持ちがあり、地域や社会に対しての無関心につながっているのではないかと思います。それでは、いざ大きな災害が起きたとき対応できません。子どもたちには、自分のことだけでなく社会や周りのことも考えることができる、思いやりを持った子どもになってほしいと思います。お金ではなく、こうした経験を積ませることで、夢を描いて世界に飛躍する、あるいは他人を思いやる気持ちを持つ一助になればと考えています。

 

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笠松町の情報

面積:10.36km2
人口:21,880人(令和4年12月1日)
町の木:松
町の花:さくら

名所・旧跡・観光

八幡神社
笠松陣屋跡
笠松別院
米野の戦い跡(関ヶ原の戦いの前哨戦)
笠松競馬場
トンボ天国(岐阜県の名水)
笠松の奴行列
笠松隕石

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