可児市 冨田 成輝 市長

Leader's Voice

ふるさとの魅力や住みやすさを知ってもらうことで
持続可能なまちづくりを進める

可児市冨田成輝市長
ふるさとの魅力や住みやすさを知ってもらうことで<br/>持続可能なまちづくりを進める | 市町村長

Interview

可児市

冨田 成輝 市長

交通網、便利さ、豊かな自然などバランスがいい

――  可児市の住みやすさについて教えてください。

冨田市長 私が市長になったとき、市民の皆さんに「どういうまちにしてほしいですか?」と尋ねると、大半の方が「このままがいい」とのお考えでした。可児市は、都会ほどの賑わいはないですが、交通の便が良くて、名古屋まで1時間かからない程で行くことができます。また、大規模小売店数は県内2位で、お店がたくさんあるので、身近なものを買うにも困ることがありません。さらに、病院やクリニックも多くあって、自然も豊かです。そうしたところに魅力を感じておられるのでしょうか、「バランスが非常に良い」と仰る方がとても多かった印象です。

可児市冨田成輝市長との対談風景

交通の便の良さという点では、可児市が開発している「可児御嵩インターチェンジ工業団地」に牛乳石鹼共進社株式会社の進出が決まりました。牛乳石鹼共進社株式会社は、大阪に本社工場があり最大の商圏である東京との中間点という当市の立地を気に入っていただきました。

柿田流通工業団地に立地する株式会社三井ハイテックは北九州市に本社があり九州を中心に事業所を構えていましたが、熊本地震を経験し、内陸で津波の心配がなく地盤が固くて災害に強い場所という事で当市への進出を決めてくださいました。

二野工業団地に立地する株式会社日特スパークテックWKSも災害に強いことを魅力に感じて進出してくださいましたが、進出後は、新規採用においても魅力を感じておられるようです。「採用試験の面接で志望理由を尋ねると、一般的には世界的な企業だから志望しましたという回答が多いのですが、可児市の子たちは、可児市から出たくないので志望しましたと答えるので、驚きました」と担当者の方が語られていました。

可児工業団地

可児工業団地

可児工業団地

可児工業団地

 

市内や近隣には可児工業高校、東濃実業高校という実業高校がありますが、その生徒たちは非常に優秀であると同時に、とてもまじめです。「そういった生徒たちがいることは労働力を確保するという面においても非常に魅力的です」とも仰っていました。このような背景もあり、当市は、世界的な企業も存在する製造業が盛んな地域であり、製造品出荷額においては県内3位となっています。

また、これは生活のしやすさという点に繋がるのかもしれませんが、新可児駅の近くには居酒屋などをはじめとし、料金的にも良心的な飲食店がたくさんあります。また、刑法犯遭遇率が県内人口5位以内の市で一番低く(2023年各都道府県警察調べ)、治安の面においても安心度は高いといえると思います。さらに自然・文化という点では、「鳩吹山」や「ぎふワールド・ローズガーデン」などがありますし、当市は世界に誇る美濃桃山陶の聖地でもあります。

鳩吹山からの眺め

鳩吹山からの眺め

ぎふワールド・ローズガーデン

ぎふワールド・ローズガーデン

 

歴史資産という観点では、市内には「美濃金山城跡」「明智城跡」などの城跡が数多く存在しています。中でも国史跡「美濃金山城跡」は、破城された際、当時、資材は貴重でしたから、木曽川下流の犬山に運ばれ、犬山城の建設や城下町の建物などに再利用されたと伝わっています。これが「金山越」と呼ばれる出来事です。

美濃金山城跡の石垣

美濃金山城跡の石垣

明智城跡

明智城跡

 

今年3月には、犬山市の瑞泉寺から「金山越」で移築されたと伝わる建造物の一つである城門が、当市へ420年ぶりに里帰りしました。こうした自然・文化を含めて、住民の皆さんはバランスの良さや、住み心地の良さを感じておられるのではないかと思います。

里帰りした城門

里帰りした美濃金山城の城門

将来を担う子どもに向けた取り組み

―― 可児市が進める取り組みについても教えてください。

冨田市長 私が市長になって以来、「高齢者の安気づくり」「子どもの笑顔と子育て世代の安心づくり」「地域・経済の元気づくり」「まちの安全づくり」という四つを重点方針として取り組んできました。就任当初からそれぞれの事業の内容は変わっていますが、住みやすさを維持するために不可欠だと考えるこの四つを基本的な柱においていることは変わっていません。

その中でも、若い世代の都市部への転出が全国的な問題になっている現在の状況においては、将来を担う子どもたちに向けた取り組みが特に重要と考えています。これに対しては、地方には都市部にはない良さがあるので、当市の良さや魅力を子どもたちに伝えていき、その愛着や誇りを高め、将来、当市で住み、働くという選択をしてもらうことが大切です。

こうした取り組みは行政だけではできませんので、民間企業や各種団体と一緒に進めていく必要がありますが、ありがたいことに当市では、子どもたちに地域の魅力を知ってもらうための取り組みに協力的な方がとても多くおられます。

こうした取り組みとしては、例えば、「可児市の企業魅力発見フェア」が挙げられます。当市内には優れた企業がたくさんありますが、就職を控えた高校生だけではなく、先生も含めてそれが知られていません。そこで、先生たちも含めて地元企業のことを知ってもらおうということで、同フェアを開催し、高校生と市内企業のマッチングを進めています。

また、昨年からは、小学生、中学生やその保護者の方にも地元企業のことを知ってもらおうと、市内企業を訪問し、工場や作業場の見学や、企業の特色や面白さを知るワークショップ体験などを行う「かにっこlaboバスツアー」を始めました。すると、「こういうことがやりたかったんです」ということで、私たち以上に企業の方が、子どもたちが喜んでくれる仕掛けやアイデアをいろいろ考えてくれました。親子で110人ぐらいの参加があったのですが、参加された親子はもちろん、これを受け入れていただいた企業も大変喜んでくれて満足度は、99%という結果でした。「かにっこlaboバスツアー」は今年も開催します。

かにっこlabo体験風景

かにっこlaboの体験風景

 

また、中日ドラゴンズとの関わりが深いのも当市ならではの魅力だと思います。子どもたち向けの野球教室を開催してくれていますし、今年からはカヤバスタジアムを舞台にして、女子野球チームの育成に繋がる取り組みをスタートしてくれます。

中日ドラゴンズ 野球体験会

中日ドラゴンズ 野球体験会

 

当市ではこれら以外にも、子どもに向けた取り組みについて、これまでもかなり先進的な取り組みを進めてきました。全国初のいじめ防止条例を制定し、いじめ防止に関する取り組みには教育評論家の尾木直樹(尾木ママ)さんが協力してくれています。

また、通常、教育委員会は、義務教育、スポーツ、文化を所管していますが、今後、義務教育が今以上に重要となり、これに取り組むのにも大変な労力を要するだろうということから、スポーツと文化の所管を市長部局に移して、教育委員会は義務教育に集中することで、子どもたちの教育環境の充実に向けた体制整備も行いました。健康と子育ての機能を一本化した新たな施設として平成30年にオープンした「子育て健康プラザ マーノ」も先進的な取り組みの一つといえると思います。

なお、最近何かと話題になることが多い給食の無償化については、様々な意見がありますが、当市の小中学校に通う児童生徒の親御さんから話を聞くと、「無償化の前に、子どもたちに安全で栄養のある、おいしい給食を出してほしい」という声が多く聞かれます。経済的に苦しい家庭に対してはすでに給食費は無償化されていますから、当市では給食の充実というところに力を入れて取り組んでいます。具体的には「がんばれかにっこ!給食」として、子どもたちの意見を取り入れた給食を提供するなどの取り組みを実施しています。私も年に3回ほど学校で子どもたちと一緒に給食を食べる機会があるのですが、じゃんけんをしておかわりの取り合いをするほどの人気メニューもあります。

ふるさとに対する愛着が定住につながる

――  地域の魅力を発信し、可児市で暮らす人たちの住みやすさを向上させる取り組みを続けていることで、市民の中にも変化が表れているのではないでしょうか?

冨田市長 私たちの親世代は、子どもを一流高校から一流大学、そして東京の一流企業に行かせることが目標のようなところがあったと思います。でも、気づいたら、その子どもたちはふるさとへ戻ってきません。それならば、違う人生を歩んでもらいたいと考える親御さんも少しずつ増えているのではないかと思います。例えば、進学校ではなく実業高校に通い、思いっきり部活をしたり、習い事をしたりして、一度しかないせっかくの青春時代を謳歌してほしい、そして、卒業後は近くに就職して生活してほしいと考える親御さんも増えているようです。

その点で、市内や近隣には実業高校もありますし、製造業が盛んな当市には働く場所もたくさんあります。また、当市の製造業をはじめとした事業所では、これまでなかなか採用に繋がらなかった女性の採用に力を入れていきたいという考えがあるようで、女性にも働きやすい職場環境の整備に取り組んでいる企業もあります。そういった企業の事務所を訪ねるとその環境にとても驚きます。事務所というより、まるでサロンのような雰囲気です。明るくて、大きな部屋で、机も決まっていなくて、好きなところに座って仕事ができます。私に仕事の内容を説明してくれたのも、若い女性がとても多かったです。当市は製造業が多いですから、「可児市には若い女性が働く場所がない」という声を聞きますが、そんなことは全然ありません。そういうことを、もっと多くの方に知ってほしいと思っています。

可児工業高校を卒業して、市内の工業団地にある企業で働いている女性と対談したことがありますが、上司は、上司部下という関係以外に、高校の先輩後輩という関係でもあって、自分のことをとても理解してくれると仰っていました。また、結婚して子どもができた後も、「今日、子どもの具合が悪くて休みたいのですが」と申し出ると、「私たちがフォローするから大丈夫だよ」と言ってサポートしてくれて、そういった面でもとても働きやすい職場だそうです。ご本人は、結婚する際に、ご主人に「可児へ移り住んでくれるなら結婚する」と仰ったほど、とても“可児愛”の強い方で、当市に住み続けて、その企業でずっと働き続けたいそうです。そういう方たちの話を次世代の子どもたちにも、ぜひ聞いてもらいたいと考えています。

東京の会社に比べると、確かに給料は多少低いかもしれませんが、可児市の企業には、それ以上の働きやすさや、働きがいがあると思います。今後も、こうしたことを効果的に情報発信しつつ、子どもたちをはじめとした若者や女性に当市の住みやすさや魅力を感じてもらい、当市に愛着を感じ、当市で住み働くことを選択してもらうことを通して持続可能なまちづくりを進めていきたいと思います。

可児市の公式Tシャツを着る冨田市長

 

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面積:87.57km2
人口:99,342人(令和7年7月1日)
市の木:クロマツ
市の花:サツキ、バラ

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