高山市 田中 明 市長

Leader's Voice

多様化するニーズに対応するアフターコロナの観光、ICT技術を使って森林資源の活用も進める

多様化するニーズに対応するアフターコロナの観光、ICT技術を使って森林資源の活用も進める | 市町村長
多様化するニーズに対応するアフターコロナの観光、ICT技術を使って森林資源の活用も進める | 市町村長

Interview

高山市

田中 明 市長

“伝える広報”から“伝わる広報”へ

―― 「SNSを活用した情報発信を強化」の概要と取り組み内容について教えてください。

田中市長 行政として様々な施策を展開しているのですが、市民の皆様になかなか伝わり切れていないところがあると思っています。ご自身に関係のある情報でさえ知らないということは行政の責任だと思っています。認知されていない施策は失敗とは言わないまでも、必ずしも成功とは言えないと考えています。その意味では、せっかくいいことをやっていても伝わっていない部分がありますので、HPや広報紙などの紙媒体に加え、幅広い年代に使われているSNSを駆使して、伝える広報ではなく伝わる広報になるよう力を入れています。

高山市公式SNS

高山市公式SNS

―― 「林業におけるICT技術の活用・機械化を支援」の概要と取り組み内容について教えてください。

田中市長 当市ではスマート林業を進めていますが、特に小規模事業者で県や国の支援を得られない方がいます。そうした方々に上限50万円でソフト分析や生産性を上げるための機械化の技術習得などに対して市独自の支援を行います。生産性を上げることで人件費に反映させたり、収益性が高まることにつながればと考えています。

―― 高山市は森林資源も非常に豊富ですから、うまく活用していきたいですね。

田中市長 はい。当市は92%が森林です。ただ、伐り出して製材して製品にして出すという川上から川下への流れであるサプライチェーンがうまく機能していない面があります。また、地元の木材がなかなか使われにくい状況があります。

当市として飛騨家具のプロモーションに力を入れていますが、家具製造の際に使われる木材の多くは輸入材や北海道に頼っています。例えば広葉樹であれば山の中でもかなり奥地に植生していて、そこまで行くための林道整備から始めなければなりません。実際にどれぐらいの広葉樹があって、使える木はどれぐらいあるのかという調査もこれからという段階です。そのためにもICT技術の活用が大切になると考えています。現在はドローンで上空から見ることで木の種類がわかるようになり、今後は、誰の山なのかという境界線も判別できるように力を入れていきたいと思っています。それにより、地元材を積極的に使うことで付加価値を上げて販売することにつなげていきたいと考えています。

高山市市長対談

“飛騨高山”をピンポイントで意識づけ

―― 「TV番組を活用した観光プロモーションの実施」の概要と取り組み内容について教えてください。

田中市長 当市はありがたいことに、マスコミに取り上げられる機会が多くて、知らないうちにTV番組で放映されていたということもありますが、そうした中で、やはりTV番組の活用には力を入れているところです。

大がかりな特集番組ではなく、ピンポイントでグルメや買い物、まち歩きなどを取り上げていただくことで目にふれる機会を増やしていきたいと考えています。令和5年度は2,000万円の予算で5つの番組を制作します。中京圏の方々に「なんか知らないけれど高山出てたよね、近いからちょっと行ってみようか」と感じてもらえる状況を作りたいと考えています。

新穂高ロープウェイ展望台

新穂高ロープウェイ展望台

新穂高ロープウェイ展望台

新穂高ロープウェイ展望台

―― アフターコロナ時代を迎えて、観光の状況はいかがですか?

田中市長 国内観光も増えてきていますし、インバウンドについては、3月からぐんと増えました。コロナ直前が入り込み観光客数としてはピークでしたから、現在はコロナになる2、3年前の状況に戻った感じです。インバウンドについては、元々当市はアジアからの方が6割で、欧米からの観光客が比較的多かった地域です。現在はアジア方面についてはセントレアへの発着便がまだ完全に回復していないこともあって、欧米のお客様が目につきます。

―― 滞在日数はどのくらいですか?

田中市長 長い方だと1週間から2週間滞在するケースもあります。平均すると2日間ぐらいでしょうか。当市を拠点にして白川郷や金沢へ行かれる方が多いと思います。少し前にオーストラリアの方に話を聞いたところ、レンタカーを借りて奥飛騨まで足を伸ばしたと言われていました。

―― オーバーツーリズムの問題についてはいかがですか?

田中市長 よく聞かれる質問です。京都のように住民の生活に支障をきたすほど来られると問題になると思います。ただ当市は、先ほども申し上げたように、コロナ直前がピークで、その2、3年前に戻りつつある状況なので、私自身はオーバーツーリズムではないと思っています。ただ3年間のブランクがありました。これは以前からあったことですが、信号を関係なく渡ったり、ごみを捨てる外国人の方もいますので、マナーについてはしっかり啓発して住民の生活を守っていきたいと考えています。

オーバーツーリズムに関しては、観光業の人材不足といった側面もあるのですが、受け入れできる以上の方々に来ていただいているということは一つあります。ただ、コロナを契機にして、単に訪れて見て回るだけでなく、体験したり、地元の人にふれたいという方も増えてきました。受け入れる側としては、そうした点に付加価値をつけて、どういうことを提供できるかを考えることがこれからの課題になってくると思います。その意味ではコロナがターニングポイントになったのではないかと感じています。

―― コロナについては、改めて観光業に携わる方々は相当厳しい状況だったでしょうね。

田中市長 はい、ひとっこひとりいない古い町並を見て、どうなってしまうのだろうかと考えたことを思い出します。そんな状況が3年間続いたのですが、現在は古い町並を多くの観光客が歩く風景が戻ってきました。コロナに関係ない部分もありますが、人が歩いていないまちはたくさんあります。そう考えると、当市は人を呼び寄せる取り組みを日本人に対しては約60年続けていますし、海外の方に向けては35年以上続けてきました。その厚みがあるのだと思います。人手不足や、市内にお金が落ちないなど課題はたくさんありますが、当市の強みを最大限に生かしながら弱い部分をカバーしていければと思っています。

古い町並

古い町並

古い町並

古い町並

地域独自の伝統文化を大切にしていく

―― 「地域課題の解決につながる活動への支援」の概要と取り組み内容について教えてください。

田中市長 当市は合併して日本一広いまちになりました。その広い市域には至るところでコミュニティがしっかり存在していますが、人口減少や少子高齢化が進む中で、地域として活動してきたことができにくくなったり、何かやりたいけれどきっかけがないという状況があります。そこで地域振興に資する取り組みがあればお手伝いしたいと考え、活動費の2分の1以内、100万円までを限度に支援することにしました。今年は6件の活動を支援しました。具体的には、電子地域通貨「さるぼぼコイン」を活用してふるさと納税の返礼品を開発したり、清見地域ではJAのスーパーが閉店したので、そこを活用して買い物ができるようにしたり、朝日・高根地域では若い方が祭りを企画するなどの取り組みがあります。当市は広いですから各地域は気候も違うし特性も異なります。その中でそれぞれに独自の伝統や文化を育んでいますので、それを大切にしていきたいと考えています。

地域課題の解決につながる活動への支援

地域課題の解決につながる活動への支援

―― 話題は大きく変わりますが最後に、地域の子どもたちに対するメッセージをお聞かせください。

田中市長 当市には高山祭での獅子舞や闘鶏楽(とうけいらく)をはじめ、各地域にも様々な伝統芸能があります。鉦を打ち鳴らしたり、踊ったりしている子どもたちの姿を見ると、誇りを感じます。子どもたちにとっても血となり肉となり、それが郷土愛につながっていくのだと感じます。また、それをしっかり支える地域の大人がいます。こうした取り組みは今後も続けていきたいと考えています。

子どもたちにとっては、その経験から得た匂いや香り、体に染みていく振動、風の音、目で見た四季の美しさ、祭りの時の鉦の音などを感じられるのが飛騨高山です。子どもたち自身はわかっていないかもしれませんが、そうしたものがしっかり植え付けられていて、郷土愛やふるさと愛という言葉では言い表しにくい愛着として、血となり肉となり、体に染み込んでいると思います。

大きくなって外に出る人もいるでしょう。でも、その中には体に染み込んだ懐かしい香りのよさを感じて、また戻ってこようと考える人もいます。今後もそうした若い方々を受け入れることができる施策を充実させて、まちづくりを進めていきたいと思います。

 
獅子舞(秋の高山祭)

獅子舞(秋の高山祭)

闘鶏楽(春の高山祭)

闘鶏楽(春の高山祭)

夜祭

夜祭

 

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人口:84,440人(令和4121日)
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市の花:こばのみつばつつじ

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